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レガリス魔法大学⑥

今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。

予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。

少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。

誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。

ルーシュは、王妃のお茶会以降、街中や冒険者ギルド、迷宮(ラビリンス)を訪れる場合は、顔やプリムを隠す為、フードを被るので邪魔になるから出来ないが、魔法大学に通う時は、たびたび、髪を後ろで束ねる様になった。

ルーシュは、女の子だと間違われる事が無くなると思って、髪を束ねているが、しかし、これは逆効果だった。

髪を束ねた事で、余計に、顔の露出が多くなり、見惚れる者が増えてしまった。

その事に、気が付いていないルーシュは、満足げになり、笑顔も増え、更に、注目を集める結果になっている。なんとも、残念な思考である。



「今日は、無属性の空間魔法〈アディメィション〉の詠唱について、学んでいきましょう。

〈アディメィション〉は、異空間を作り、そこに入れた物を消失する魔法です。

本来の役割は、防御系の魔法として開発されました。攻撃系の魔法を、其処で受けとめれば、消失させる事が出来、属性の相性を選ばない為、優秀な防御魔法であると位置付けされていました。

しかし、残念な事に、有効範囲が狭い、発動している時間も短い、確実に受けとめる事が困難であるなど、欠点が多く、使いづらい魔法です。

その為、防御魔法として、使われる事は少なく、()()()()()として、使われる事の方が多い魔法です。

中級の魔法でありながら、生活魔法程度の役割にしか使えない。あまりに非効率な為、習得している人も少ないのでは、無いでしょうか?」


「ああ、そんな魔法あったね。」


「欠陥魔法だって聞いて、覚えなかったぞ。」


「一度、覚えたけど、もう、忘れた。」


生徒の反応は、最もで、魔法使い(マギ)の間では、大して役に立たない魔法だと、認知されてしまった為、わざわざ、覚えようとする者がいなくなり、廃れてしまった魔法の一つである。


「そんな魔法ですが、()()()()()()()()()()()事に、利便性を見出して、改良され、開発されたのが、〈アイテムボックス〉と言う魔法になります。

しかし、()()()()事は、完全に改善出来なかった為、常に、魔法を発動し続ける事で、これを防いでいます。

魔法を発動し続ける為、当然、魔力(マナ)も消費し続けます。

魔力(マナ)の消費量が多いと言う、欠点があるので、〈アイテムボックス〉もまた、習得している人が少ない原因になっています。

それでも、〈アイテムボックス〉の利便性は高く、習得している魔法使い(マギ)は、冒険者を含め、様々な分野で活躍しています。

覚える価値が高い魔法と言えますが、まず、〈アディメィション〉を使えないと、習得出来ません。

〈アディメィション〉の詠唱文の理解する事が、出来れば、皆さんも〈アイテムボックス〉を習得出来る()()()が高くなります。

どうでしょう、学んでみませんか?」


「「「「「はいっ!!」」」」」


生徒達、いや、魔法使い(マギ)にとって、〈アイテムボックス〉が使える事は、憧れであり、一流の証である為、その熱意が伝わってくる。


魔法大学では、〈アイテムボックス〉は、無属性魔法でありながら、高度な魔法として、4大魔法と同様に、学習機会がない。確かに、高度な魔法だが、それは下地が無いから、覚える事が出来無いだけだ。

4大魔法に比べれば、〈アイテムボックス〉の習得は、難易度が低い。

それなのに、4大魔法の下地は、学ぶ機会があるのに、〈アイテムボックス〉の下地を、学ぶ機会が無いのは、おかしいとルーシュは思っていた。

〈アイテムボックス〉は、所詮、無属性魔法だ。古代魔法(ロスト・マジック)では無い。

魔法大学は、6元素魔法と()()()()()を学ぶ場なのだからと。

まぁ、実情は、無属性魔法を教える教員が、〈アイテムボックス〉を使えないから、教える事が出来無いのだか。つまり、教員の力不足である。

ルーシュが、習得出来る()()()が高くなると表現したのは、教員が、教える事が出来無いからだ。

もし、ルーシュが、無属性魔法を教える教員であれば、真っ先に、教えていただろう。それだけ、利便性の高い魔法だからだ。


「では、〈アディメィション〉の詠唱文の解説に、入りたいと思います。〈アディメィション〉の詠唱文を覚えている方は、挙手して下さい。」


「「「「「・・・・・。」」」」」


「うん。予想通り、いない様ですね。では、黒板に、書いていきます。」


そう言って、黒板に、詠唱文を書いていくルーシュ。生徒達も、それを見て、ノートに記入していく。


「〈アディメィション〉は、先程、言った通り、中級魔法ですので、詠唱文は6節です。

空間よ 歪み 魔と混じり 異空の扉を 開き 納めよ となります。

まず、事象に干渉する部分は、空間よ 歪み になります。指定した空間を歪ませる事を表しています。手元の空間と言う曖昧な場所に干渉し、歪ませる事で、空間に変化をもたらします。


次に、改変する部分ですが、魔と混じり 異空の扉を となります。」


「先生っ!」


「はい、何でしょう?ライオスくん。」


「魔と混じり の部分が、〈ウォール〉系と同じでは?」


「よく、気付きましたね。そう、〈ウォール〉系と同じです。それは、〈アディメィション〉が、防御系の魔法だからだです。

ただ、この場合の、魔と混じりは、〈ウォール〉系の時と、少しだけ意味合いが違います。〈ウォール〉系では、発生させる魔力(マナ)と、発生させる場所に送る魔力(マナ)を指していましたが、〈アディメィション〉では、発生させる魔力(マナ)だけを表しています。

異空の扉を とは、先程、干渉させた空間を、異なる空間に、作り変える事を表しています。

ここまでが、別次元の異空間を発生させる部分です。


最後に、結果の部分ですが、開き 納めよ になります。開き は、異空間に入り口を作ります。そして、納めよ は、物質を入れる事を表しています。

そして、〈アディメィション〉は、発動時間が短い為、入れた物が、異空間ごと消え去るのです。

ちなみに、〈アイテムボックス〉では、開き納め 閉じ込め 再び開け となります。

異空間に、入り口を作り納めて、閉じ込め、出口を作り取り出す 事を表しています。


以上が、〈アディメィション〉の詠唱文の解説になります。

一部、〈アイテムボックス〉の詠唱文にも、触れましたが、まずは、〈アディメィション〉で、別次元の異空間を発生させる事から、出来る様になって下さい。

異空間の中は、見る事が出来ません。それは、干渉前の空間も同じです。

ですが、魔法を発動させると、使用者には、異空間の入り口である、空間の歪みが見えます。

異空間の存在を、感知し、理解出来れば、その先の〈アイテムボックス〉の習得に至る事が、出来る様になる筈です。」


「ルーシュ先生っ!」


「はい、アンジェリカさん。何でしょうか?」


「〈アイテムボックス〉の詠唱文が、知りたいですわ。」


「それについては、今後の講義で、お教えします。理由は、先程から述べた通り、〈アディメィション〉の習得と詠唱文の理解が、出来る様になる事が前提で、その上で、〈アイテムボックス〉の詠唱文の解説を行なうからです。

先走りっても、習得出来ません。」


知りたい気持ちは分かるが、理解が不自由では、詠唱文を覚えても、習得・発動は出来無い。攻撃系や防御系の魔法と違い、構造を見る事が出来無いからだ。


「それでは、残りの時間は、中期試験も近づいてきてますので、これまでの学習の復習に充てたいと思います。」




数日後。魔法大学は、よいよ、中期試験の期間に入った。


他の学部では、各々の日々の研鑽を発揮して、競い合う様に、試験に臨んでいる。

ただ、魔法薬学では、ルーシュの講義の影響で、皆の調合の技術が向上し過ぎて、品質の差に大きな違いが無くなってしまい、評価の採点に悩まされている様だった。


そして、ルーシュの魔法理論学の試験はと言うと、これから、行われるのだった。


「皆さんの手元に、問題用紙が配られましたので、試験を開始します。問題に取り掛かる前に、必ず、名前(ネーム)を記入して下さい。忘れると、どんなに結果が良くても、評価出来ませんので。

それでは、始めて下さい。」


ルーシュの合図で、一斉に、問題に取り掛かる生徒達。カリカリと、問題用紙に記入する音だけが、講堂内に響いている。

ルーシュの作成した問題は、以下の様なものである。


問題には、複数の解答がある場合もある。注意して答えよ。


問1 魔法の詠唱の役割を答えよ。


問2 事象とは何か、答えよ。


問3 魔力(マナ)は何に干渉するか、答えよ。


問4 改変、出来る対象を答えよ。


問5 4元素魔法は、何に干渉するか答えよ。


問6 魔法名を発するメリットを答えよ。


問7 魔法名を発するデメリットを答えよ。


問8 初級魔法で、一度の詠唱で、同じ魔法を2つ発動する場合の、詠唱文を答えよ。(属性は自由)


問9 〈アロー〉系の魔法の詠唱文の結果は、何を表しているか答えよ。


問10 〈ランス〉系の魔法の詠唱文の結果は、何を表しているか答えよ。


問11 〈ウォール〉系の魔法の詠唱文の結果は、何を表しているか答えよ。


問12 中級魔法の詠唱文の結果を変えた場合、どの様な変化が起こるか。変えた詠唱文と変化の両方を答えよ。


問13 中級魔法の詠唱文を一つ記入し、その詠唱文が、何を表しているか、全て答えよ。


など、計25問の問題となっている。

簡単に答えられる問題もあれば、自身で考えなければ答えられない、難しい問題もある。

だが、講義を真剣に受けていれば、答えられない問題は無い。


試験の結果が出ると、試験期間は終了となり、長期の休みに入る。


1年は、1月、2月、3月・・と、区切られいて、全12月になる。

1ヶ月が30日で、1年間は360日。

5日に1日が、休日となっている。

魔法大学や魔法学園は、前期、中期、後期と、学習期間が分かれていて、前期は1〜3月、中期は5〜7月、後期は9〜11月になり、4月と8月、12月が、長期休みになる。

長期休みには、多くの生徒は出身地に帰るが、中には、出身地が遠いなどの理由で帰郷せず、学生寮で過ごす者もいる。


試験時間も残り僅かとなり、解答を見直す者、必死になって解答を考える者、諦めて終了を待つ者など、生徒達の様子は様々だ。


「残り時間は、あと僅かになりました。試験開始時にも言いましたが、名前(ネーム)の書き忘れが無い様、再度、確認して下さい。」


そして、魔法理論学の試験は、終了となった。



教職員室に戻ったルーシュは、早速、試験の採点に取り掛かる。

何しろ、約80名分の採点をしなければならない。残りの試験期間内に、終わらせなければならないので、かなり、大変な作業である。

まだ、数名の採点しか済んでないが、高得点の結果が出ている。魔法理論学を、しっかりと理解出来ている証拠だ。


「ルーシュ先生。試験の結果は、どうでしょうか?」


声をかけてきたのは、マグドリア学長だ。


「まだ、数名の採点しか済んでいませんが、中々、良い結果ですね。」


「そうですか。皆さん、頑張った様ですね。他の学部の結果も、例年よりも、良い結果が出ている様です。ルーシュ先生の研究室入りの条件発表が、大きく影響している様ですね。」


「確かに、その様な約束をしていましたね。」


「ええ。既に、研究室自体は、用意出来ていますので、休み明けから、利用して下さい。」


「分かりました。」


「では、採点の邪魔になるでしょうから、失礼しますね。」


(研究室かぁ〜。忘れていた訳じゃ無いけど、まずは、長期休みをどう過ごすかだなぁ。

プリムの迷宮(ラビリンス)攻略は、やらないといけないとして、やっぱり、後回しにしている国巡りかな。北側と東側の国々を探索して、絞り込むのが、まず、最初の工程。

その後、国一つ分の探索かぁ〜。どれだけの街や村があるか、分からないからなぁ。最悪、全ての街と村を、巡らなければならないのかぁ。気が遠くなる作業だぁ〜。下手すると、数年は、かかるぞ・・・・・。

ダメだ、今は、採点に集中しよう。これが、終わらない事には、帰れないし。)


その後、なんとか、採点を終えたルーシュ。

後日、採点した答案用紙を、生徒達に配り、他の教員達と成績のすり合わせを行なった。

これで、中期試験期間も終わりとなり、魔法大学は、長期休みに入ったのだった。

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