表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

ホルルドの街④

今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。

異世界ものではありますが、主人公は、1作品目、2作品目とは、立ち位置が違います。

予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。

少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。

誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。

サーシャが仕事から、帰宅すると、部屋が綺麗になっている事に気付いた。


「えっ!?ルーシュくん、掃除してくれたの?」


「あ、はい。暇だったんで。」


「それにしても、埃ひとつ見あたら無いわね・・・。ルーシュくんに、家事の才能まであるなんて・・・、何か、負けた気分・・・。」


「いえ、魔法で、掃除しただけなので、家事の才能は無いですよ?」


「魔法?そんな生活魔法あったかしら?」


「まあまあ、細かいことは、置いておいて、夕食にしませんか?」


「あ、うん、そうね。」


新魔法の追求を避けるルーシュ。

ルーシュが、あっさりと、新魔法を作れるのは、所持している、ある技能(スキル)の恩恵だ。ただ、この技能(スキル)、レアどころの話では無い。

流石に、ルーシュも、これは秘匿すべき技能(スキル)だと、理解しているので、口を滑らせる事は無い。


それから、日中に、ルーシュが購入してきた食事で、夕食を摂る2人。普段は、1人で食事をしているサーシャだが、今は、ルーシュがいる。自然と会話も弾む。


「・・・と、こんな感じで、街を見回って来ました。」


「そうなのね。だから、フード付きの服を買ったと。」


「えぇ、目立ちたく無かったので。」


「・・・本当に、目立た無かった?」


「平気だと思いますけど?」


「なら、良いわ。そうだっ!それよりも、ルーシュくん。例の使い魔(ペット)の件。登録しないの?あっ、勿論、レッサードラゴンじゃない方よ。」


「あぁ、そんな事も話してましたね。でも、良いんですか?僕だけじゃなく、その子も泊めてもらう事になりますけど・・・。」


「小さな魔物なんでしょう?構わないわよ。」


「・・・そうですか。」


(う〜ん、どうしようかなぁ?近々、あっちの山に戻るつもりだったから、正直、呼び出す必要ないんだよね。・・・でも、登録しておけば、他の街でも安心?)


「どうしたの?実は、大きな魔物とか?」


「いえいえ、本当に小さいですよ。そうですね〜、僕の顔くらいの大きさです。」


「あら、本当に小さいのね。」


「えぇ、まだ幼体、赤ちゃんなので。」


「それなら、尚更、呼んだ方が良くない?今は、何処にいるの?」


「えぇっと、レッサードラゴンの群れの中です・・・。」


「えっ?」


「レッサードラゴン達に、面倒を見る様に、指示を出してます。」


「それって、もしかして、レッサードラゴンの赤ちゃんなの?」


「いえ、ドラゴンは、ドラゴンですけど、レッサードラゴンでは無いです。」


「そう、ドラゴンには変わり無いのね・・・。」


「ま、まぁ、そうですが、ドラゴンは寿命が長いし、成長も遅いから、僕らが生きている間は、小さいままですよ。」


「そうなのね。なら、安心かな?」


「ええ。」


「それなら、食後に呼び出して。すごく、気になるから。」


「あ、はい。」


と、引き受けてしまうルーシュ。

居候なので、家主の要望には逆らえないのだ。


そうして、食事も終え、片付けが終わると、いよいよ、プリムを召喚する事になった。


「では、()()を行います。」


「え?詠唱が必要なの?」


「ええ、魔法を使うには、必ず、詠唱が必要ですから。」


「あれ?でも、ルーシュくん。〈アイテムボックス〉じゃなかった、インなんとかって魔法を使う時、詠唱して無かったけど?」


「あぁ、あれは、既に、詠唱を終えているからです。」


「ん?どう言う事?」


「そうですね、分かり易く言うと、()()使()()()なんです。」


「ずっと、魔法を使い続けているって事?」


「はい、そうしないと、中に入れた物が、消失してしまうので。」


「それって、魔力(マナ)が保つの?」


「う〜ん、こればっかりは、その人の魔力(マナ)量次第ですね。〈アイテムボックス〉や〈インベントリ〉を使える人が少ないのは、そのせいもあります。」


「便利な魔法だと思ってだけど、デメリットもあったのね。」


まるで、生徒に教える教師のように、説明するルーシュ。

魔法発動には、詠唱は必須で、〈アイテムボックス〉も例外では無い。

ただ、ルーシュは、技能(スキル)〈無詠唱〉が使える。

本来なら、これから行う召喚魔法も、詠唱なしで行使出来るが、それを隠す為に、今回は詠唱を行う。

普段は、抜けている所もあるが、問題になりそうなものは、ちゃんと、隠しているのだ。

〈夜の狼〉との一件でも、()()()()()()()、魔法を使ったとは、言っていないし、魔法名も述べていない。


「では、改めてまして。

遥か彼方 契りを結びし 我が眷属よ 血の盟約に従い 時を越え 空を越え 扉を開き 我が呼び掛けに応え 再び我が眼前に その姿を現し 力を示せ 召喚 プリムっ!」


詠唱を行うと、ルーシュの眼前に魔法陣が出現し、そこから、光の粒子が放出し、眩い光を放った後、その場には、ホワイトプリムドラゴンの赤ちゃん、プリムが現れた。

プリムは、召喚された場所が、見慣れない景色の為、以前、召喚した際と比べて、落ち着き無く、キョロキョロと辺りを見渡していたが、目の前のルーシュに気付くと、


「キュイっ!!」


と、鳴き声をあげながら、ルーシュの胸に飛び込んだ。


「1日ぶりだね、プリム。元気にしてた?」


「キュイ、キュイっ!!」


「うん、元気そうだね。あっ、ここは、ホルルドって言う、街の中。って、分からないか。」


「キュイ?」


「サーシャさん。この子が、僕の使い魔(ペット)、プリムです。」


プリムの紹介をするが、サーシャの返事がない。あれ、また、何かやっちゃった?と、ルーシュが困惑していると、やっと、サーシャが反応した。


「か、可愛い・・・。」


「可愛いでしょ?まだ、赤ちゃんなので。」


「う、うん・・・。でも、その子、本当にドラゴンなの?レッサードラゴンと、かなり見た目が違うけど?なんか、羽根で覆われてない?」


「正真正銘、ドラゴンですよ。レッサードラゴンと違って、鱗の代わりに、ふわふわの羽根に包まれてますけど。」


「えっと、私にも抱っこ出来きる?」


「平気ですよ。プリム、こちらは、サーシャさんだよ〜。」


プリムを、サーシャに渡すルーシュ。プリムは、初めて会うサーシャに、小さな目を瞬きながら、首を傾げた。


「キュイ?」


「可愛い・・・。それに、ふわふわ。」


サーシャは、プリムの背を撫で、プリムはプリムで、クンクンと匂いを嗅いでいた。


「ルーシュくん、プリムちゃんの性別は?」


「女の子ですね。」


「なんて言う種類のドラゴンなの?」


「えっと・・・、ホワイトプリムドラゴンです。」


「ふ〜ん、聞いた事の無いドラゴンね?」


「え、ええ。竜種の中でも、()()()なんで。」


「へぇ〜、そんなに珍しいの?」


「僕の知る限りでは、はるか昔に遡っても、同種の竜では、2体目だと思います。」


「えーーーっ!!そんなに、希少な竜なのっ!!」


「はい。成体の竜は、見た事は無いですが。」


「よく、使い魔(ペット)に出来たわね。」


「偶々、怪我をしていたプリムを見つけて、治療したら、懐いちゃったんで。」


ルーシュが、プリムの名を言ったので、プリムは、呼ばれたと思い、サーシャの腕の中から、飛び出し、ルーシュに飛び付いた。


「キュイ?」


「いや、呼んだ訳じゃ無いよ。」


「それにしても、召喚魔法って、初めて見たけど、凄く神秘的ね。詠唱も長かったし・・・。」


「まぁ、召喚魔法自体が、高度な魔法なんで、使える人が少ないのでは?無属性の時魔法と、空間魔法の合成ですし。

詠唱が長かったのは、上級魔法だからですよ。12節もありますから。」


「そうなのね。プリムちゃんだけじゃなく、召喚魔法も、珍しかったのね。」


「まぁ、使い魔(ペット)契約していないと、使えない魔法ですし、実用性が低いってのも、理由だと思います。」


「よく、そんな魔法を覚えようと思ったわね。」


「う〜ん、サーシャさんは、冒険者ギルドの受付嬢ですから、冒険者さんの中にも、魔法使い(マギ)の方が、大勢いるのは、ご存じですよね?」


「ええ、私の担当にも、たくさんいるわ。中には、魔法大学を出ている優秀な人いるし。」


「でも、その方達って、基本的には、魔物の討伐の為に、魔法を使いますよね?」


「そうね。まぁ、光属性の魔法を使う人は、回復役(ヒーラー)として、パーティで活躍してるけど。」


「はい。魔法には、癒しの魔法もあります。魔法は、相手を倒す以外にも、使う事が出来る。生活魔法が、良い例です。」


「ええ、私も着火の魔法ぐらいなら、使えるから分かるわ。」


「ちなみに、サーシャさんは、生活魔法の〈ブロー〉は、使えますか?」


「ああ、あの生活魔法ね。それも使えるけど、あの魔法、使い道が無くない?」


「そうでしょうか?その2つが使えれば、家事が楽になりますよ。」


「どう言う事?」


「火を起こす時に、着火の魔法、〈ファイヤ 〉を使って、薪に火を着けますが、その火を大きくする時、どうしてますか?」


「それは、ふぅふぅ、息を吐きかけて・・・あっ!」


「はい、お気付きなったと思いますが、そこで、〈ブロー〉を使えば、良くないですか?」


「そうねっ!それなら、使い道があるわ。」


「それに、〈ファイヤ〉をコップの水の中に、使えば、一瞬で、お湯が出来ます。」


「えっ!?〈ファイヤ〉って、そんな使い方が、出来たのっ!?」


「ええ、着火と言う言葉が、固定概念を生んでしまって、皆さんが、気付いていないだけです。」


「なんか、常識が崩れていくわ。」


「う〜ん、そもそも、魔法は常識的では無いですよ?」


「どう言う事?」


「魔法の発動には、魔力(マナ)と詠唱が、必要ですが、その詠唱自体が、非常識の塊なんです。」


「???」


「詠唱は、事象に干渉し、それを改変して、魔法を発動させます。この()()とは、すなわち、自然現象になります。

それを()()しているんです。

つまり、()()()()()()いるんです。だから、非常識なんです。」


「ああ、そう言う事なのね。」


「ええ。話が逸れましたが、生活魔法ですら、使い方を変えれば、色んな事に応用が効きます。

さっき、サーシャさんは、光属性の魔法使い(マギ)さんの話をしていましたが、初級魔法の〈ヒール〉は、傷を治す為に使われますが、それは、人や動物だけにしか、使えない訳ではありません。

農作物を含めた植物にも、使う事が出来ます。

農作物に使えば、成長を促進しますし、枯れ果てた花に使えば、元気になります。

何故だか、分かりますか?」


「う〜ん、花はなんとなく、分かるけど。どうしてかしら?」


「それは、〈ヒール〉が、()()()()魔法だと、思い込んでいるからです。」


「えっ!?違うの?」


「いえ、確かに、〈ヒール〉は、傷を治します。厳密には、対象の魔力(マナ)干渉して、自身の魔力(マナ)を送り込んで、生命力を活性化させているんです。

つまり、傷を治しているのでは無く、()()()()()()なっているだけなんです。

魔法薬に、くポーション〉がありますが、あれは、薬草と言う、傷に効く植物に、魔力(マナ)を注ぎ込んで、回復カを高めている薬です。

これも、魔力(マナ)を多く含んでいるから、傷が治り易くなっているんです。

〈ヒール〉と言う魔法は、生命力を活性化させる魔法と言うのが、正しい解釈になります。」


「だから、農作物にも効果あるのね。」


「はい。魔法は、攻撃用のものが多いイメージですが、現代魔法全体では、実際には、4割程度しかありません。」


「えっ!?そんなに少ないの!?」


「はい。その他は、生活魔法や回復魔法と、肉体に作用する魔法、運搬に使える魔法、移動に役立つ魔法など、他にもたくさんあります。使い方によりますが、生活を豊かにする魔法の方が多いんです。

最初の質問に戻ると、使い魔(ペット)契約は、魔物だけでなく、人や動物とも可能です。

つまり、使い魔(ペット)契約していれば、召喚魔法で、人や動物を遠い所まで、移動させる事が出来るんです。

まぁ、使い魔(ペット)契約なんで、主従関係が生まれるので、人に使うのは、お勧めしませんが。

ただ、貴族の方なら、家臣と元々、主従関係を結んでいる筈なので、自身の護衛を呼び出すなんて、使い方も出来るかも知れませんが。」


「魔法って、もしかして、元々は、生命を豊かにする為に生まれたものなのかしら?」


「おそらく、その考えが正しいと思います。属性魔法自体、自然現象に由来するものですから。」


「なんだか、魔法に対する印象が変わったわ。

それにしても、ルーシュくんって、本当に10歳なの?まだ、魔法大学どころか、魔法学園にも入学出来ない年齢よね?」


「正真正銘、10歳ですよ?」


「う〜ん、なんか、冒険者より、学者さんか、教師になった方が良いんじゃない?」


「いや、まだ、魔法学園の初等部にも、入学出来ませんし・・・。」


「将来的な話よ。絶対、そっちの分野でも、活躍出来ると思うわ。」


「う〜ん、まだまだ子供なんで、漠然とした、将来の夢とか無いですね?

ちなみに、サーシャさんは、いつ頃、冒険者ギルドの受付嬢になりたいと思ったんですか?」


「私?そうねぇ、私の実家って、小さな村にあるんだけど、母親が病いで倒れてから、その治療費を稼ぐ為に、上京して来たの。

それで、給金が高い職種を探して、冒険者ギルドの受付嬢になったってのが、現状ね。

それがなければ、今頃、村で結婚してたかも?」


「そうだったんですね。軽い気持ちで、聞いてしまって、すいません・・・。」


「良いのよ、別に。今の仕事に不満はないし、給金が高いおかげで、母親の治療費も、仕送り出来ているんだから。」


「ちなみに、お母さんの容態は?」


「う〜ん、あまり変わってないかな?発熱と頭痛、それと全身の痛み。」


「うん?ちなみに、お薬は?」


「熱冷ましに、鎮痛薬だけど?」


「ポーションを使った事は?」


「あるけど、逆に体調が悪くなったわ。」


「お医者様は、何と?」


「原因不明だって。」


「お母さんは、魔法を使えますか?」


「生活魔法なら、多少は。」


「なるほど。」


「ルーシュくん、何か分かったの?」


「多分ですけど、サーシャさんのお母さんは、過剰魔力(マナ)障害だと思います。」


「過剰魔力(マナ)障害?」


「体内の魔力(マナ)が、許容量を超えて、体内に蓄積してしまう病気です。

100万人に1人の確率で、かかる病気です。」


「そんな・・・。完治は出来ないの?」


「今の所、食事療法と対抗療法しかありません。」


「それはどんな・・・」


「吸菌茸を調理したものを食べ、普段から、魔力(マナ)を消費する為、魔法を行使する必要があります。

ちなみに、健康な人が吸菌茸を食べると、逆に魔力(マナ)欠乏症になるので、毒茸扱いです。まぁ、使い方次第では、魔法使い(マギ)魔力(マナ)総量を上げられるんですけど。」


「吸菌茸って、どこで手に入るの?」


「そうですね、トレントに稀に、寄生しています。エルダートレントの方が、確実性が高いですが、吸菌茸を、定期的に入手するのは、厳しいかと。」


「そんな・・・。」


「ですので、これを差し上げます。」


と、言って〈インベントリ〉から、ルーシュが取り出したのは、一つの指輪だった。


「これは?」


「吸魔の指輪と言って、魔力(マナ)を吸引し、蓄える指輪です。

本来は、使用者の魔力(マナ)が足りなくなった時に、この指輪から、魔力(マナ)を取り出して、魔法を使う魔道具ですね。

最上級クラスの魔法を、一回使えるくらいの蓄積量があるので、一般人なら、寿命を迎えるまで、持つと思います。」


「良いの?相当な価値がありそうだけど・・・。」


「僕は、最上級クラスの魔法を、十分使える魔力(マナ)量がありますから、必要ないし、拾い物なので。気にしないで下さい。」


「そう。じゃあ、貰って良いの?」


「はい。要らないので。」


「ありがとう。いつか、お礼をするね。」


「いえ、十分、助けてもらってますから。」


サーシャに、吸魔の指輪を渡すルーシュ。

サーシャは、涙ながらに、両手で包み込むように、受け取った。

謎の多いルーシュですが、知識の豊富さが、判明してきました。10歳とは、思えない知識でしたが、スキルなど、まだまだ、謎がありそうな・・・。

ブックマーク、いいね、☆評価も頂けると、励みになります。宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ