第六章 完
車で荒道を走る。
偶にがたんがたんと、揺れた。
修理に手間取り、『不快帝王』と戦ってからは数日、時間が経っている。
「••••まあ、Sランク連中は、オレら勇者連盟が責任持って対処する。一応、アフターサービスもしっかりしてんだ。そこは気にするなよ、お前ら」
その車を運転する師匠は、こう呟く。
彼らの亡骸は、俺の『収納』に入れていた。
イリスの能力だ。
使い方は何か教えてくれた。
「•••••そう」
「それなら、それなら、良かったです」
助手席のホワイトも、呟く。
後部座席にいた俺はそれを聞き、こう言った。
良かったといえば、良かった。
と思う。
「可哀想に。『不快』に巻き込まれて死ぬなんて。史上稀に見る苦痛だね。いや、逆にスッキリもしたか?あれ?どうだったっけ?ま、かわいそー。かわいそーだと思わない?君ー」
「確かに。思うかも」
最後に、イリスも話しかけてくる。
俺の隣には、手錠かけたイリスが座っていた。
「こいつ、、図太いな、、あいつの襲撃の原因、お前、だろ、、。今ならオレの尋問に答える気はあるか?『傲慢』」
「は?嫌に決まってんだろ。勇者死ね」
「極端だなこいつ、、」
イリスは中指を師匠に立てる。
師匠はドン引きした顔をして、目を逸らした。
「••••ちはる」
ここでホワイトは振り向き、俺の方を見る。
そして、席と壁の間から手を伸ばして来た。
俺はこっそり手を繋ぐ。
温かかった。
慰めてくれているのだろうか。
「、すまん、大空。こいつがカルミナ市で何をしたかについて、聞いてくれないか?手間かけてすまんが、オレには刺々しくて」
「了解です。あの、カルミナ市ではどんな事をした感じ?」
「目の前でこう言われて、解答する訳無くね?あ、でもあそこでフレジアが成長したんだよね。凄くね?フレジア。『変異』も使えるようになって。私のアドバイスのお陰かな?」
「おー。凄い。凄そう」
「そうそうそう。私が魔力強奪手術と魔力融合手術をしただけで、すぐ出て行った甲斐あったわー。自立は重要だね。フレジアは最初から一番使える奴だったけど、あれでガチで使える奴になったんだよ」
「、要らない情報が多い、、すまん、まただが、大空、なんで手術をしたか聞いてくれねぇか?報酬増やすぞ」
「は?そんなん可哀想だからに決まってんだろ。雷人族のカス共に妨げられて。可哀想な彼らに力を与える事にしたんだよ。この程度すら尋ねないと理解できないのか?アホ」
適当に会話を聞きながら、考える。
何か、俺は彼らの事がどうでも良くなってきた。
今もドンマイ、という感情以上はなんとも思っていない。
『不快帝王』と戦っていた時は、かなりあれな気持ちにもなったが。
彼と離れるごとに、その気持ちが消えていく。
その原因は、彼らとはあって数日で家族でも友達でも無かったからだろうけど。
つまり、根本の俺は関係ない彼らが死んでもどうでも良いっぽい。
これって、昔から何も変わってないような。
「お。ホワイトと大空千晴。よく見たら手を繋でる、仲良しー、え、ホワイト、見た事ない顔してんじゃん、、見とうなかった、やっぱ辞めろ!」
突如、イリスはゲシゲシと俺の足やホワイトの椅子を蹴る。
ホワイトは、イラついたように大きく眉をピクッとさせた。
「••••辞めてほしかったらこたえて。わたしの質問」
「は?嫌に決まってんだろ!何回答えさせるんですかぁ!?」
「••••••」
「、、おい、落ち着け。あと二日の付き合いだ。何もなければ、世界最大の港町、リキャプチャ市に着く」
まあ!!とりあえず!!
姉ちゃんと再会だ!
久しぶりで、懐かしい!
いえい!!
V!
Vピース!!
VVV!!
「••••ちはる。ちゅ」
ホワイトが俺の手にキスをする。
そして、姉ちゃんにもホワイトの事、紹介しよう。
俺は少しでも良い感じに過ごせてるって、表現もしたい。
とりあえず、認めてくれたら良いな。
「ぐおー!!不快な気持ちになるー!!そんなキャラじゃ無かっただろー!!ホワイト!喰らえ!椅子キック!」
「、、、やべぇな、オレ。あれ見て悲しくなんの、。統制!弟子に恋慕などしない!」
「ありがとう。ホワイト。俺もちゅ」
——-
突如、森の地面に大きな穴が空く。
そこから、黒いワームが飛び出す。
口の中には、食べた土が大量に入っていた。
直後、ワームから魔力が吹き出す。
黒い冠を被った少年が姿を現した。
『余が、また逃げる羽目になるとは、、腹立たしい。初対面の連中に、二度追われた直後にこれか、、壁として不快にさせておいた連中も、気づけばいなくなっていた、』
元の少年が、姿を現す。
顔を少し歪めていた。
『不快で不快で堪らない、、そのせいで、、余の芸術も壊れた、、だが、死ぬよりは不快ではない。よき判断だったぞ、余。芸術は新しく作ればいい』
だが、晴れやかな顔もしていた。
すぐ彼はしゃがみ、地面をいじり出す。
『余、いい造形を思いついたぞ。これをこうすれば、、いや、その前に邪魔する理解しない奴らは排除するか。『不快ゾーン』、』
『いや、キミは終わり。二度はない』
突如、黒い瞳の少女が目の前に現れる。
少年は目を見開いた。
『なに、、貴様は、、またか、、』
『そうだね。『強制循環』』
少女の片腕が、黒い粒子となる。
そして、一気に広がる。
『や、やめろ、、それは、やめろ、、』
『無理』
黒い粒子は少年を巻き込んだ。
少年の体はこの粒子に、馴染んでいく。
『ま、まだだ、、余の、余の、怒りが、、悲しみが、、孤独が、、癒されていく、、満たされる、満たされる!!!』
少年は安堵した。
だが、すぐに突如怒りの感情も湧き上がる。
飲み込まれながら、大暴れもする。
『満たされる!!満たされてしまう!!余の、余の!!不快が!!貴様ら如きに理解できるものか!!理解されてたまるか!!!許さん!!許さんぞ貴様あああぁぁぁ、、』
ジタバタと、ジタバタと少年は暴れる。
それでも、段々と飲まれていく。
『、、、•••』
抵抗虚しく、少年は吸収される。
後は黒田が一人残った。
『••••そっか』




