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王都レガリア②

今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。

異世界ものではありますが、主人公は、1作品目、2作品目とは、立ち位置が違います。

予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。

少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。

誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。

国王との謁見が終わったルーシュは、国王や宰相、グラン他、貴族達、本部ギルドマスターと共に、兵士の鍛錬場に移動していた。


(これだけの広さがあれば、何とか入りそうかな?それでも、ぎりぎりだな。暫く、兵士の皆さんは、此処を使えなくなるけど。)


鍛錬場と炎竜(フレイムドラゴン)の大きさを比べ、王城の敷地内なら、もう少し、広い場所があったのでは?と気になったが、此処に出す様言われていたので、指摘するのは止めた。これ以上、時間をかけたく無かったからだ。


「では、出します。」


問答無用で、炎竜(フレイムドラゴン)の亡骸を取り出した。久々に見た炎竜(フレイムドラゴン)は、痛みも腐敗も全くない、新鮮そのものだった。

国王はもとより、グランも実物を見るのは、初めて。あまりの巨大さに、暫く、言葉が出なかった。


「・・・デカいな。」


「・・・はい。」


「世には、これ程の大きさの生物が、いたのだな。」


「陛下、お気持ちはわかりますが、そろそろ、ギルドによる検分を・・・。」


「う、うむ。クラウド、どうだ?」


「はい。これ程の物になりますと、他の職員の協力も必要です。何より、それなりの時間が経過している筈なのに、全く、痛みがない。種族的な特徴なのでしょうか?

急ぎ、応援を呼びますが、それでも、数日はかかるかと・・・。」


「であろうな。財務大臣とも協力して、正確な査定額を出せ。安く見積もったりはするな。そんな事をすれば、我が国の恥となる。良いな?」


「畏まりました。」


「では、任せた。と言う事で、ルーシュよ。査定には、時間がかかるとの事だ。その間、どうする?」


「えっと、街の宿で、部屋を取って待ちます。」


「ダメだな。それでは、連絡が取れん。王城に部屋を用意させる。旅の疲れもある筈だ。暫く、休憩を取ると良い。ノービス、部屋の用意を。」


炎竜(フレイムドラゴン)のせいで、すぐに帰れないばかりか、よりにもよって、王城で過ごす事になったルーシュ。

彼の災難は、まだまだ、続く。



充てがわられた一室で、一夜を過ごしたルーシュ。

豪華すぎる部屋で、落ち着かず、休憩になっていなかった。


(査定は、いつ終わるのかな?もう、サーシャさんの家(おうち)に帰りたい・・・。)


改めて、王都に来た事を後悔していた。

そんな、ルーシュの心情を無視するかのごとく、部屋の扉が、ノックされた。


「ルーシュ様、国王陛下が、お話があるとの事です。」


またか、と、うんざりするルーシュ。正直言って、関わりたく無いが、断る口実が思いつかず、素直に従うしか無かった。


呼び出されたのは、謁見の間ではなく、国王の執務室。

部屋に入ると、国王と宰相以外に、知らない人達が待っていた。


「急に、呼び出したのは、其方に会いたいと願う者達がいてな。謁見式と違い、非公式の面会だ。気を楽にしてくれ。」


「はあ。」


「では、余の隣におるのが、妻である王妃。ビクトリアだ。」


「初めまして、ルーシュくんで良いかしら?私が、陛下の妻のビクトリアです。宜しくね。」


「はい、宜しくお願いします。」


王妃にしては、気取った感じのないビクトリアと、挨拶を交わす。


「次は私だな。第一王子のアルフレッドだ。君の事は、父上から聞いていだが、本当に男性なのか?とても、そうは見えないな。君が女性なら、間違い無く、求婚していた。残念でならない。もし、君のご家族に、姉妹がいる様なら、是非、紹介を・・・。」


「お兄様っ!初対面で失礼ですよ。」


「おっと、済まない。」


「全くっ!・・・。っ、兄が失礼しました。私は、第一王女のシャルロットと申します。ルーシュ様と同い年の10歳になります。

私も、ルーシュ様のご活躍をお聞きし、是非、お会いしたいと思っておりました。お会い出来て、光栄です。」


王子は少し軟派な性格な様で、王女は、しっかり者らしい。

国王の用事とやらは、自身の家族の紹介なのかと、そんな事で呼び出されたのかと、やや不満を感じていると、あくまで、それは口実で、本命はここからだった。


「さて、以上が、余の愛すべき家族だ。

で、ルーシュに、いくつか、質問をしたい。答えられないものは、答えなくても構わん。その上で、教えてくれ。

其方は、炎竜(フレイムドラゴン)を討伐した際、雷属性の魔法を使ったらしいが、つまり、他属性の魔法も使えるのは、間違いでは無いな。〈アイテムボックス〉も使えると言う事は、無属性魔法も、当然、使えるな?」


(あ〜、こっちが、本命か。ステータスの開示なら、問答無用で拒否出来たのに、少しずつ、探りを入れるつもりかな?まぁ、知られている範囲なら、答えるのは、問題無いか。それ以上は、答えないけど。)


「そうですね。陛下のおっしゃる通り、他の属性魔法も使えます。雷属性が使えるので、風と光、そして、火と水、無属性魔法も使えます。」


「それだけか?」


「これ以上は、ご想像にお任せします。ステータスを晒す事は、弱点を晒す事になりますので。」


「うむ、そうだな。魔法については、これ以上、詮索すまい。ならば、技能(スキル)は、どうだ?炎竜(フレイムドラゴン)に立ち向かった際、素手で殴ったと、報告があった。ならば、〈格闘術〉の技能(スキル)も、持っている。違うか?」


「ええ、持っております。あと、〈調合〉の技能(スキル)も。」


「ほう、〈調合〉も使えたのか。てっきり、戦闘系技能(スキル)に偏っていると、思っていたが。」


「レッサードラゴンや炎竜(フレイムドラゴン)を倒したのは、あくまで、自衛の為で、戦闘を好んでいる訳ではありません。」


「しかし、其方は、冒険者だ。戦闘を好まないのならば、依頼をこなせないでは無いか?」


「ギルドの依頼は、討伐依頼以外にも、様々ありますので、支障はありません。」


「そうだったな、失念しておった。では、最後に、神代宝具(アークティファクト)についてだ。

其方は、使い魔(ペット)に破格の性能の物を与えておる。自身にではなく、使い魔(ペット)にだ。それは、他にも、神代宝具(アークティファクト)を所有しておるからでは。違うか?」


「そうですね。他にも所持しております。」


「やはりか。道理で、神代宝具(アークティファクト)を与えると言っても、必要無いと答えた訳だ。

正直、聞きたい事は、まだまだあるが、これ以上、詮索すると、其方の機嫌を損ねるか・・・。

うむ。質問は、以上だ。時間を取らせた、下がって良いぞ。」


「はい、失礼しました。」


開示した情報は、最低限で済んだ。ルーシュとしては、珍しく、()()()()()()()()



それから、数日経ったが、未だに、査定が終わったとの報告が無く、ルーシュは、城内から出れなかった。もう、これ、監禁じゃない?と、思ってしまうのも、無理は無かった。そんな中、城内の様子が、少し、おかしい事に気付いた。

ルーシュは、常に〈サーチ〉を使い続けていた。別に、王都や王城に、魔物が侵入する可能性を考えていた訳ではなく、もう、習慣的に行っているだけである。〈サーチ〉は、生物の魔力(マナ)を感知する魔法だ。当然、そこには、人も含まれる。その為、城内での人の動きも掴めてしまう。城内の様子がおかしいと感じたのは、あちこちで、人が忙しなく動いているからだ。数日とは言え、王城で過ごしていたが、この様な事は無かった。

すると、ルーシュの部屋の扉がノックされた。


「ルーシュ様、ご確認したい事がございますので、お部屋に入っても、宜しいでしょうか?」


声をかけてきたのは、ルーシュの世話係のメイドだった。


「どうぞ。」


「失礼致します。・・・やはり、いらっしゃいませんね。」


「どなたがです?」


「・・・シャルロット王女様です。城内を隈なく探しているのですが、見当たらないそうです。」


「なるほど。それで、城内が忙しないんですね。」


「はい。もしやと思い、失礼を承知で、こちらも伺ったのですが・・・。失礼しました、すぐに退出致します。」


(シャルロット王女様かぁ〜。しっかり者のイメージだったけど、実は、お転婆姫だったのかな?さて、僕には関係無いけど、ちょっと気になるなぁ。それに、査定の時間に影響しないとも限らないし・・・。仕方が無い、手伝うか。)


すると、ルーシュは、ある技能(スキル)を発動する。

それは、〈千里眼〉。

遠く離れた場所からでも、対象を見つける事が出来る、レア技能(スキル)。ただし、発動には条件があり、対象の存在を知らないと、使えない。つまり、会った事の無い人は、探せないのだ。

幸い、シャルロット王女とは、面識があるので、今回は、使用可能だ。


(あれ?城内にいないぞ。ここは、王都内だけど、王城の外だな。・・・両手を後ろで、縛られている。これって、誘拐なんじゃ?・・・どうやって、誘拐したのかは分からないけど、報告だけはした方が良いかな?問題は何故、王女の場所が分かったのかだけど・・・。まぁ、何とかして、誤魔化そう。)


とにかく、報告しなければと、ルーシュは、火急の連絡があると、メイドに伝えた。

本来なら、国王と面会するには、様々な手続きが必要だが、ルーシュとの面会に応じる事にした。何となくだが、ルーシュなら、現状を打開する案を持っている気がしたからだ。


「失礼致します。」


「うむ。火急の連絡とは、もしや、シャルロットの事か?」


「はい。メイドの方から、ご事情を聞きまして。」


「それで、何が分かったのか?」


「はい。シャルロット王女様は、城内にはおりません。王城の外に、いらっしゃいます。」


「何だと?それは誠か?」


「はい。王城の外、王都内ですが、恐らく、誘拐された様です。」


「なにっ!?誘拐だとっ!?どうして、そうだと分かったっ!?」


「魔法を使い、捜索しました。」


「魔法か・・・。詳しい説明が必要だが、今は、シャルロットの身が、心配だ。何処におるのか、分かるか?」


「そうですね、王都の地理に詳しく無いので、王都の地図をご用意、頂けませんか?」


「分かった。ギルバート、地図を用意しろ。」


ギルバートと呼ばれた騎士は、王家に仕える騎士団長である。ギルバートが、地図を用意し、机上に広げた。それを確認し、〈千里眼〉で捉えたシャルロットの居場所を、指で指し示すルーシュ。


「シャルロット王女様は、此処におられます。」


「スラム街だな・・・。間違い無いのだな?」


「はい。お疑いでしたら、私が向かいますが。」


「そうだな・・・。ギルバート、兵を率いて、この場所に向かえ。ルーシュにも同行してもらう。」


「畏まりました。それでは、ルーシュ殿。ご同行、願います。」


「はい。」


ギルバート他、騎士団の兵士と共に、現場に向かう事になったルーシュ。ルーシュとしても、監禁状態から、解放されるので異論は無かった。ただ、ストレスが溜まっていたので、やり過ぎる事が、心配だが。



ルーシュ達が、向かっているとも知らず、誘拐犯達は、上機嫌だった。


「いや〜、こうも上手くいくとはな。時間をかけたかいがあったぜ。」


「全くだ。後は、この姫さんを、指定の場所まで運べば、大金が手に入るな。」


「ああ。念の為、この国からは、出た方が良いがな。」


「そうだな。協力者には悪いが、俺達は、さっさと、ずらかろう。奴らが捕まっても、国外なら、安心だ。」


と、酒を飲みながら、談笑していた。ここは、スラム街だ。まさか、こんな場所に、王女がいるなど、分からない筈だと油断していた。まぁ、常識的に考えれば。

しかし、相手は、非常識の塊であるルーシュである。彼らの命運は、尽きようとしていた。



「なぁ、なんか外が、騒がしくないか?」


「あぁ?どうせ、スラムの奴らが、小銭でも見つけて、奪い合ってんじゃないか?」


「そうかぁ?何か様子が、おかしい気がするんだが・・・。」


「だったら、出て、追っ払って来いよ。酒が不味くなる。」


「・・・ああ、行ってくる。」


誘拐犯の一人が、外に出て行った。


「全く、あいつは、気が小せいな。」


「ほんとだぜ。ついでに、酒の買い出しもさせた方が良かったな。」


馬鹿にする、仲間達。

しかし、出て行った一人が、血相を変えて、帰って来て、事態は急変する。


「ま、不味いぞっ!騎士が、騎士団が来たっ!!」


「何っ!?本当かっ!?」


「あ、あぁ!!この建物を、包囲しているっ!!」


「ちっ、内通者が、しくじったかっ!?」


「ど、どうすんだっ!?逃げ場がないぞっ!?」


「慌てんなっ!こっちには、お姫さんがいるんだ。姫さんを、盾にしてずらかるぞっ!!」


建物の外に向かう、誘拐犯達。そこが、死地になるとも知らずに。


一方、建物を包囲した騎士団とルーシュ。

ギルバートは、ルーシュに問いかけた。


「本当に、此処に、シャルロット王女様が?」


「ええ、おられます。おっと、どうやら、出てくる様ですね。」


ルーシュの指摘通り、シャルロットを連れて、誘拐犯達が、出て来た。


「ちっ、本当にいやがる。おいっ!お前らの大切なお姫様に怪我させたく無かったら、道を開けなっ!!」


「おらっ!どけって、言ってんだろっ!!早くしろっ!!」


誘拐犯の一人が、シャルロットの首元に、ナイフを突きつけ、騎士団に指示を出す。


「くっ、シャルロット様を盾に・・・。これでは、手が出せん。」


折角、シャルロットを見つけたが、人質にされては、騎士団であっても、迂闊に行動出来無い。


(仕方が無い、手を貸すか。とっとと、片付けて、帰ろう。)


ルーシュが、誘拐犯達の前に、歩み出る。


「何だ?何で、ガキが、騎士団と・・・。」


困惑する誘拐犯達。

対して、シャルロットは、ルーシュを視界に捉えると、涙を流した。


「ルーシュ様・・・。」


「もう、大丈夫ですよ。シャルロット王女様。」


「何が、大丈夫だとっ!?状況が分かってんのか、ガキっ!!」


「皆さん、素直に投降しませんか?それなら、痛い思いはしませんよ?」


「はぁ!?する訳ねーだろっ!!ガキは、すっこんでろっ!!」


「はぁ〜、警告はしましたからね。」


もう、面倒臭くなったルーシュは、誘拐犯達に、〈グラビティ〉をかけた。今回は、最初から、5倍の重力で。


「っ、が、がっ!?」


「か、か、から、だっ!?」


「ぶひっ!?」


声にならない言葉を発して、地面に沈む誘拐犯達。だが、ルーシュの追撃は、まだ、終わらない。


「ふむ。〈夜の何とか〉さん達より、丈夫ですね。まぁ、今回は、手加減はいらないでしょう。では、7倍。」


更に圧力を上げるルーシュ。鬼である。

バキバキと、骨の砕ける音が、木霊する。そして、誘拐犯達は、悲鳴すらあげる事も出来ずに、撃沈した。


突然、地面に沈み、更に、骨の砕ける音が聞こえ、意識を失った誘拐犯達を、ギルバートをはじめ、騎士団は、唖然としていた。


「ギルバートさん、制圧完了です。シャルロット王女様の保護と、其処で這いつくばっている人達をお願いします。」


「あ、あぁ、分かった・・・。」


こうして、王女の救出と、誘拐犯の撃退を済ませたルーシュ。後は、内通者の捕縛だが、それは、ルーシュの仕事では無い。

どうして、自分は、こうも、厄介事に巻き込まれるのかと、嫌気がさすルーシュだった。

炎竜の査定が終わらず、監禁状態。ストレス発散に、誘拐犯を叩きのめしたルーシュ。いつになったら、ホルルドに戻れるのか?

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