表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/217

裏話3





 暫く時間が経った。


 その日の朝、イリカは「00」と正門の前に来ていた。

 正門の見た目は、ただの白い壁だ。


 「おはよう。あなたまで、『不快帝王』の討伐にまで、協力してくれるとは思わなかった。ありがとうね」


 「い、いや、全然、、私こそ、ありがとうで、、」


 そこには既に、反勇者同盟のリーダーである冷奈もいた。

 今回は目の下の隈が無い。

 

 「じゃあ、門を少し開けるね。そうしたら予定通り、すぐ出て行ってね。入ってきちゃうから」


 冷奈が正門と呼ばれる白い壁を触る。

 

 直後、壁に隙間が出来た。

 隙間は遥か上空にまで続いている。


 「••••急げ。早く出るぞ」


 「わ、分かったわ!」


 イリカ達は隙間から、外へ出た。

 すると、イリカの目には自然の緑が映る。

 

 ここは森の中だった。

 周囲には、岩肌が剥き出しの小さい絶壁が、大量にある。

 イリカはこの光景に少し見惚れてしまつ。

 

 「綺麗、、」

 

 「本当にね。ここを大侵攻の時、シェルターにすると決定した旅行の勇者を褒めたいね。それで、これについて、あなたはどう思うかな」


 この中でも一際大きい絶壁に、人一人分ぐらいの隙間が空いていた。

 その隙間から冷奈も出てき、イリカへ話しかける。


 「勇者••••勇者••••」


 こう言われ、イリカは勇者の事を思い出していた。

 自分に襲いかかって来る家族や、力を得る為殺しにかかる月下の事が頭に浮かぶ。

 一気に殺意が湧いて来た。


 「••••何で!何で!何であんな事!!!!!」


 (おい。落ち着けよ。ちっ)


 イリカは全力でそう叫び、転がっている石を蹴る。 石は遥か彼方へ飛んでいった。


 この間に右手が勝手に動き、左腕をつねる。

 イリカは結構痛みを感じた。

 

 「痛いわ!何すんの!」


 (いってぇぇ!!つねるならまだしも殴んな!計画忘れたのか!?頭悪いか!?お前は!!)


 (そ、そうだった。、ごめんなさい••••)


 エムに当たれて、イリカは少しすっきりした。

 その上自分の手を殴った事で痛みを感じ、冷静にもなる。


 「••••よく抑えた。これなら魔力が動かせなくとも十分に戦える」

 

 「うん。大丈夫だね。なら閉めるよ」


 隙間が閉まっていく。

 三秒ぐらいで、隙間は無くなった。

 

 「じゃあ、私は行くね。作戦通りあなた達は取り巻きを削っておいてね。こっちは本体を止めて、この段階に留めておくから」


 「が、頑張って、!」


 「うん。ありがとう。あなた達も頑張って。「神速」」


 冷奈はイリカに笑いかける。

 直後、消えた。


 「••••••ふぅ。いつでも撤退出来る準備はしておけ。もう来るぞ」


 「わ、分かったわ、、」


 「00」とイリカは辺りを警戒しながら、準備をする。

 二人は青白い剣を鞘から抜いたり、鎖をポケットから出したりした。

 

 (あれが行ったか。本体を相手してくれんならありがてぇが••••つか、相手を不快にする能力って本当か?なら使ってる奴は相当破滅的な野郎だぜおい)


 (そ、そうなのね、、恐ろしいわね、、)


 「••••来るぞ」


 「何かしら、、?」


 遠くの平野から、巨大なドラゴンが走って来る。

 このドラゴンには、猪のような牙と耳が付いていた。

 

 (竜族か。地竜族の。竜魔法には気を付けろよ。口からブレスが出る)


 「初撃は私がやろう。受けてみろ」


 ドラゴンに向けて、「00」が青白い剣が振るう。


 剣が一気に巨大化し、ドラゴンと衝突する。

 これで剣とドラゴンが押し合う。


 その隙にイリカは飛び上がった。

 剣をも超えて、上空へ。


 「喰らいなさい!踵落とし!!」


 上からドラゴンの頭に踵落としを喰らわす。

 ドラゴンの頭に踵がめり込む。

 だが、それだけだった。


 イリカはドラゴンの頭振りで地面に落とされる。

 またイリカは殺意が湧いた。


 「何でこんな固いのよ!!殺してやる!!」

 

 (おい。マジで落ち着けよ。竜族は元々硬い鱗を魔力でさらに強化してんだ。目は弱え。そこを狙え)


 地面に着地するイリカ。

 このタイミングを狙って、弓矢がイリカへ飛んで来た。


 「だから何よ!!遅いし威力も無いわ!」


 イリカは弓矢を掴み、飛んできた方向へ投げ返す。


 投げ返した方角には、一人の女性がいた。

 彼女の肩を弓矢が貫通する。


 (あ、、人を傷つけちゃったわ、、)


 (その程度気にすんのか?は?竜は傷つけただろ。同族への仲間意識か。金髪勇者とか埋めたじゃねぇか。んな事よりドラゴン。来てるぞ)


 ドラゴンはイリカの方を向き、口を開ける。

 竜魔法が放たれようとした。


 次の瞬間、ハンマー型になった剣がドラゴンの全身に振り下ろされる。

 ドラゴンは地面にめり込んだ。


 「••••ふぅ。あの中でよく隙を作った••••あいつはSランクの湯堂。確か能力は「戒来」」


 「00」が歩いて、近づいてくる。

 一方剣は変形し、ドラゴンの目や口から体内に侵入した。

 ドラゴンの内臓はぐちゃぐぢゃになる。

 

 「••••これで、次だ」


 「00」は弓を持った女性に向けて、また剣を振るう。

 剣はまた巨大化した。


 女性は怒りの形相で弓を放つ。

 だが片方の肩が撃ち抜かれていた為、全く威力が出ない。

 

 「••••これで、また一人、か」


 女性の全身は消し飛んだ。

 「00」は微妙な顔になる


 「••••え、死んじゃった、?あ、、」


 「••••『不快』に取り込まれた時点で、どうしようもない。殺すのが救いだ。気に病むな」


 イリカは自分が肩を撃ち抜いたせいで死んでしまったのかと、ショックを受ける。

 だがエムの言う通り、もう今更だとも少し思った。

 

 「••••••私は何故••••下を殺してまで••••」


 急に「00」は自らの首に剣を当て始める。

 首から血が出た。

 イリカはびっくりする。


 「え、え!?大丈夫!?お、落ち着いて!「00」さんのお陰で私が助かったわよ!に気にしないで!」


 焦って、イリカは「00」の手を掴む。

 少し、剣は止まった。


 「00」の目に少し正気が戻る。


 「••••••••。••••••飲まれかけたか。ぐわ」


 「え、え、なんで!?」


 剣が変形し、「00」の上半身を巻き込む。

 イリカの前には、下半身だけの「00」が残った。


 直後、「00」の上半身が突如現れる。

 自傷をする前と全く同じ状態だった。


 「••••一切、問題はない。戦えば戦うほど飲まれやすくなる。気をつけるぞ」


 平然と「00」は


 「••••そして、不明な奴も来る。見た事もない奴が。先に、こっちも注意しろ」


 「な、何あれ。あんな生き物いるの、?」


 空で謎の犬が駆けていた。

 その犬が火を纏い、イリカ達の元へ突っ込んでくる。


 (は?なんだこいつ。マジで初めて見るんだが)


 「••••私が防ごう。は」


 「00」が青白い剣を振るう。

 剣と犬が衝突し、大爆発を起こした。


 すぐに犬は離脱し、また上空を駆ける。


 「また来てるわ!喰らいなさい!」


 直後火と共に突っ込んできた犬に、イリカは石を投げた。

 大爆発が起こる。

 しかし犬は粒子を大量に出しながら、怯まず突っ込んできた。


 「••••剣も間に合わん。避けるぞ、」


 「わ、分かったわ!避ける!」


 二人は、左右に避ける。

 真ん中に犬が降って来た。

 これで、大爆発が起こる。


 「終わりだ、」


 「00」が剣を変形させ、犬を叩き潰す。

 犬は潰れた。


 この剣の下から粒子が少し出る。

 その粒子から、犬が再生していく。


 「喰らいなさい!パンチ!」


 イリカが走り、謎の犬をぶん殴る。

 粒子と共に、遥か彼方へ飛んでいく。


 「これならいけるわ!一体一体削っていけば!」


 「••••潮時だ。撤退しよう。ドラゴン一体とSランク冒険者一人、そして不明な生命体一匹。十分な戦果だ」


 「え、え、いいの、?え、?あ、あれ?」


 (••••マジか。何だよあれ。どんな終末思想してんだよ。使い手は)


 「00」が遠くを見る。

 イリカもその方角を向く。


 空からは何体かのドラゴンや数十匹の鳥。

 崖上からは羊や猿。

 平野からは人や猪やネズミなどが。


 そこには、これらが何百匹といた。

 全員、イリカ達に向かって来ている。


 「走れ。拠点に戻るぞ」


 「わ、分かったわ!」


 二人は急いで正門の絶壁へ走る。

 

 この隙に「00」は魔力を流す。

 絶壁に小さい隙間が出来た。


 「すぐ閉じるぞ。早く入ってくれ」


 「え、え?海小さんは?待たなくて良いの、?」


 「••••心配するな。奴は転移システムで直に帰ってくる」


 イリカは「00」に押し込まれ、隙間に入る。



 目線の先には、畑や平家がある景色が広がった。

 動物達はもういない。


 「••••奴は基本どんな状況で対応出来る。例え敵が大量にいてもだ。次からは気にかけなくて良い。するだけ無駄だ」


 「00」も拠点に入って来る。

 そして、すぐに扉を閉めた。


 直後、何かが扉に当たって、まあまあ揺れる。


 「わ、分かったわ••••で、でも、•••••あの量相手に、この方法で、少し削っても、意味が、あるのかしら、?」


 「意味はあるよ」


 「あ、え、」


 拠点内に突如、冷奈が現れる。

 本人は無傷だったが、服はボロボロになっていた。


 「彼は勇者連盟交通部門長兼役員とその他四名の異名付き勇者に追われてここにやって来たんだ。だから、ここから動こうとしない」


 淡々と冷奈はそう話す。

 その目には、何の感情も映していなかった。


 「そうやって移動しない分、彼の戦力も中々増えないから。削れば削った分だけ成果が出る。安心して」


 「わ、分かったわ、説明してくれて、、ありがたいわ、、」


 (うお。どうしたこいつ。感情込めろ)


 冷奈がイリカに笑いかける。

 今度は目に感情がこもっていた。

 

 「うん。こちらこそ、ありがとう。明日も出るから準備しておいてね」


 「わ、分かったわ、、しっかり休むわ、、」


 笑顔の冷奈はすぐに歩いて行く。

 これを、イリカは「00」と見送った。




—-




 

 「もしもし。そっちは元気だった?」


 「••••••作戦は失敗したわ。リーダー。お母様も捕まった•••••••••」


 「了解。作戦失敗は気に病まないでね。次善策は今見つけた」


 「••••••そう••••気に病むわよ••••」


 「それでまず、あなた達の全権は私が貰う。これは確定」


 「••••••理解してるわ••••」


 「でも安心して。これを使って必ずあなた達のお母様は救う。代え難い物だからね」


 「••••••」


 「追加で、あなた達全員に命令。動けるようになり次第、今すぐ残りの幹部全員を本部に集めて。お母様を助ける為には絶対に必須な事項だから、これは失敗したら駄目だよ」


 「•••••••••次は気を付けるわ••••••••」


 「うん。ありがとう。今度は絶対に、失敗しないでね。以上。解散だよ」










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ