第七十二話 vsフレジア
「じゃ!頑張れ!••••あいつ、国宝どこにぶん投げたんだ?とう」
女性は空を飛び、直後頭から城の床に突っ込む。
床を破壊し、そのまま下の階層に降りて行く。
女性の居た場所には謎の黒い穴が残されていた。
だが、上からは隕石が落ちて来ている。
「ぼーっとするでない貴様ら!!あの隕石はわしが担当するのじゃ!その内に他のをさっさと片して!勇者連盟の奴らを呼ぶのじゃ!!「空間捻転」!」
少女が自らの魔力を、城の上に広げる。
それに触れた隕石の落下速度が、十分の一程度になった。
「••••「変異」。あなたは死になさい」
その少女に、透明な東洋龍が突っ込んで来た。
前見た事がある。
だから、これは俺が担当しよう。
「は!「勇気」!あち!」
『融合』で隠しておいたDX刀を龍の前で構える。
そのままDX刀に龍が突撃して来た。
龍は縦に割れ、横を通り抜けていく。
こう防げたが、非常に熱い。
「勇気」と「再生」を使っているのに、体が溶け始める程度ぐらいには。
ノーガードで受けると不味い。
「やっぱこれだ!結局この体が可愛くてキレイで!才能もヤベェ!サイコーだ!」
「••••••そんな事はどうでも良いわ。早く片付けるわよ。お母様から言われたじゃない」
「テメェ!上から目線やめろよ!言われなくとも分かってるわ!全員ぶっ殺せば良いんだろ!?お母様から貰ったガトリングで!キレイさっぱり血祭りだ!」
龍が現れた所には、フレジアがいた。
このフレジアは魔力で出来たハチマキをしている。
更に隣にはフレジアとそっくりな少女もいた。
もう一人の少女は、赤い目と虹色の目のオッドアイで整った顔が特徴的だ。
二人とも、顔も体格も先程と全く違う。
「まずテメェからだ!私ら以上の奴なんていらねぇんだよ!」
付けていた腕輪からガトリングを出した少女は、俺に銃口を向ける。
すぐに俺や少女に向けて、弾が発射された。
その間に、大きくなったら青白い剣が割り込む。
青白い剣に、銃弾が何十発も当たる。
「どういう状況!?エゼルワイス様は!?大空は分かったか!?」
「ごめん!分からない!だから、とりあえず敵を倒すしかない!」
置かれてある謎の黒い穴からは、森で会ったようなキメラ達が何十匹も湧き出ている。
その一方、多分フレジアは「変異」を使っている状態だ。
そして、明らかにやばそうな白衣の人もいる。
「『壊笏』『壊翼』」
ならば、最初に弱そうな方から狙う。
こうして、徐々に削っていこう。
他の人達は黒い穴から湧いて来るキメラと戦っていて、忙しそうだし。
黒い棒を持ち、空を飛ぶ。
これで、フレジアじゃ無い方の少女に突撃する。
空を飛べば、ガトリングでも狙いづらいだろう。
「••••私が相手よ」
その俺に、透明なレーザーが飛んで来る。
空中で体を捻り避ける。
それでも少し熱い。
「あいつの能力、「模倣」か。ヤベェな。凄まじい勢いで傷が治るわ四天王の能力を使い出すわ。ハンパねぇな。他に何の能力があんのか。私も欲しかったぜ」
「••••••それもそうね。能力も合わせて、あいつは初見で対応出来る相手では無いわ。私が対応する」
「おし。フレジア。頼むぜ。死ぬのは勘弁だ。じゃあ!使徒の野郎!テメェから死ね!!」
レーザーが打れた元を見ると、フレジアの近くに透明な龍が復活していた。
もしかしてこの龍はフレジアを倒さない限り、無限に復活するのだろうか。
そっか。
覚悟を決めるしかないのか。
『壊笏』をフレジアの方に投げて牽制し、龍本体とレーザーを避け、地面に降りる。
「••••あなたも殺る気ね。私もあなたを殺したいわ。最後通報したわよね」
急いで『領域』で城の床から俺そっくりの石人形を作る。
この人形はセルフで動かす必要がある上、喰らったダメージも俺に来るが、魔力を使え魔法も武術も用いれる。
ホワイトに透明のレーザーを止めてもらえたのも相まって、これは完成した。
「ごめん。ホワイト。これと一緒に龍を足止めしといて」
「••••••わかった。たのまれた」
「「瞬動」。は!」
DX刀を渡した石人形とホワイトに龍を任せ、俺は木の枝でフレジアを刺しに行く。
フレジアが瞬きした瞬間にこれをやった。
不意が打ててれば嬉しい。
木の枝はフレジアに当たる寸前で、溶けた。
「「緩急」。行きなさい。色々」
「••••「勇気」」
カウンターで飛んできたフレジアの蹴り。
これを手でガードする。
「勇気」を纏ったその手がボキっと言った。
追加で俺は吹き飛ぶ。
急いで、着地する。
その俺に、石の犬や猿や雉が襲い掛かって来た。
これらはフレジアの足元から湧き続けてきている。
「••••あなたはこの遠距離戦法に勝てないらしいわね。『束ねた闇』」
犬達を「勇気」と木の枝で砕き、何とか黒いビームを避ける。
けれど犬達は無尽蔵に生え、俺に飛びついて来た。
「••••••身体能力も、今の状態ならあなたを格段に上回る。近づいても無駄よ••••諦めなさい」
このままでは本当に無理だ。
フレジアの身体スペックは「変異」で明らかに向上しており、俺を相当上回っている。
その上、能力を入れ替えるのも難しい。
だが、確実にやばい『傲慢』?の人が帰って来る事を考えると早めに倒さなければならない。
思い付いた。
これで行こう。
「「空砲」「空砲」「勇者の神速」」
犬達の攻撃を避け、動かないフレジアの近くに空気を当てる。
そのまま犬達にぶつかりながら、無理矢理近づいた。
「喰らえ!」
それで「空砲」を当てた場所に木の枝を刺しに行く。
恐らくあの龍もバリア?も空気を圧縮し作っている。
だから「空砲」で空気を薄くし、バリアを破る。
こうしないと、そもそも攻撃を当てられない。
「••••今回だけは慧眼ね。空気のバリアの弱点を見抜いたのかしら。「緩急」」
と見せかけて、フレジアの蹴りの間合いに入る前にジャンプする。
高速で蹴りを避け、遠くにいた弱っているのキメラの所に着地する。
このキメラは角の生えた蛇で、他の偉い人たちのパンチや謎の魔法攻撃で弱っていた。
「「緩急」「浸透」」
フレジアが刀を構え、急激に加速する。
一方、俺はキメラの蛇の頭を持つ。
これで盾のようの様に扱い、刀を防げた。
これは、行けそうだ。
キメラの蛇に、追加で俺の魔力も流しているから。
恐らく「浸透」のせいで手は痺れたが。
「喰らえ!は!!」
この蛇を鞭のように扱い、フレジアへ攻撃する。
蛇吉のお陰で、蛇の扱いはある程度慣れていた。
バリアを突破するには、こういうのを利用するしかない。
「••••残虐ね。バリア対策にはなるけれど。蛇が身を守る為に使っている魔力を、武器として使うなんて」
「勝てれば良い!負けたら終わりだから!」
「••••それもそうね」
蛇を振るう。
それに対し、フレジアの刀も伸び迎撃をする。
これを繰り返す。
何度も繰り返す。
その度に腕が段々と痺れていく。
完全に押されている。
これに乗じて、周りの猿達も集まって来ている。
その上無理やり突破した際の傷も悪化していく。
「••••諦めて、投降しなさい。あなたは「変異」を使った私に勝てないわ」
ここでタイミング良く、力を入れたフレジアに俺は吹き飛ばされる。
丁度そこには、俺を背後から攻撃しようとしていた猿達が居る。
「••••••痛。ボコられるか」
俺は猿達にぶつかり、地面に倒れた。
そこで猿に殴られ、犬に噛まれ、雉に引っ掛かれる。
結構ボコボコだ。
そんな俺に刀を構えたフレジアが、近づいて来た。