“Watchmen ”
見渡す限り真っ白な雪原をスタッドレスタイヤに代えたバギーが兵士と少女を乗せて走っていた。バギーは曲がることもせず、ただ直進し目的地を目指していた。それに乗っている少女は初めて見る雪を見ながら楽しそうに兵士に話しかけ、兵士は少女の言葉に相槌をしていた。
その光景を雪原用迷彩服を来た老兵と新兵が見ていた。老兵はアサルトライフルを、新兵はスナイプスライフルをそれぞれ背負っており、二人ともスコープでバギーを目で追っていた。
新兵が『撃ちますか?』と言うと老兵は『やめとけ』と言いながら車を指さした。老兵曰く『あのバギーは某国で開発された防弾使用と同じだ』と。
新兵はその言葉に納得して見張りに専念した。
それからすぐにバギーが停まったので、二人は細心の注意をしながらスコープで見ていた。
兵士と少女は車を降りて雪を掘りはじめた。新兵が『何をしているのでしょう?』と聞くと老兵は『夕食の準備をしているのだろう』と言いながら、兵士と少女から目を離さずに時計を見せた。
数分起つと兵士が車から固形燃料と新聞紙を持ってきて、少女がコートのポケットからマッチを出して火をつけた。すぐにそれらは燃え始め、煙が空に向かって上がり始めた。
新兵が『もしかしてあれは狼煙ではないですか!?』と興奮しながら言うと老兵は『違うとは言い切れないな』と言って、新兵に無線で連絡するように伝えて
後頭部から撃たれた。
目の前で咲いた紅い花を見て、遅れて一発の銃声を聞いて新兵はすぐに身を隠そうとしたがそれよりも早く新兵の頭は一発の銃弾によって貫かれた。
「伏せろ!」
一発目の銃声に素早く反応した兵士は遠くで血しぶきが上がるのを見て少女を素早くバギーに乗せ自身はアサルトライフルを手に取り雪原に伏せた。その間にも先程の場所でもう一つ血しぶきが上がるのを見て、撃っている方向に見当を付けて、注意深く狙撃手を探した。
そのうち、一台のトラックが近づいて来るのを見つけ、銃を構えてる人間がいないのを確認して標準を合わせた。
「我々は貴殿方を撃つつもりはありませーん!」
そのうちトラックに備えつけられている拡声機から敵意がない事を示す声が聞こえたが、兵士は銃を降ろさずにいた。
「彼らは一体なんだったんですか?」
トラックから降りてきた軍曹と名乗った人間が話しだすまえに兵士は尋ねた。
「彼らは我が国と長いこと戦争をしている国のスパイです」
「だから殺したのですか?」
「はい、旅人さん達を我が国のスパイと勘違いして報告しようとしていたのでやむを得なく射殺しました。そうしなければ関係ない旅人さん達が捕虜として拘束されてしまうところでしたから」
「…ありがとうございます」
「いえ、ではお気をつけて」
軍曹はそれだけ言うとトラックに乗り込み、すぐに去っていった。
「しかし何故彼らが旅人だと分かったんですか?」
トラックを運転をしている兵士が軍曹に話しかけた。軍曹は「それはだな」と前置きをしてから言った。
「中立だったからだ」
「はい?」
「彼らが我が国のスパイ、敵国のスパイではないことは分かるな」
「…分かりません」
「お前はご馳走を眼前にして草を食うか?」
「いえ」
「あのまま一時間走れば国に着くのにわざわざ焚火などしないだろう。それに我が国にはあのタイプのバギーは存在しないからな」
「…なるほど」
「だから助けたのだ」
「優しいですね」
「当然だ、私は人殺しは嫌いだからね。早く戦争が終わってほしいのだよ」