王都へ
今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。
異世界ものではありますが、主人公は、1作品目、2作品目とは、立ち位置が違います。
予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。
少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。
誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。
グラン侯爵との面会を終えたルーシュは、ギルドマスターと共に、解体場に向かった。
「ゴウン、ゴウンっ!!お願いしますっ!!」
「何だ、ギルマス?血相変えて?ん、坊主も居るって事は、またか?」
「それどころじゃありませんっ!ルーシュくんっ!!鱗を一枚出してもらえますかっ!!」
「はい。」
炎竜の鱗を出すルーシュ。
「これは、竜の鱗か?やたら、デカいな。・・・もしかして、古代竜っ!赤竜の鱗かっ!?」
「ゴウン、違いますよ。炎竜の鱗です。」
「ふ、炎竜っ!?」
「ええ、ルーシュくんが、討伐したそうです。」
「炎竜を討伐っ!?どうして、そうなったっ!?」
「それについては、諸事情があるので、詳しい事は、後で伝えます。それより、査定をお願いします。」
「査定って、こんな物、見た事ねーぞっ!!」
「そうでしょうけど、 Sランクの魔物を参考にして、何とかなりませんか? S Sランクの素材ですっ!まず、手に入りませんっ!!」
「ま、まぁ、気持ちは、分かるが・・・。そうだな、 Sランクを基準にして・・・、金貨1000枚ぐらいか?」
「と言う事ですが、ルーシュくんっ!どうでしょうっ!!」
「良いですけど、そんなに?」
「ええっ!!それでは、10枚いや、20枚、買い取らせて下さいっ!!」
「20枚ですか?」
「ええ、うちの資金ではそれ以上は、厳しいので。あっ、もしかして、それ程、ありませんか?」
「平気ですよ?20枚くらい。」
「では、お願いしますっ!!」
更に、19枚を追加するルーシュ。
「では、私と一緒に、受付カウンターに行きましょうっ!すぐに、お支払いしますっ!!」
と、サーシャの窓口に向かう、ルーシュとギルドマスター。
「サーシャくんっ!ちょっと、失礼しますね。」
「えっ?何でしょうか?」
「ルーシュくんに、素材の買取り金を、お支払いするんですっ!」
「えっ?ルーシュくん?また、何か、持って来たの?レッサードラゴン?」
「サーシャくん、違いますっ!炎竜の鱗ですっ!!」
「炎竜?」
「詳しい事は、後で、ルーシュくんに聞いて下さいっ!とにかく、非常に希少な物ですっ!!私が、お金を用意して来ますのでっ!!」
「はぁ・・・。」
金額が金額なので、ギルドマスター自身が、用意するらしい。
「ギルドマスターが、あんなに興奮しているの、初めて見たわ。そんなに価値がある物なの?」
「価値があるかは分かりませんが、この世で、一体しかいない竜の素材ですね。」
「それって、凄いんじゃないの?」
「う〜ん、そうなんでしょうか?プリムの方が、希少種ですから。」
そんな会話している間に、ギルドマスターが、戻って来た。
「お待たせしましたっ!金貨では、対応出来無いので、白金貨でお支払い致します。」
白金貨とは1枚が、金貨1000枚分である。
「こちらが、炎竜の鱗、20枚分の金額、白金貨20枚になります。」
「えっ?」
「サーシャくん、えっではありません。貴女が、ルーシュくんの担当なんですから、貴女から、お支払いして下さい。」
「は、はいっ!どうぞ、ご確認下さい。」
「確かに。」
いつもの様に、ろくに確かめもせず、〈インベントリ〉に収納するルーシュ。お金に執着がなさすぎる。
「いや〜、これ程の品ですからね。貴族の方々に高値で売れ・・・っと、失礼。口が滑りました。
それよりも、サーシャくん、お手当、凄い事になりますね。レッサードラゴン2体分の他に、これだけで、金額200枚ですからね。」
「金貨200枚・・・。」
「ええ、私のお給料なんて、霞んでしまいます。」
その会話は、ギルドマスターが騒がしかったせいで、他の職員にも聞こえていた。勿論、ビッチュにも。
「き、金貨200枚・・・。」
最初に、ちゃんと、ルーシュの対応をしていれば、自分が手に入れられた筈の手当に、今まで以上のショックを受けたビッチュ。哀れ。
ルーシュは、これ以上、留まり続けると面倒事になりそうだと思い、足早にギルドを後にした。
夜、サーシャは帰宅すると、すぐさま、ルーシュに質問した。
「ルーシュくん、どう言う事なの?」
「王都に向かう事になりました。」
「えっ!?王都にっ!って、そっちも気になるけど、違うっ!!ちゃんと説明をしてっ!!」
「えっと、話が長くなりそうなので、食事をしながらで、良いですか?」
と、提案し、夕食を食べながら、グラン侯爵との面会での話を説明した。
「・・・と言う訳で、王都に向かう事になりました。」
「そうなのね。内容が凄すぎて、整理が追いつかないけど、最初のはアレは無い。意味が分から無かったわ。」
「すいません。僕も、こんな大事になるなんて、思ってもいなかったので。くっ、炎竜めっ!」
「くっ、炎竜めっ!じゃありませんっ!全て、ルーシュくんの行動の結果ですっ!」
「うっ!?」
「たった数日で、こんなに色々やらかして、王都でも、やらかしそうで、心配だわ。」
「・・・気を付けます。」
「で、いつ、王都に向かうの?」
「さぁ?グラン様からの連絡待ちなので。ちなみに、ここから、王都まで、どのぐらいかかりますか?」
「そうね〜、馬車で向かうと思うから、6〜8日ぐらいかしら?」
「うわ、面倒臭い。」
「それでも、徒歩より早いんだから、我慢なさい。」
「・・・はい。」
「それで、王都での用事が済んだら、帰って来るの?」
「そのつもりですけど、帰って来れるんでしょうか?」
「う〜ん、どうかな?歴史的偉業を達成した訳だから、想像もつかないわね。」
「歴史的偉業ですか・・・。」
「そうよ、冒険者ランクも Sランクになるって話だし、最年少記録、最短記録なんだから。」
「僕の平穏な日常が・・・。」
「いや、既に、平穏では無かったと思うけど?」
「た、確かに・・・。」
「とにかく、準備をしないとね。」
「あぁ、それについては、問題無いかと。既に、色々、買い込んであるので。」
「そう言えば、そうだったわね。」
いつもより、時間をかけて、食事をしたルーシュ達。
このまま、出現日まで、のんびりと過ごしていたかったが、翌日の夜には、2日後の朝に、王都に向かうとの連絡を受け、当日は、冒険者ギルドの前に、集合する事になった。
一方、王都では、グラン侯爵からの最初の連絡が、届いていた。
国王の補佐である宰相は、書状を受け取ると、国王の執務室に向かった。
「陛下、ノービスです。ご報告にあがりました。」
「うむ、入れ。」
「失礼致します。」
「で、報告とは、何だ?」
「グラン侯爵から、書状が届いております。」
「グランか、よこせ。
何々・・・、ほう・・・、なんとっ!・・・まさか・・・。
ふぅ、驚きだな。」
「グラン侯爵は、何と?」
「其方も、読むがいい。」
「では、拝見させて頂きます。
・・・これは、・・・そんな事が、・・・まさかっ!・・・!!」
「どうだ?中々、興味深いであろう?」
「ええ。事実ならば、これは、とんでもない事ですね。」
「ああ、10歳の少年が、単独でレッサードラゴンの討伐、しかも2体。実力的には、 Sランク並。更に、始祖竜の赤子を従えておるとは・・・。」
「常識の枠から、飛び抜けてますね。」
「稀に、天才と呼ばれる者が生まれるが、この者は、まさにそれだな。」
「その様ですね。」
「近い将来、間違いなく、 Sランクに昇格するであろうな。楽しみだ。」
「遂に、我が国にも、 Sランク冒険者の誕生ですか。」
「ああ。しかも、最年少記録になるであろうな。」
「7人目の Sランク冒険者、最年少、始祖竜、注目の的になるでしょうね。」
グラン侯爵からの報告に、満足と期待を得る、国王と宰相。
だが、これは、まだ、序の口。あくまで、グラン侯爵が、ルーシュとの面会前に、送った書状である。
国王は、ルーシュを天才と称したが、それが、過小評価だったと、後に思い知るのだった。
ホルルドの街から、出発したルーシュ一行。
馬に騎乗した、護衛の騎士が12名。
馬車が3台で、1台目には、グラン侯爵。2台目には、ルーシュとプリム、そして、ゲイン。3台目は、食料や水、野営道具などを積んだ幌馬車。
グラン領内の街を通過しながら、他領を越えて、王都を目指す。
出発してから、僅かな時間で、馬車の旅の辛さを感じるルーシュ。何が辛いかと言うと、
(・・・お尻が痛い。)
そう、記憶がない為、馬車の旅も初体験。
ルーシュの代表的な移動方法は、空を飛ぶ〈スカイ〉である。一人であれば、〈スカイ〉で、サクッと、王都まで行けたが、今回は、同行者がいるので、使えない。
代わりに、地面の凹凸が、そのまま、馬車の振動となり、尻に伝わり、出発早々、馬車の旅が嫌になった。尻の位置をこまめに動かすが、あまり、意味は無かった。
(これ、何とかならないかな?この状態が、7日も続くの?こまめに、回復魔法をかける?いや、根本的な問題を解決しないと、痛いのは、変わらないし・・・。何か、衝撃を吸収する物がいるなぁ。でも、そんな物、買ってたっけ?・・・いや、無いな。
う〜ん・・・、用は、座席とお尻の間に、空間をっ!そうかっ!空間だっ!!空間魔法で、柔らかい布団の様な物を作れば、いけるはず。)
何やら閃いたルーシュ。早速、イメージを固め、尻と座席の間に、透明な柔らかい空気の塊を作った。結果は、良好。見事に、衝撃を吸収している。新たな魔法の誕生だ。消費魔力も、発動時だけなら、生活魔法クラス。ただ、継続して使用するなら、その分、魔力を使い続ける事になるが。
とにかく、これで、少しは快適に、移動出来ると安心する。
その後は、この魔法の名を考えたり、他の利用方法を考えたりしながら、退屈な馬車の旅を乗り切る事にした。
出発から、2日目。前日の作った魔法は、〈エアクッション〉と名付け、その利便性を考えた。
例えば、転んだ時に発動すれば、怪我の防止に繋がるし、似た様に、高い所から落ちた時にも、使える。生活魔法クラスなので、詠唱で発動する場合でも、3節と少ないので、使い易いと思った。欠点としては、発現時間の短さだろうか。
それにしても、馬上の騎士や、グラン伯爵、ゲインは、尻が痛くないのだろうか?彼らの尻は、鉄製か?などと、くだらない事を考えつつ、今日は今日とて、その魔法の派生系を模索中。
柔らかい空気の塊が、出来るなら、固い空気の塊も、出来る筈。
これを大気中に、発生させれば、宙に立つ事も可能。形状を板上にすれば、宙を歩く事も可能。
〈スカイ〉と違って、縦横無尽に、空を飛ぶ事は出来ないが、危険な地形の大地の移動など、使い道が多そうな魔法となるだろう。
しかも、今回は、戦闘面のサポートにも使える。相手より、高所を取る事は、攻守共に役立つ。
まだ、思考段階ではあるが、まず、発動可能なので、後日、検証しようと決めたルーシュだった。
3日目は、不遇とされている土属性の生活魔法を考えてみる。
〈アース〉と呼ばれる魔法、ただ、土を柔らかくする魔法である。
使用目的は、植物などの土壌作り。効果範囲は広いが、〈ブロー〉同様、不人気の魔法である。
初級魔法の〈ロックバレット〉は、土から、石の塊を作り出して、放つ魔法。
ならば、〈アース〉も、効果範囲を狭めれば、石板が作れるのではないか?それなら、街の石畳や家造りに使える。
まぁ、専門職限定でしか使えないのは、変わらないが。
当然、詠唱も改変しなければ、行使は出来無い。
しかし、魔力量を増やせば、石の椅子や、石の机なども作れる筈だ。ただ、それだと、生活魔法の魔力量を越えて、中級クラスの魔力が、必要になるだろう。こちらは、全く、新しい魔法となるので、詠唱も一から考えなければならないが。
4日目、生活魔法で、最も、役に立たない魔法、闇属性の初級魔法〈ダーク〉について考える。
〈ダーク〉は、〈アース〉同様、効果範囲は広いが、ただ、暗闇を作る魔法。
これを考案した人は、何を想定していたのだうか。
初級魔法の〈シャドウカーテン〉は、相手の眼を暗闇に包み、視界を防ぐ、それなりに役立つ魔法だが、〈ダーク〉は、意味が分から無い。生活の何の役立つと言うのか。
しかし、暗闇の濃さを調整すれば、意外に使えるかも知れない。
そのヒントは〈シャドウカーテン〉にあった。
眼だ。暗さを適度に調整し、眼の前に発動すれば、太陽の光や、眩しい光を中和、出来る。
光属性の初級魔法〈ライト 〉は、辺りを照らす魔法だ。しかし、使い方によっては、激しく光らせる事で、〈シャドウカーテン〉の様に、視界を防ぐ事が出来る。
その対応策として、〈ダーク〉の派生系のこの魔法を使えば、視界を保つ事が出来そうだ。
ただ、これは、生活魔法と呼んでいいのか、甚だ、疑問だ。
5日目、いよいよ、やる事が無くなったルーシュ。
旅の工程自体は、順調で、早ければ、明日、王都に到着出来る様だ。
これまでの道中、常に〈サーチ〉を使っていたが、街道沿いを進んでいたので、魔物との遭遇は無かった。
街道を外れた位置には、魔物の反応はあったが、遭遇していないのに、わざわざ、こちらから、攻撃をし、リスクを負う必要は無いし、旅が長引く。
同席しているゲインも、最初は、口数が多かったが、日が経つにつれて、旅の疲れか、日中でも、寝ている事が多かった。
ゲインは、王都に着き次第、冒険者ギルドの本部に向かうとの事。
ルーシュは知らなかったが、今日、王城では、えらい騒ぎになっていた。
サーシャの手当が凄い事に・・。ルーシュは、暇つぶしに、魔法の開発。魔法のお披露目はいつになるのか?
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