表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/37

レガリス魔法大学①

今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。

 予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。

少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。

誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。

屋敷を購入し、引っ越しも無事終了した翌日。

遂に、魔法大学に通う日を迎えた。


「旦那様、馬車の準備が整いました。」


「ジャンさん、旦那様はやめて下さい。ルーシュでお願いします。」


「では、ルーシュ様で。それと、私の事も、ジャンと呼び捨てで、お呼び下さい。」


「それは、ちょっと、抵抗があるので、勘弁して下さい。」


と、不毛なやり取りをする、家主と家令。

これ以上、話を続けても、無駄と判断したルーシュは、タイラーが行者を務める馬車に乗り込んだ。


元々、魔法大学の近くの屋敷を購入したので、わざわざ、馬車で移動する必要性を感じ無かったが、それでは、タイラーの仕事が無くなってしまう。庭師も兼任しているが、庭の手入れだけでは、時間が余る。そうなると、給金に影響するので、行者もしてもらうしか無かった。


魔法大学には、すぐに、到着した。

大学の門番に、事情を説明し、学長室までの案内を頼んだ。

魔法大学は、魔法学園を卒業し、更に、成績が良かった者のみが、通える。

就学期間は、2年。17〜19歳の生徒が、在籍している。

その為、10歳のルーシュが、校内を歩けば、目立つ目立つ。


「何で、子供が、校内に?」


「やだ、あの子、可愛い。」


「見学か?でも、普通、魔法学園じゃないか?」


ルーシュを見かけた生徒達が、ヒソヒソと話し合っている。生徒達の注目を浴びながら、学長室に入って行く。

それを見届けた生徒達は、更に、騒がしくなった。


「えっ!?学長室に入ったぞっ!?」


「学長の親類なのかしら?」


「それは無いだろう。全く、似てないし。」


などと、憶測が飛び交う。

そんな中、1人の生徒が、ルーシュの素性を明かした。


「皆さん、ご存じ無いのかしら?あの方は、7賢人のお一人である、ルーシュ様ですよ。」


「えっ!?7賢人って、もしかして、最近、新しく Sランク冒険者になったっ!?」


「あんなに幼いのにっ!?」


騒がしさが、余計に増した。


「でも、よくご存じでしたね。流石は、公爵令嬢のアンジェリカ様。」


そう、ルーシュの素性を明かしたのは、パウエル公爵家のアンジェリカだった。

謁見式に、パウエル公爵が参加していたので、ルーシュの事を聞いていたのだ。

長いブランドの髪をなびかせて、自慢げに語るアンジェリカ。優越感に浸っていた。

しかし、他の女生徒から、返答に困る質問をされる。


「でも、それでは、どの様なご用件で、魔法大学に来られたんでしょうか?」


「えっ!?そ、それは、秘密ですっ!」


「そんな、教えてください、アンジェリカ様。」


「あ、後で、分かりますっ!それよりも、講堂に移動しましょうっ!講義に遅れてしまいますわ。」


答えをはぐらかして、うやむやにするアンジェリカ。

そんなやり取りが、学長室の外で、行われていたとは知らず、ルーシュは、学長と話し合いを行なっていた。


「ルーシュ殿、お待ちしておりました。」


「マグドリア学長、お世話になります。」


「それでは、こちらの帽子とローブを身につけて頂けますか?教員の制服になりますので。」


「分かりました。・・・・・サイズも問題ありませんね。もしかして、特注では?」


「ええ、普通のサイズでは、合わないと思いまして、ご用意致しました。」


「そうですか、ありがとうございます。あと、あまり、謙った言葉使いをしなくても、結構ですよ?僕は、教員。マグドリアさんは、学長なんですから。他の教員の方と、同様に接して下さい。」


「そうですね。これは、失礼。では、ルーシュ先生と、お呼びしますね。」


「はい、宜しくお願いします。それで、講義は、これからですか?」


「えぇ、ルーシュ先生と同じ、魔法理論学の教員の

ルーカス先生が、迎えに来る事になっています。」


「ルーカス先生の講義の邪魔になりませんか?」


「大丈夫ですよ。魔法理論学の講義は、一つではありませんので。ルーカス先生には、ルーシュ先生とは別に、講義を行なってもらいますので。」


「そうですか、安心しました。」


「ただ、今日は、ルーカス先生も、ルーシュ先生の講義に参加します。ルーシュ先生は、初の講義になりますので、その助手として。」


「それは、心強いですね。」


「あと、私も見学させて頂きますが、宜しいですかな?」


「勿論、構いません。拙い講義になるかも知れませんし、適性があるか、判断してもらえると助かります。」


「ルーシュ先生なら、問題無いと思いますがね。っと、ルーカス先生が来た様ですね。」


学長室にルーカスがやって来て、ルーシュと挨拶を交わす。ルーシュとルーカス。名が近いせいか、すぐに、打ち解けた。

その後、ルーカスの案内で、魔法理論学の講堂に向かうルーシュと学長。

先に、ルーカスが講堂に入り、学長も講堂の後ろに座る。ルーシュは講堂の外で、待機である。


「えー、今日は、新しく赴任して来た先生に、講義を行なってもらいます。それでは、ルーシュ先生。入室して下さい。」


ルーカスの紹介を受け、講堂に入るルーシュ。

すると、生徒達が、騒がしくなった。


「えぇ!?先生っ!?」


「本当にっ!?」


「うそっ!?」


信じられないと言った声が、所々から、あがる。無理も無い。

そんな声を聞きながら、教壇に向かうルーシュ。

横目で、講堂の生徒達の様子を伺いながら。


(ふむ。不人気と言うのは、本当かも。講堂の広さ的には、80人ぐらい入りそうなのに、今は、30人弱しか、生徒がいない。別の講義もあるって話だったけど、同じ様な感じだろうな。まぁ、気楽にいこう。)


教壇に着いたルーシュは、生徒の動揺を無視して、挨拶を始める。


「初めまして、ルーシュ・ハミットと申します。今日より、魔法理論学の臨時講師として、講義を行ないますので、宜しくお願いします。

では、早速ですが、講義を開始します。

皆さんの学習進度を確認したいので、まずは、質問から、行います。

魔法は、詠唱を行う事で発動しますが、詠唱の役割とは、どういったものですか?

答えられる方は、挙手をお願いします。」


「はいっ!」


「では、お答え頂く前に、お名前を教えて下さい。」


「アンジェリカと申しますわ。」


「では、アンジェリカさん、答えをお願いします。」


「はい。詠唱とは、事情に干渉し、それを改変して、魔法を発動する事ですわ。」


「はい、その通りです。ありがとうございました。

では、皆さんご存じの生活魔法、着火の詠唱についてですが・・・。」


黒板に、着火の詠唱文を書いていく。

生徒の中から、今更、着火の魔法?と言う声が、あがる。


「着火の魔法の詠唱文は、大気よ 魔に触れ種火を 起こせ となりますが、では、初級魔法の〈ファイアボール〉の詠唱は、どう言うか、お答え頂ける方は、挙手を。」


「はい。」


「では、お名前をお願いします。」


「ライオスです。」


「では、ライオスくん。お願いします。」


「はい。大気よ 魔に触れ火球と成り 放て です。」


「はい、その通りです。ありがとうございました。」


再び、黒板に詠唱文を書くルーシュ。


「では、この二つの魔法の詠唱文、共通点がある事に気付くと思います。

そう、大気よ 魔に触れ までが、同じ詠唱です。では、大気よ は、事情に干渉する事ですが、魔に触れ とは、何を示していますか?お答え出来る方、挙手をお願いします。」


「「「「・・・・・。」」」」


さっきまで、着火の魔法なんてと言っていた生徒達だったが、答えられる者が現れなかった。


「う〜ん、そんなに難しく考える必要は無いんですが・・・。では、時間が勿体無いので。

魔に触れ とは、自身の魔力(マナ)の事です。正確には、使用する魔力(マナ)の量を調整しています。

ただ、人によっては、魔力(マナ)の操作次第で、使用する量を任意に調整出来ます。操作次第と言ったのは、操作が未熟だと、無駄に魔力(マナ)を使い、大きな火を起こす事や、発動のたびに、その大きさが、不安定になります。

話が少しそれましたが、魔に触れ とは、魔力(マナ)の量だと言いました。つまり、着火の魔法と〈ファイアボール〉で使用する魔力(マナ)の量は同じと言う事になります。」


「知らなかった・・・。」


「へぇ〜。」


などと、少しずつ、関心を持ち始める生徒達。

ここから、更に、生徒達は、ルーシュの講義にのめり込む。


「では、残りの詠唱文についてですが、着火では、種火を 起こせ 〈ファイアボール〉では、火球と成り 放て となりますが、種火を と、火球と成り を()()()()()場合、どうなるでしょうか?」


「「「「えっ!?」」」」


困惑する生徒達。それもそうである。そんな事をした事も、考えた事も無いからだ。それは、魔法の詠唱文とは、魔法を発動させる為に必要な()()()だから。それ故に、詠唱文に手を加えるなど、あり得無いと思っている。


「どうでしょうか?どなたか、お答えしてもらえませんか?」


「えっ、発動しないんじゃない・・・。」


「だよな。定説に背くし・・・。」


コソコソと話しているが、答える者はいない。


「お答えが出ない様なので、ルーカス先生、お願いしても、宜しいですか?」


「発動しないのでは、無いでしょうか?」


「残念。発動します。」


「「「「「えっ!?」」」」」


「皆さん、お疑いの様なので、実演してみましょう。

大気よ 魔に触れ()()()()() 起こせ 〈ファイア〉。」


ルーシュが詠唱を行うと、ファイアボールと同じ火球が、手の上に()()()()()()


「うそっ!?」


「あれって、〈ファイアボール〉じゃ無いのかっ!?」


「いや、〈ファイアボール〉なら、手の上で、保持出来無いだろっ!?」


騒めく生徒達。ルーカスも同様だ。

しかし、ルーシュの講義は、まだまだ、続く。


「この様に、入れ替えを行っても、発動します。火種が、火球に変わりますが。つまり、〈ファイアボール〉の方は、入れ替えると、火種が、〈ファイアボール〉の様に、目標に向かって飛んで行く事になります。これは、講堂で行うのは、危険ですので、今は行いませんが。

では、今度は、入れ替える部分を変えて、起こせ と、放て を入れ替えたら、どうなるでしょう?」


「はいっ!」


「アンジェリカさんでしたね、どうぞ。」


「〈ファイア〉では、火種が飛び、〈ファイアボール〉では、火球が留まるのでは、無いでしょうか?」


「正解です。飲み込みが早いですね。アンジェリカさんの言う通りの結果になります。

使用する魔力(マナ)量と属性が同じであれば、詠唱文を入れ替えても、魔法は発動すると言う事です。

これは、水属性の〈ウォーター〉と〈ウォーターボール〉でも、同じ事が出来ます。

ただ、注意してもらいたいのは、〈ウォーター〉の最後の節 流せ を〈ファイア〉に使った場合は、発動しません。

それは、魔法とは、自然現象に由来するものだからです。その為、種火を 流せ と、詠唱しても、自然の摂理に反するので、発動しません。

()()()()()()()()()には、このルールを破らなければ、同じ魔法でも、違う現象を生み出す事が出来ると言う事を、覚えておいて下さい。」


詠唱の役割について、説明するルーシュ。

生徒達は、その講義に、のめり込んでいた。


「では、そろそろ、時間ですので、最後に、宿題を出して終わりとします。

詠唱文の入れ替えでも、魔法は発動すると説明しましたが、違う結果を生み出す事も出来るとも説明しました。

これから、お見せする魔法は、〈ファイア〉ですが、詠唱文を入れ替えるのではなく、()()しています。

早口で、詠唱しますので、聞き取れないと思います。ですので、どう()()したか、それを次回までに、考えて下さい。

では、発動します。大気よ・・・・・・〈ファイア〉。」


すると、〈ファイア〉の火が、大きな火になって、発動した。


「えっ!?あれが、〈ファイア〉?」


「大きくない?」


「くそっ!聞き取れなかった。」


不人気の講義とは、思えないくらいに、皆が、真剣に向き合っている。


「では、今日の講義は、終了とします。」


初めての講義としては、上々の結果である。

しかし、これは、まだ、初歩の初歩。

魔法の真理に至る為の、スタートラインに立った程度だ。僅か1年程度では、どこまで教えられるか、分からないが、ルーシュの講義を受ければ、間違い無く、魔法の技術は、向上するだろう。


初の講義を終えたルーシュは、早々に講堂を出ようとしたが、生徒達に呼び止められる。

声をかけてきたのは、アンジェリカだった。


「ルーシュ先生、この後のご予定は?」


「そうですねぇ、昼食の時間ですので、学食を食べるつもりですよ。」


「ご一緒しても、宜しいでしょうか?」


「勿論、構いません。」


「じゃあ、私もっ!!」


「僕もっ!!」


次々と、同席を願う声があがる。

たった一度の講義で、生徒達の関心を深めたのだ。

結果、十数名の生徒達と共に、食堂に向かう事になった。

学食を食べながら、生徒達からの質問にも答えてあげる。


「先生は、先程、早口で詠唱を行いましたが、本当に早くて、聞き取れ無かったです。あれは、技能(スキル)でしょうか?」


「そうです、技能(スキル)を使いました。〈高速詠唱〉と言う技能(スキル)ですね。」


「それは、僕でも、出来るのでしょうか?」


技能(スキル)には、属性魔法の様に、先天的に備わっているものと、剣術などの、修練で会得する後天的なものがある事は、知っていると思いますが、〈高速詠唱〉は、後天的に習得出来るものですので、ライオスくんだけでなく、皆さんも修練次第で、習得可能です。」


「どの様な修練が、必要ですか?」


「そうですねぇ、まずは、詠唱の一部を早口で行う事から始めて、徐々に、増やしていくと、習得し易いです。速度としては、普通の詠唱の3倍くらいでしょうか。技能(スキル)ですので、当然、熟練度(レベル)もあります。最大熟練度(レベル)5で、最上級魔法の高速詠唱が可能です。」


「先生は、今、最上級魔法に触れましたが、先生は、使えるのでしょうか?」


「使えますよ。」


「す、凄い・・・。」


「ルーシュ先生。先生が魔法に詳しい事は、先程の講義でも理解出来たのですが、現代魔法はどれくらいあるのでしょう?」


「現代魔法は、11種の属性がありますが、現在判明している魔法の数は、151個ですね。」


「そんなにあるのですね。」


「先生、僕は、火、風、水、無属性の魔法の適性しか無いのですが、それだと、覚えられる数も少ないのでは・・・。」


「えっと、貴方は、オリバーくんでしたね。そんな事は無いですよ。先程、魔法は先天的に備わっているものと言いましたが、それは、6元素魔法と無属性魔法の事です。それらの上位にあたる4大魔法は、後天的に習得可能な魔法です。ただ、それらは、2属性の合成魔法なので、適性が無いと習得出来ません。

オリバーくんは、火、風、水属性の適性があるので、炎、氷属性は、修練次第で、習得出来ますよ。

あと、先程、151個の魔法があると言いましたが、無属性魔法にこそ、1番多くの魔法があるので、心配はいりません。」


などと、質問に、躊躇なく答えるルーシュ。

十分すぎる程に、教員の仕事をこなしていた。

魔法大学の初講義を終えたルーシュ。新たな魔法の可能性を披露しました。これから先、どんな講義をしていくのか?

ブックマーク、いいね、☆評価も頂けると、励みになります。宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ