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“Ownership prohibition ”

「ところで貴殿方(あなたがた)は書物を何かお持ちでしょうか?」

昼過ぎに入国審査が終わり問題なく入ろうとする兵士と少女に審査官は尋ねた。

「えっと…それってこの絵本もですか?」

「はい。この国は書物の持ち込みは許可されていないんです」

「じゃあ絵本(コイツ)は北側にある城門で届けてもらえませんか」

「分かりました」



入国してまず初めに目についたのは中央に見える時計のついた大きな建物でした。その建物はこの国にあるどの建物よりも高く、歴史を感じさせた。

「凄いですね」

「あぁ、あんな凄いのはなかなか無いだろうな」

そんな感想をもらしながら兵士と少女はホテルを探すためにバギーを走らせた。


一時間も起たないうちに安いがそれなりに設備の整ったホテルにチェックインしオーナーに先程みた建物は一体何なのか兵士は尋ねた。

「あれは図書館ですよ」

「図書館?」

兵士の質問に答え、それからオーナーは得意気に話し始めた。

「はい、この国は貧富の差による知識の有無をなくすために誰でも無償で本を借りることが出来るのです。そのためどんなに貧しくて困窮している人でも努力をしてしっかりとした収入を手にすることが出来るのです」

「そうなんですか」

感心したように少女に言う。

「開館時間は08:00から23:00までですから貴方達も行ってきたらどうですか?」


「旅人さんですか?ではこちらの用紙に氏名を記入してもらえますか?」

「分かりました」

図書館に入るには証明書が必要のようであり、それに書かれていた内容に目を通したうえで二人はサインをしていた。

「しかし凄い蔵数ですね」

まだロビーに入ったばかりなのに二人の前には隙間なく―それでも本は傷まないように丁寧に置かれている5mはあるであろう本棚が中身と同じ様にびっしりと並べてあった。

「この国にある全ての書物がありますからね。それこそ学校の教科書からいかがわしい本まで」

「そうなんですか」

司書の自慢気な言葉に感心したように少女が言う。

「ではこちらのカードをお渡しします。これさえあればこの館内にある全ての本を借りることが出来ます。返却するときは出国の際に審査官に渡していただければいいです」

「わかりました」

すぐに完成したそれぞれのカードを司書から受け取り二人は入館した。



「ところで兵士さん」

「どうした?」

「『いかがわしい本』ってなんですか?」

「……少女よ」

「はい」

「キミにはまだ早い」

「…?」



「こんにちは、旅人さん」

図書館にて滞在中に読もうかと思った本を物色中に兵士は老紳士に声をかけられた。

「どうですか、我が国自慢の図書館は?」

「凄いの一言につきますね。私がいた国ではこんなにも多くの本がある場所なんてありませんでしたからね」

兵士の言葉に「そうでしょう」とまるで自分が誉められたかのように嬉しそうに老紳士はうなずく。

「ここなら読みたい本は必ず見つかりますから毎日通っているんですよ」

「毎日ですか…やはり読書がお好きなのですね。そうなると自宅にもさぞかし多くの本をお持ちなんでしょうね」

「いいえ、家には本など一冊もありませんよ」

「…はい?」

「おや、ご存知ないですか。我が国では書物の所持を禁止なのです」

「それは何故ですか?」

「全ての国民が平等に知識を持てるためですよ」

「平等に?」

「はい、例えば医者になりたい二人がいました。一人はお金に不自由なく、もう一人は今日の食事すら危うい。お金持ちは何冊も医学書を買えますが貧乏はただ一冊も買えません」

「それが不公平だと?」

「そう、人は誰しも平等なのです。知る権利もそうなのです。だから全ての国民が平等に生きる道を選べるよう、例えお金に不自由していようとも知識を得ることが出来るようにこの決まりがあるのです」

「なら学校の教科書は?」

「全て国の許可を取り指定の場所に厳重に保存しておきます。裁判官などの専門職は例外的に専門書の所持を認めていますが」


数刻後、少女は一冊の童話集を、兵士はこの国の歴史が書かれた本を一冊とサバイバル教本を一冊を借りて宿に戻った。


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