“Excuse”
ここに私がいたことを証明するために私はこれを遺すことにする。
王という立場故に私は全てを隠して生きていた。 私には勿体無い身分だったのですぐに双子の弟を王の座を譲ろうとした。しかし弟は『兄だから当然』と聞きいれなかった。仕方なく私は王という身分を受け入れた。国の為に色々とした。どうすれば国民が飢えることがないか?どうすればよい法案を作ることが出来るか?どうすれば隣国と友好な状態を保つことが出来るか?私は考えた。考えるために勉強をした。その甲斐があって国は大きくなった。それに伴って国民の要求も大きくなった。私は努力した。しかし全てのことを良くすることは出来なかった。それは不満となって溜っていった。溜ったものは必ず吐き出さなければならない。それは革命と言う形で吐き出された。
私以外を革命が始まる前に逃がそうとした。しかし彼等はそれを許さなかった。彼等は責任は自分達にもあると言って聞かなかったのだ。私は弟だけでも逃がそうとした。弟は私の身代わりになり、私を逃がした。
弟の死を持って革命は成功した。私は生き残り、国が見える湖の小屋に住むことにした。時折、国に入り町を見た。そこは私が王としていた頃より良くなっていた。私が死ぬべきだったのだ。私だけが死んで国を良くするべきだったのだ。
「ここに書かれていることは彼の主観から見れば全て真実です」ある国が良く見える湖の小屋で老人は兵士と少女に石盤を見せていた。
「何故そう言い切れるんですか?」
少女は老人に尋ねた。
「私は当事者だからです」
「…弟ですか?」
兵士が出されたお茶を飲みながら尋ねる。
「はい、革命は成功しました。しかし誰一人として死にませんでした。側近達は兄を追い出したかっただけなのです。だから兄を国外に亡命と言う形で追い出した時には無条件降伏したのです」
「何故そんなことをしたのですか?」
「金のためです。彼等は兄を追放して金品を取るために革命が起こるように仕組みました。そして目論見通りになりました」
「貴方は何故協力したんですか?」
「私も革命が終わってから教えられたのです」
「そうですか…」
そこまで聞くと老人は窓から国を見ました。
「兄はあの国が良くなったと言いましたが見かけだけです。私は兄がいた頃の方が国は生きていたと思っています」
「……」
「聞きたいことがあるのですがいいですか?」
「私達に答えられる質問なら」
「この石盤に書かれていることを見て何を感じましたか?」
「言い訳です」
少女が即答しました。老人は微笑むと言いました。
「私もそう思いました」