↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/293

第八十一話 二日目 前半





 大きな車で森の中を進む。

 そこでは、異変が起き出していた。

 

「喰らえよ。ちっ。また来るか」


 師匠がハンドルを握りながら、片手で窓からロケットランチャーを放つ。

 ロケットランチャーは魔獣らを消し飛ばした。


「••••••まだすごいいる。けど、三時間ぐらいしたらいなくなる。『森の光芒(ビームライト)』」


 今、大量に魔獣たちが森から押し寄せてきてた。

 それらの対処に俺達は追われている。


 その量は余りにも多い。

 一部を丸ごと消し飛ばしも、すぐに他の魔獣や人間によって埋められるほど。


 だが、それらは車を狙っている訳ではなかった。

 全部が何かから逃げるように、大移動している。

 何かやばそうだった。


「『現象支配』!ねじ曲がれ!魔法よ!わはは!我が守りだけだと思うな!燃え尽きろ!!『凄い火(コンフラグレーション)』!」


 車に飛んできた風魔法に、女の子が能力を使う。

 風魔法は車の後ろにそらされた。


 そのカウンターで、女の子は大きい炎を放つ。

 周りの魔獣が燃えた。


「おら!見ててくれ!大空くん達!曲芸じみてて面白いぞ!!とう!」


 直後男性が扉を開け、車から飛び出した。

 元の席には魔力の込められた石が置いてある。


「あちょちょちょちょ!「全身交換」!帰還」


 男性は双剣を使い、空中で近付いてきた魔獣を切り刻む。

 その勢いで進み、他の魔獣を切り刻む。


 次の瞬間には、車に現れた。

 石は消えている。


 けれど、こうしてもすぐに魔獣の群れはやってくる。

 途切れることはない。


「••••こりゃキツいか。おい。お前ら。車を止めるぞ。個々は対して強くもない。凌ぐぞ」


「ふふふ!見せてやる!筋肉!!」


 急ブレーキで、車が止まる。

 男性が真っ先に飛び出す。


 彼は魔獣を切り刻む。

 今度は現実に、地上で攻撃していた。


「は。全員殺す」


 師匠も車から降り、ロケットランチャーを乱射する。

 魔獣や人間が吹き飛ぶ。


 俺も車から降りた。


「自分もやります。『凄い風(ゲイル)』、『凄い火(コンフラグレーション)』に「無限」と、」


「無限」の能力を使いながら、魔法を使う。

 これで魔獣たちが来る方向に、風が吹き、炎が出る。


 だけではなく、「無限」により自動でこれが永遠に繰り返される。

 これでドンドンと、動物たちは亡くなっていく。


 かなり便利である。

 周りにも置いておこう。


「ナイス!大空くん!だが!強い魔獣は俺が倒す!せっかく来たんだ!功績あげないと!」


「大空、、やっぱ成長してんな••••」


「•••••••『光線(レイ)』」


「ありがとうございます!『凄い風(ゲイル)』『凄い火(コンフラグレーション)』『凄い火(コンフラグレーション)』」


 更に風や炎を展開する。

 少し強めの魔獣は、風で足止めしている隙に、ホワイトのレーザーや男性の双剣投げで亡くなる。

 

 突如、とある魔獣?がこの壁を抜けてくる。

 目が三つ、尾が三つの狸だった。

 魔力感知でレーザーを避け、炎も風も余り効いていない。


「••••••••」


 今回は、全身鎧の人が入る。

 ノーガードで狸の突撃を受けた。


 全身鎧の人は、無傷だった。


 そして、西洋剣で狸を叩き潰す。

 狸は粒子と共に消えた。


「、下がってろ。オレが丸ごと片付ける。喰らえよ」


 車の上から師匠がロケットランチャーを乱射する。

 全てが吹き飛ぶ。


「もう大丈夫そうか。『凄い火(コンフラグレーション)』」


 辺りの魔獣は全員息がなくなった。

 新しくやってくる魔獣も俺の炎や風で、亡くなっていく。


「ちくしょぉぉぉ!!俺の活躍が薄いぃぃ!、ショック!!うええん!ぐえ!」


「田中!暇になったからって泣くな!遠距離攻撃担当のわたしの護衛をやれ!」


「怒られた。やりますよーだ。俺が」




——




 二日目の夜になる。

 魔獣らの群れは、もう来なくなっていた。

 ついでに周囲には虫すらも居なくなっている。


 そんな今日はSランク冒険者の人達が見張り担当ぁった。

 だから、俺はあるところに来ている。


「師匠ー!今空いてますか!?」


「••••大空、、あ、ああ。空いてるぜ、」


 車の上で寝転び、火魔法を明かりとして本を読んでいた師匠。

 俺が近づくと、本を急いで隠し、起き上がった。

 

「あの、久しぶりに修行を付けて欲しいというか。色々見て欲しいところがあって。良かったですかね」


「••••いいぞ。大空。見せてみろ」


 許可を貰えたので、色々やる。

『領域』と合わせて使う武人流や、『変革』での武器の操作、「交換」やら『支配』の使い方やらだ。


 師匠から見てどうかも、知りたくもあった。


「これで最後です。どうですかね?」


「••••何も言う事ねぇ、完璧だ、成長したな、、使いこなしてるぜ。魔力を、」


 いえい。

 良かったっぽい。


「••••大空はやっぱ出来るわ、、」


「ありがとうございます!ですが!師匠のお陰でもあるというか!基礎は師匠が作ってくれました!」


「、言ってくれるな、、オレも、、嬉しいわ、、修行したもんな、、」


 師匠は呟き、空を見上げる。

 満点の夜空が、そこには広がっていた。

 少し俺から目を逸らす感じでもあった。


「所で、、その、オルキデはどうなった?気になるんだ」


「自分もあんまり知らなくて。カルミナ市で一緒に四天王とかと戦ったまでしか」


「••••••そうか」


 師匠は残念そうに呟く。


 もしかして、イリカと会いたかったのかな。

 それで、謝りたかったとか?


「何か伝言があったら言ってください!イリカと会えたら、伝えておきますよ!」


「いや、いい、、オレの自己満でしかねぇから、、だが、済まんかったな、大空、殺しに行って、裏切っちまって、、」


「いや!全然!師匠にも都合があったんだと思います!ですが!何で!最強になろうと思ったのか!その帰結として弟子を取ったのか、少し気になります!」


 ここで聞いてみるチャンス。

 一緒にいた期間も長いし、あとは事情を知るだけで友達になれるかも。

 師匠の事は全然知らなかったし、聞いてもいなかった。


「知りたいか、大空、、元の世界にいた頃の話までもどるぞ、?」


「はい!気になります!」


「直球で言われると、照れんな、、」


 師匠は顔を少し赤くする。

 しかし、すぐいつもの顔になり、また空を見上げた。


「オレは、まあ、自分で言うのもなんだが、日本にいた頃は無双してたんだ。鉄パイプ持って、同じヤンキーもヤクザもボコって。追い詰められても、全部パクれっから。最強になれるって思って目指してたんだ」

 

「けど。ある日ガリ勉と馬鹿にしてた兄貴と大喧嘩になった。殴り合いにまでいっちまった。あんま喧嘩した事のない兄貴とだ」


「そんで、オレは負けた。兄貴はオレと才能は同等だったんだ。だからこそ男女の筋力差がデカかった。オレは才能と工夫さえあれば、無視できると思ってたのに」


「ま、当時のオレは挫折して。ちゃんと勉強するようになった。そんで努力して当時は珍しかったが、女だてらに良い大学にも行けた」


 師匠は淡々と語る。

 平然と言っていた。


 というか、師匠がいたのは結構古い時代っぽい?

 俺が元の世界にいた頃は、ヤンキーもヤクザもあんまりいなかったし。

 勇者ごとに、元々いた年代は違うのだろうか。


「ま、通って一年も立たないうちに事故にあって、死んじまった。努力も無駄になった。だが気付けば魔力と、兄貴とも違う能力を得て、この世界に来てた」


「それ故に、最強を再び目指しだしたんだ。二度目のチャンスが出来た。この世界だと全部魔力次第で男女差もない。時間もある。今度こそ、努力して、夢を、叶えるってな、、」


 車の上でまた寝転がる師匠。

 手足も伸ばした。


「結局お前らに会う直前に、四天王、『墓荒』のウリエルに負けてよ。プランを変えることにしたんだ。ただ特攻して戦うだけじゃなく、教えて、育てて、殺し合ってみようって」

 

 その四天王と戦ったのが、ひらめの言っていた護送任務の時なのかな?

 亜紀くんの宿でも、こんな感じのニュースは流れていたし。


「、、本当に、すまん、、お前らには悪い事をした、、弟子を取るのは辞める、だが、、今から変わろうとは、オレは思ってねぇ、、すまん、」


 師匠は空を見ながら、謝る。

 目だけはこちらを向いていた。


 だが、俺はあんまり気にしていなかった。


「ぶっちゃけ、自分も師匠の事自体はどうでも良かったというか。前までは道具としか思ってなかった点もあるというか」


「••••、ま、だろうな、、」


 少し師匠の眉はふにゃっとなる。

 多分、落ち込んでいるっぽい。


「だからこそ、今回色々知って、仲良くなりたいと思ったというか。仲良くなりたいです。色々してくれて感謝しているのは本当で、」


「大空、、」


 師匠の顔を覗き込み、そう言う。

 すると、師匠の顔が赤くなっていく。


 直後、急いで師匠は顔を逸らす。


「••••、卑怯だぜ、、、大空、、その顔で、その言動、、最近男旱りな、オレには、、効くぜ、、、」


 男ひでり?

 つまり、恋愛系のことだろうか。

 男ひでり。


 もしかして、この反応って恋愛に関係しているのか?

 たまにされるけど。


「、あの高田が、ベタ惚れするだけは、、ある、、ごほん。一応知っとけよ。最近のあいつ。誰かのためかもしれんが、やる気出しまくってんだ。積極的に情報を集め出してよ」


「師匠。すいません。話が少し逸れるんですけど、惚れるって要は恋していた感じなんですかね?自分に?」


「ん?気づいてなかったのか?あんだけ分かりやすかったってのに」


 ひらめってそうだったの?


 だから、やけにベタベタしてくるし、妙になんでも命令してくれとか言って来た感じなのか?

 思い返せば、別れる時色々して欲しいとか言ってたし。


 何か部下になりたいんだなーとは思っていたが。

 今までよく分からず、スルーしていた。


「はは。あいつもかわいそうだぜ。マジで。ま、自業自得でもあっか。大空も。やっぱり。勇者らしいぜ。ほんとに」


 だったら、悪い事をした。

 散々人の気持ちを利用している。

 今度あったら、何かするか。


 というか、やはりあの反応は恋愛方面の奴だったのか。

 思い返せば、こっちに来る前日に告白してきた書記も、たまにひらめも同じ反応をしていたのような。


 なるほど。

 じゃあ、確かっぽい?

 他にもカルミナ市の少女とかやっていた。


 いやでも、ユアも俺に微妙に似たような反応をしていたような。

 謎だ。

 

「少し、話すか。修行と関係ねぇ事。そっちは時間はあるか?」


「全然あります!自分も久しぶりに!話したいです!」


 まあ、とりあえずはいっか。

 考えるのは後回しで。

 仲良くはなれそうだし!


 口角を上げている、師匠の隣に座る。

 いえい。


「ま、でだ、大空。オレはお前らに感謝の言葉も伝えたかったんだ。お前らのお陰で、何故か役員候補になったしよ。権限上がれば、強い奴と戦う機会も増える」


「?。役員候補?そんなのがあるんですか?」


「ああ。そういや、お前の姉ちゃんもなってたぞ。役員ほぼ確実だってよ。後少し変わるだけでな」


「姉ちゃんも!どんな感じか教えて欲しいです!」


「お前、姉大好きだな、、ま、教えてやるぜ。勇者連盟の役員は、前役員が指名する感じでなれんだ。会社全体で選ばれた役員候補の中からな。本人が指名しなきゃ役員は続投だ」


 師匠は色々話してくれる。

 星空の中で、こうやって夜が更けていく。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。