第八十三話 三日目前半
「マジか、、何だこれ、」
ホワイトと師匠は、立ち尽くす。
彼らの亡骸は、かなり酷い状態だった。
「••••どうする?•••死体••••」
「••••、今は、車に乗せんぞ。『傲慢』の所に突っ込むぞ」
三人とは、仲良くなれそうだったのに。
あれな気持ちになる。
だが、これで俺も完全に変われたのかな。
あまり知らない人が亡くなってこの気持ちになって。
「••••••あけた。いれて」
「うがぁぁぁ!!ムカムカする!うがうがうがうが!!ゴミ!死ね!ゴミ!!」
ホワイトが車の後ろの扉を開けた。
すると、すぐイリスの叫び声が耳に入る。
「絶対あいつだって!!腹立つ!!なんとかしてー!!なんとかして!うがぁぁ!!」
イリスは全力で鎖をガチャガチャさせた。
師匠とホワイトはそれを無視し、亡骸を運んだ。
扉もすっと閉めた。
「••••きてる。にげよう。まずい」
「••••あいつが反応してたのもこれか••••誰だ。能力は未確認、いやオレには共有されてないだけか、?」
遠くから、誰かが接近してきている。
ホワイトも師匠も、急いで車に乗り込む。
俺も、そうした。
師匠の運転で、車が発進する。
そうして荒道を走り出す。
だがこれより早く、何者かは来る。
『何者だぁぁ!!余の範囲内で!!まだ生き残っている奴はぁぁぁぁ!』
大声が聞こえた。
窓から顔を出し、後ろを見る。
『不快極まりなぁぁぁい!!余の名は!『不快帝王』!!全てを破壊するものなり!!全員消えろぉぉぉ!!』
黒い瞳をし、黒い王冠を被った少年が迫って来ていた。
彼は石で出来た非常に大きい像を何かで移動させ、それに乗って動く。
周りでは、木製や土製の謎の形な物も走っていた。
『決まったぁぁ!、かっこいい!余!!貴様らは見たか!!??にも関わらず!!理解されぬ!!不快だぁぁ!『不快出壊ム』!!』
「避けるぞ!つかまれよ!お前ら!」
像の上の少年は、手から黒いビームを放つ。
師匠は車を急カーブさせ、それを避ける。
俺とホワイトは遠心力で、車の横によった。
一方、ビームは森の土や木を貫く。
ビームが当たったそれらは、根を地面から出し、俺達を追いかけて来た。
「••••••『不快』。のうりょく、ふかい、、うぃぃ••••」
一緒に車に寄っていたホワイトは、少年の方を全力で睨む。
しかし、直後自らの頬をつねった。
こんな事をするホワイトは初めて見る。
多分怒っている。
理由があるのだろうか。
不快。
それで、怒り。
昨日もそうだった。
もしかして。
「ホワイト。ほい、ちゅ」
「••••••••、ん」
ホワイトの額にキスをする。
すると、顔が真っ赤になった。
だがすぐに返してくる。
これで少しホワイトは元の表情に戻る。
一方、俺も温かく感じた。
まだ生きている。
「多分、あの人の能力は不快な感情を増幅させる物だと思います。だから冒険者の人達も自滅しあっちゃったじゃないかと」
「••••そうか、それがあっから、「再生」のオレには効きづらのか。大空に効かねぇのは謎だが。で、どうするか。」
師匠の能力、「再生」は、魔力を通している物の状態を元に戻す能力。
ゆえに効かないのだろう。
俺に効かないのは、そんな気持ちにあんまりならないからだとは思う。
「だからホワイトも嫌な気持ちになったら何でも言って。手伝うよ」
「••••ちゅー」
ホワイトに言われたので、また額にキスをする。
すると、また唇に返してきた。
ホワイトの顔は恥ずかしいのか赤くなる。
だが、良い感じの気分そうでもあった
『貴様らぁぁ!!避けるな!!不快にしてやる!!『不快しゅウ集』!!『不快爆延ン!!』!!』
少年は真上に、巨大で真っ暗な玉を発生させる。
これは俺達の車に向けて、飛んできた。
真っ黒の玉は、車を丸ごとを巻き込みそうだ。
「ちっ!「変異」!パンチ!行ってこい!お前ら!悪ぃがお前も壁要因だ!」
触覚を生やした師匠が自らの手を殴り、窓の外で血を流す。
その血から、もう一人の触覚の生えた師匠が現れた。
「ははは!貰うぜ!自称『不快帝王』!!お前の力も!「勇気」!ぐあああ!」
新しい師匠は地面に着地した。
こうして、全身で「勇気」を纏い、黒い玉を受けようとする。
だが、すぐに巻き込まれた。
「••••••『森の光芒』。そうさい」
「『現象支配』、減ったから、少し曲げれるか、」
俺に抱かれたまま、ホワイトが天から光の柱を放つ。
それで黒い玉は少し小さくなる。
次に、俺が『支配』を使う。
同時に使える魔力量の差で、これを完全には支配出来ない。
玉は少し上に曲がった。
「ははは!ムカムカするが!協力するぜ!おら!!
復活した師匠が「勇気」で、黒い玉を下から蹴る。
ついに、黒い玉は上へ飛んでいく。
「••••ちはる。ちゅー」
「了解。ちゅ」
抱き合い、またあれをする。
また温かい。
俺もまた少し落ち着いた。
『この魔法!!また貴様かぁぁ!!不快!!不快極まりない!!『器ムぶ闇』!』
少年の周りに、何十個もの黒い棒が現れる。
それが車の周りへ降りそそぐ。
躱わせないぐらいには密集して落ちてくる。
「ちっ。もう一体だすぞ。お前!攻めて囮になる側だ!行け!」
この間に、師匠はもう一人出現させた。
その師匠は足から血を吹き出させ、空を飛ぶ。
「ちっ!!おい!!テメェが一番不快なんだよ!!気持ち悪ぃ!!迎撃してやる!!」
空中で師匠は出したロケットランチャーを乱射する。
一部はロケットランチャーで壊された。
「••••『光線』『光線』『光線』」
窓から顔を出したホワイトが、当たりそうな残りの黒い棒をレーザーで迎撃する。
これで、全てが落ちた。
「『領域操作』!捕まってください!」
その傍ら、俺は車のドアを自分とする。
これを車の進む速度より、高速で伸ばす。
壁にされ落ちていた師匠を拾いに行っていた。
「ははは!!感謝だぜ!大空!!まだ戦えて!強くなれるぜ!!喰らえよ!!足元から潰す!!」
師匠はドアに片手で掴まった。
このまま、ロケットランチャーを乱射する。
その弾が少年の乗っていた像や、辺りにあった像に着弾した。
少し壊れる。
『、余の芸術がぁぁ!!よくも!!『不快収か集』!!『不快しゅウ集』!!『不快爆延ン』!!』
少年は黒い玉を出現させる。
それに能力を使い、前の何倍もの大きさにした。
辺り一面を覆い隠すレベルのそれは、すぐ発射される。
「••••••『凄い風』。じったいはある。たぶんこれでいける」
ホワイトが風魔法を放つ。
その風魔法は、黒い玉と当たる寸前ホワイトによって止められた。
巨大な黒い玉は爆発する。
すると、爆発で発生した黒いエフェクトが周囲に伝搬していく。
「だったら俺も。『凄い風』」
俺も風を吹かし、『停滞』で止める。
これで、黒いエフェクトの伝搬も防ぐ。
『領域』で操作した部位は、そのままにしてある。
「••••すき。ちゅー」
「ちゅ、俺も好きだよ」
『この能力!!!貴様かぁぁぁ!!また!!また!しても!!邪魔するかぁぁ!!不快だぁぁ!!ふざけるなぁぁ!!』
「うるせぇ!!キメェんだよ!!テメェ!!武術の真髄!見せてやる!」
『誰だ貴様は!!不快だぁぁぁ!どけぇぇ!!』
動く巨大な像の上で、空飛ぶ師匠と少年が対峙する。
少年がまず、師匠に殴りかかる。
これをホワイトと抱き合いながら、車の後ろのガラスから見た。
師匠と少年は殴り合っていた。
少年の方が、身体能力は上だ。
『余が!!余が勝てない!!だぁぁぁ!!何故勝てないぃぃ!!余の方が強いはず!!不快だぁぁ!』
しかし、一方的に師匠が勝つ。
ついに少年はクリーンヒットを喰らった。
「武術の真髄!!やっぱ強ぇぇ!!流石オルキデ!!」
少年は像から叩き落とされる。
黒い粒子を撒き散らしながら、地面に落ちた。
「ははは!一緒に他も処理だ!!ははは!まだ戦いたいが!!」
「テメェにもトドメだ!弱かったなおい!!」
『くそがぁぁぁ!!余の芸術がぁぁ!!時間をかけた芸術がぁぁ!!余もろとも!!理解されずぅぅ!!不快だぁぁぁ!!』
少年と、周りの像に向けて、すぐ師匠達がロケットランチャーを乱射する。
全ての像が、段々壊れていく。
『消えろぉぉぉ!!『変異』!!』
直後、少年から魔力が溢れ出す。
その魔力は、本人の体積の何十倍の大きさになり。
形を成していく。
『うぼぁぁぁぁぁ!!』
そして、見えた。
非常に大きいその姿が。
巨大だが、細長く黒い外見。
その先には、口しかついて居なかった。
まるで、黒いサンドワーム。
「••••••ちゅ、」
「ちゅー」
『『闇死闇呪死』!!!』
サンドワームは口から黒く巨大なビームを放つ。
近くの森は、端から端まで消し飛ぶ。
それが目の前で起きた。
直前で、師匠は急ブレーキをかけていたのだ。
俺達は少し前に行く。
「••••ちはる。だいすき、ちゅー」
「、俺も好きだよ、ちゅー」
「おい!「変異」したんか!!ムカムカがあがんなおい!!テメェ!殺す!!」
ある師匠がサンドワームに向けて、飛んでいく。
ロケットランチャーを放つ。
それごと、サンドワームに飲み込まれた。
『ぎゃおおうゔぉぉ!!』
「、あいつ、飲み込むって概念あんのかよ、は??車!制御が効かねぇ!」
一方、車は突然急に曲がり、木に激突する。
追加で、ありとあらゆる場所が軋み始めた。
「まだ戦えるじゃねぇか!あああ!!無理だこれ!」
そんな俺達に、後ろからサンドワームが迫る。
周りの像も壊しながら、伸ばされた所に捕まっていた師匠をまず飲み込む。
そのまま、直進してくる。
見えるギリギリのスピードで、車の飲み込もうとやってきた。
「••••『森の光芒』。ちゅー」
一瞬ホワイトが口を離し、光魔法を放つ。
それすらも、サンドワームに当たる直前で、捻じ曲がった。
全く関係ない、その辺の木に当たる。
「••••••ちはる。しんでも、えいえんに、いっしょ、ちゅー」
「ちゅー。やばい」
もう真後ろの窓には、暗闇が広がっていた。
何も出来ない。
「おい!飲まれるぞ!お前ら!」
車ごと、黒いサンドワームに飲まれる。
闇の中に入っていく。




