迷宮(ラビリンス)①
今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。
予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。
少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。
誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。
魔法大学に赴任してから、1ヶ月が経過した頃、ルーシュは、マグドリア学長に呼び出されていた。
講義に何か問題があったのかな?と、理由を考えるが、思い当たる事が無い。講義は、毎回、満席で、今では、人気の講義になっている。生徒は勿論の事、教員達も、食い入る様に、講義に参加している。まぁ、もし、クビ宣告を受けても、ルーシュ的には困らないので、別に構わないのだが。
そんな事を考えながら、学長室を訪れると、全く、違う理由だった。
「ルーシュ先生。お時間を頂き、ありがとうございます。」
「いえ、構いませんが、どう言ったご用件ですか?」
「ルーシュ先生、研究室を持ちませんか?」
「研究室?」
「はい。研究室とは、教員が中心となって、生徒達と共に、魔法の研鑽や研究、魔法協会に論文を発表するなど、様々な事を行う部門です。」
「はあ。」
「で、実は、生徒達と教員から、ルーシュ先生に研究室を立ち上げて欲しいとの要望がありまして、どうでしょうか?」
「生徒だけなく、教員の方も?」
「えぇ、教員の方は、共同研究を望んでいます。」
「う〜ん、ですが、僕は、1年限定の教員です。中途半端になりませんか?」
「そこで。このまま、教員のお仕事を続けませんか?」
「いえ。それは、出来ません。国王陛下の前でも申し上げた通り、僕にも予定がありますので。今は、その予定を先延ばしにしているだけなので、延長は無理です。」
「そうですか・・・、残念です。」
「特に、教員の方との共同研究は、ご遠慮したいですね。期間が足りませんし、正直に申し上げると、教員の方々の知識不足が、足枷になります。」
「そうですね、おっしゃる通りかと。共同研究を望んでいる教員の大半は、ルーシュ先生の知識を利用して、成果を上げる事を考えていますので。お恥ずかしい限りです。」
「僕の講義に、見学に来られている教員の方達の反応から、おおよその見当はついていましたが・・・。」
「では。やはり、無理でしょうか?」
「う〜ん、生徒さん達だけであれば、何とかなるかも知れませんが・・・。まぁ、人数に制限をかけてもらえば。」
「そうですね。研究室の大きさもありますし、人数は多くても、5、6人でしょうか。」
「まぁ、そのぐらいの人数であれば、平気だと思います。ですが、人選はどうするんですか?希望者が少ないなら、問題無いですが。」
「いえ、多くの生徒が、希望しています。」
「となると、差別になりませんか?僕としては、特定の個人を贔屓するのは、好まないのですが。」
「そうなると、やはり、成績の優秀な者から選ぶのが、良いかも知れませんね。それならば、努力した者が、正当に評価されるので。」
「なるほど。では、希望する生徒さんに、少し時間を与えてあげて下さい。突然、成績順にすると、選ばれなかった生徒さんが、不憫ですので。」
「分かりました。研究室の期間が短くなるのは、避けたいのですが、不平不満が出るのを防ぐ為にも、公表して、勉学に励む時間を与えましょう。
そうですねぇ、中期の定期試験の結果で、選ばれると公表します。」
「分かりました。」
学長はすぐに、ルーシュの研究室に参加出来る条件を、学内に発表した。やる気になる者、既に、諦める者など、様々な反応が生徒達にあったが、概ね、納得して、勉学に励むのだった。
対して、教員達からは不満の声が上がったが、学長自ら、教員達の力不足を説いて、黙らせた。人の力をあてにするなと。まさに、図星だった為、反論出来る者はいなかった。
ルーシュは、研究室で、何をするか考えたが、やはり、手っ取り早く成果を上げるには、新魔法の開発かなと、方針を決めた。
ルーシュは、簡単に、新魔法の開発と決めたが、本来、新しい魔法の開発は、長期間の研究の末に、それでも出来無い可能性の方が高い、研究テーマだ。1年未満で行うなど、無謀な計画だ。
しかし、ルーシュの秘匿している技能を使えば、それも可能である。発表していないだけで、既に、新魔法は出来ているし、アイデアもある。
生徒達の手を借りなくても、自己完結出来るが、一個人が開発したのと、協力者がいるとでは、大きな違いがある。ようは、生徒達の存在を隠れ蓑にして、発表するのだ。新魔法の発表など、目立つ事、この上ないが、評価は、ルーシュ個人だけで無く、協力者の生徒達にも与えられる。短い期間と言え、研究室に加わった生徒達に、大きな恩恵を与えられるので、勉学に励んだ事も報われる。
新魔法が、世間に広まれば、ルーシュも遠慮無く使えるので、助かるのだ。
教員との共同研究を拒否したのは、ルーシュ主導で行えないからだ。別に、成果を取られるのは、問題無いが、他の教員の研究の手伝いをする程、ルーシュもお人好しでも無いし、暇でも無い。
そもそも、魔法大学での講義と言うのが、ルーシュへの依頼だ。研究室を持つ事は、本来の依頼には、含まれていない。
(クビ宣告かと思ったら、仕事が増えた・・・。正直、面倒臭い。)
と言うのが、ルーシュの本音であった。
魔法大学の休日、ルーシュは、プリムと共に、王都の近場にある迷宮に来ていた。
何故、ルーシュが、そんな場所にいるのかと言うと、プリムの為である。
ルーシュが、魔法大学に通い始めてから、プリムは、留守番をする事が多くなった。
ルーシュが、一緒にいる時は大人しいのだが、いない時は、屋敷の中を飛び回ったり、壁を引っ掻いたり、手すりをかじったりと、メイド達では、手に負えない状態だった。家主の使い魔と言う事もあり、無理矢理、やめさせる事も出来ず、困っていた。
プリムは、赤ちゃんだが、竜種の頂点である。
つまり、弱肉強食の世界の頂点でもある。故に、闘争心が強い。意外な一面だった。その為、運動不足で、暴れていたのである。
そんなプリムのガス抜きの為、迷宮に来ていた。
迷宮とは、一種の特殊変異の魔物である。
魔物であるから、勿論、魔石がある。迷宮の魔石は、常に魔力を迷宮全域に流しており、迷宮自体の拡張や、自己防衛の為、魔物を生み出したり、罠を作ったりと、特殊な物である。
迷宮が魔物である最大の特徴は、宝箱などの餌を用意して、人を誘う事である。その誘った人を、襲い、殺す事で、魔力を喰らい、成長する生き物である。
成長した迷宮は、何層もの階層を持ち、その最奥に魔石があり、それは、核水晶と呼ばれている。
核水晶を破壊ないし、取り除くと、迷宮の活動は停止する。
核水晶は、長い年月をかけて、成長した迷宮になればなるほど、内包した魔力が多いい為、高値で売れるので、破壊する馬鹿は、まず、いない。
そして、成長した迷宮程、自己防衛の為、強い魔物を生み出し、一定の階層ごとに、より強い魔物を配置する。所謂、階層主である。
今日、ルーシュ達が訪れた迷宮は、それなりに古い物で、現在の最高到達階層は、地下27階層だ。迷宮の名は、スペルビア。傲慢の名を冠する迷宮である。
しかし、低層なら、出現するのは、F、Eランクの魔物だけだ。
「プリム、此処なら、暴れても、問題無いからね。」
「キュイっ!」
気合いの入っているプリム。
早速、探索を開始すると、すぐに、魔物と遭遇した。
角兎である。
サイズ的にも、プリムと変わらないので、初戦の相手としては、十分である。
「キュキュっ!」
プリムに似た声で、戦闘態勢に入る角兎。しかし、その攻撃範囲には、限りがあり、とてもじゃないが、宙を飛んでいるプリムには、届きそうに無い。
プリムは、上空から、急接近して、前足の爪を振り下ろした。
「キュイっー!」
ざっくりと、爪で切り裂くプリム。その一撃で、角兎は、絶命した。
「・・・凄いね、プリム。」
「キュイ、キュイ♪」
はしゃぐプリムと、対象的に、ルーシュは、血の海に沈んだ角兎を見て、これ、回収した方が良いのかな?と、若干、引いていた。
一応、プリムの初戦果なので、回収し、先に進む。
次に、遭遇したのは、雑魚の代名詞、小鬼だった。だが、プリムよりも、当然、大きい。どうやって倒すのか、見守っていると、小鬼の首めがけて、尻尾を振り払った。
「ギャっ!?」
悲鳴をあげ、ゴキッと、首の骨が折れる小鬼。やはり、高所と言うアドバンテージがあるプリムの方が、有利だった。
「キュイーっ!」
勝利の雄叫びをあげるプリム。よほど、ストレスが溜まっていたらしい。
この階層は、どうやら、角兎と、小鬼しかいない様で、プリムの快進撃は止まらない。時に爪、時に尻尾を使い、倒していくプリム。偶に、噛みつきを行うが、それは、勘弁して欲しいと、ルーシュは思った。
次の階層への階段を見付け、降って行くルーシュ達。
この階層の魔物は、小鬼のみで、プリムの独壇場。量産される屍と、血塗れのプリム。
ルーシュは、プリムの野生児ぶりに、更に、引いた。
もう、帰っても良いのでは?とルーシュは思ったが、どうやら、プリム的には、まだまだ、満足していない様で、そのまま、次の階層に向かって行く。
次の階層では、小鬼と、中鬼が出現。
小鬼は、難なく倒していたが、中鬼は、更に大きいので、これは、長期戦になるかもと、思っていたのだが。
「キュワっ!!」
何と、プリムが、極小の息吹を放ち、中鬼の頭が、吹き飛んだ。
(えっ!?もう、息吹使えるの!?)
流石に、ルーシュも驚いた。
これは、対策を立てないと、屋敷に、風穴が空くのも時間の問題だなと、プリムの潜在能力に、頭が痛くなった。
その後も、プリムの快進撃は、続き、地下5階層まで、辿り着いてしまった。
コボルトも出てきたが、小鬼同様、瞬殺するプリム。小さな身体は、もう、血塗れで、真っ赤か。ホワイトプリムドラゴンと言うより、あえて言うなら血塗れの竜と化していた。
しかし、プリムの快進撃も、此処までとなった。それは、階層主部屋に辿り着いてしまったからだ。中の様子を伺うと、数匹のコボルトとコボルトキングがいた。
流石に、この数と階層主は、プリムの手にあまる。
「プリム、今日はここまで。」
「キュイ?」
「おしまいだよ。帰るよ。」
「キュイ、キュイ。」
若干、駄々をこねている様だが、強制的に終了。
階層主部屋の側で、やる行為ではないが、このまま、連れて帰ると、自分も血まみれになるので、石鹸と温水を使い、プリムを洗う事にした。
「キュイ〜♪」
気持ち良さげ声をあげるプリム。どうやら、満足した様で、ホッとする。
(よく今まで、怪我人が出なかったな。いや、普通に死ぬ。まぁ、プリムが、手加減してたんだろうけど・・・。)
赤ちゃんだと侮っていたが、竜には変わりない。それも、推定 S S Sランクの。竜種に関わると、ほんと、面倒事に巻き込まれると、久々に実感したのだった。
迷宮での、プリム無双っ!再び、竜種に悩ませられるルーシュ。今後の事を考えると、迷宮にも通わなくてはならないのでしょうか?
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