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第七十一話 登場




 あの後エゼルさんが何を条件に同盟を結んだとかを話し、最後には乾杯と言った。

 すると色んな人が乾杯と言い、こうして食事を取りながら会話し始める。


 「何か始まったけど。俺達はここで立っていていいの?」


 「大丈夫なはずだ。僕は大空達といろって言われたからな。それしか言われてないが。とりあえず、食事しよう。美味しそうだそ」


 エゼルさんからそう言われたのだろうか。

 だったら平気か。

 近くをうろうろしてよう。


 「了解。おーい。ホワイト。取るの手伝うよ。どのぐらい欲しい?」


 「••••これ。少し。きって」

 

 背伸びして料理を取ろうとしているホワイトを、手伝う。

 そこには、多分肉入りのパイ?が置いてあった。

 このパイを取り、ホワイトの皿に置く。


 「ちはる。ありがとう」


 「全然。欲しくなったらいつでも言ってくれ」


 「すばらしいな。大空。困ってる妹を助けるなんて。僕もそんな優しいお兄ちゃんかお姉ちゃんが欲しかった」


 「そ、そっか。大変な。ユアは一人っ子だっけか」


 「うん。悲しい。僕は欲しかった」

 

 「まあ、逆に一人っ子の利点もあるというか。分からないけど」


 こんな話を暫くしていると、エゼルさんに手招きされた。

 その近くには、先程の高劉超?という少女もいる。


 もしかして、友達紹介の云々だろうか。

 

 「あ。ちょっと行って来るわ。ホワイトは今すぐ取って食べたい物とかある?」


 「••••••ない。いってきて」


 「大空!友達!!ゲットできたらいいな!それと、!!ちょっと真似させて貰うぞ!」


 手を振り、ホワイト達から離れる。

 その間にユアが抜き足差し足でホワイトに近づいていく。

 

 「ほ、ホワイトさん!何か取りたい物はありますか!手伝いますよ!」


 「••••いまはとくにない」


 「そんなぁ」




 すぐ、エゼルさんの元に着く。

 そこには、やはり皇帝の一人娘?の人がいた。


 「こんばんわなのじゃ!お主の活躍は新聞で見たのじゃ!若くして四天王を倒すとは!凄いのう!」


 来て早々、笑顔の少女にそう言われる。

 この人が友達になってくれそうな人なのかな?


 「ありがとうございます。ですが、あなたも相当凄いと言いますか。若くしてこんな重要な会?に駆り出されいますから」

 

 「お主はそう思うか!わしも同じ思いじゃ!に比べて周りの連中は!わしをお飾りとしか見てない連中ばかり!特にこいつとかこいつとか!ぶち殺してやりたいのじゃ!」


 少女はエゼルさんを指差し、こう言った。

 何かかなり過激である。


 「••••彼女は、一応現皇帝の一人娘で。一応、次期皇帝の最有力候補でもありますので。仲良くしておいて損はないですよ」


 「そうなんですか。かなり偉いんですね」


 エゼルさんが青筋を浮かべながら、俺に小さく耳打ちしてくる。

 少女は俺をじっと

 

 「やはり見れば見るほど良いのじゃ!むしろ可愛いのじゃ!特に所属が無くて強いとはのう!さっきのは嘘じゃ!お主を殺すのは後にしてやるのう!」


 何故か顔を赤くした少女は、エゼルさんにそう言う。

 すると、更にエゼルさんは青筋を深めた。

 

 「何様のつもりですかね。と言いたいですが。大空さんには、仲良くして頂ければ幸いです。お互い、需要はありますから」


 「何!?需要があると!?お主もわしに興味があるのか!?見る目あるの!わしは劇を見るのが趣味なのじゃ!」


 次期皇帝?でもある人と話し始める。

 良い感じに仲良くなれそう。


 ここで、肩をを叩かれる。

 振り向くと35ぐらいの女性が立っていた。

 緑色の目を持ち、白衣を着ている。

 

 「そこの君。他人の魔力を真似出来るって聞いたんだけど。本当に?」


 「?。一応本当です」


 「なんじゃ貴様!わしとの会話中に入ってくるとは!無礼な!!」


 少女はより顔を真っ赤にしてそう叫ぶ。

 それに対し、女性は手をふらふらさせた。

 

 「あー。ごめんごめん。で、君。どう言う条件で真似出来るの?触る必要はあったり!」


 「その軽さで!ぶち殺したいのじゃ!鯛墨市の市長の妻とは言え!控えめに言って死刑!」


 「待て待て待て!すいません!!お母様はぶっ飛んだやつで!!気になった事はもうすぐ行動に移すから!ただ気にしないで下さい!」


 すぐ、双子の姉妹が駆け寄ってくる。

 どちらも17歳ぐらいで、緑色の目が特徴的だ。


 「••••何もかも考えてない行動ね。あなたは夜景にすっげぇぇをしている場合では無かったわ。すぐに戻りましょう」


 「馬鹿にしてんのか!?お前もよそ見してたじゃねぇか!行くぞ!お母様!!」


 二人とも女性の腕を掴み、引っ張る。

 女性は抵抗するも、そのまま引きずられていった。


 「これじゃ、今は無理か。あーあ。まあ後で聞けば良いや。君。じゃあまた」


 「???。また」


 「なんじゃ貴様ら!きーーなのじゃ!権力得たら殺してやるのじゃ!!!!」


 女性は双子の姉妹に連れて行かれた。

 その姉妹の内、片方が俺をチラチラ見てくる。


 「••••気付いたのは私よ。だからバランスを取って、あなたにやらせたの」


 「テメェ。死ね」


 ?。

 俺に変な所でもあったか。


 分からないし、まあいいか。

 多分二度と会わないし。

 

 「なんじゃあいつら!死ね!なのじゃ!一家まるごと処刑してやりたいのじゃ!」


 「確かにあれではありますよね。会話中に突然乱入してきたり」


 「そうなのじゃ!腹立つのじゃ!わしより未来もない年増の分際で調子乗るななのじゃ!殺してやりたいのじゃ!!」


 少女は非常に荒ぶっていた。

 手も全身も振るわせ、怒りを露わにしている。


 こんな時は、話題を逸らそう。

 都合の悪い感じだし。


 「嫌な事は一旦忘れて、劇の話をしませんか?自分も一昨日【帝国の支配者】と言う劇を見させて貰って」


 「忘れられないのじゃ!わしもあの劇の皇帝ぐらいに!お爺様ぐらいに!強ければ!あんな舐めた真似されないのじゃ!」


 「確かに強くて慕われていましたよね。四天王の半分を倒して以降は人類の希望って扱いでしたし」


 「その通りじゃ!強ければ尊敬は得られる!今のまま皇帝になってもただのお飾りなのじゃ!わしはそれは断りじゃ!」


 気づいた。

 この少女は、馬鹿にされると感じるのが嫌な傾向にあるっぽい。

 ならば何かを教えるなど、馬鹿にしていると思われる可能性がある言動はやめておこう。


 「じゃから!!おぬしが!協力してくれないかの!!週一で電話してくるだけで良いのじゃ!••••どうかの?」


 「当然。大丈夫ですよ。こちらこそお願いしたいかなと。電話番号は後で教えて頂ければ、公衆電話からさせて貰います」


 「••••••会話中失礼します。引き渡しの時間が近づきましたので。残りはお二人でお願いします」

 

 エゼルさんが嫌そうな顔で話しかけて来る。


 エゼルさん曰く。

 今回同盟に追加して、エゼルさん達が帝国の電力復旧に協力する代わりに、共和国の元国宝を引き渡す約束を結んだらしい。

 その引渡しがこれから行われるとの事。


 「やったーなのじゃ!ここまでトントン拍子に進むとは!わしの時代到来!!ここから全員やっちゃうのじゃ!!聖女のお主はどっかに行っとけなのじゃ!」


 「紹介してくれて、本当にありがとうございます。エゼルワイスさんのお陰で友達を増やせる可能性も上がって」


 「••••いえ。どっちもどっちですから。問題ありません。では、失礼します」


 エゼルさんは普段の顔に戻り、さっきの推定教壇の元へ行く。

 もうすぐ引き渡しの時間だった。

 

 後、ついでにこれが終わったらエゼルさんにも電話番号を聞こう。

 まだエゼルさんの電話番号は知らないし。


 こういうのは宜しくないと思うので、エゼルさんにも後で電話番号を聞くべきだ。

 先程、嫌な顔だったのもそれが一部の原因だと思う。

 

 「わしはこういうのでも蚊帳の外になるのじゃ。変えたいの」


 「まだ若いですし。これからだと思います。あなたも。多分」


 「急に梯子を外さないで欲しいのじゃ。もっとはっきり肯定してくれい」


 そう話す中白い布を被った物が、赤い服を着た近衛兵の人達によって、丁寧に運ばれてくる。

 これは教壇の前にドンと置かれた。


 「あれこそわしのお爺様が共和国から持って来た国宝なのじゃ。わしの家系、やばいじゃろ?」


 「神人戦争でしたっけ。聞いた事があります。凄いですね。


 その白い布が、取られる。


 中には不気味の谷に入っている黒いマネキンが立っていた。

 前、博物館で見たレプリカのレプリカのレプリカにそっくりだ。


 「こちらが私達の国宝になります。その真髄は己の魔力を与える事により、意思だけの無いもう一つの自分へ姿を変化させられる事にあります」


 エゼルさんがマイクを持ち、会場全体に語り掛ける。

 そうしながら、マネキンに触った。

 するとマネキンは。エゼルさんとそっくりに姿を変えた。


 「••••皆様も。これに触って頂いても問題ありません。メディア関係の方もどうぞ」


 エゼルさんは少しにっこりしながら、そう言う。

 皆がそっちの方を向く。



 「と。なる予定でしたが。ここで反故にします」


 会場全体がザワっとする。

 ?。

 

 「そこの貴女方。入れ替わっているのでしょう?正体を表すのならば、穏便に済ませる事も考えます」


 エゼルさんが指差したのは、白衣を着た女性と双子姉妹。

 さっき俺達に話しかけて来た人達だ。


 「••••え、私!?は!??何!?何か証拠あんの!??私が成り変わったって証拠が!!無いなら嘘つきだぞ!証拠を出せ!証拠を!!嘘っ吐きー!!君は嘘吐きー!!」


 「以前会った際とは、余りに所作が違い過ぎます。鯛墨さんは非常に礼儀正しく、その上白衣を着るような人物ではありませんでした」


 そう指摘されると、女性はダラダラと汗を流し始める。

 隣の少女二人は大きくため息を吐く。


 「そんな服装とか態度まで見てるもん!??暇なのか!?」


 「人間なら当たり前だろ。着ている服程度なら誰でも気にするわ。お母様。雑すぎんだろ」


 「お母様はいつもそう。その割に私達の意見は聞かないのよね。無駄にポジティブなのよ」


 「正体を表す気が無い、と。では、極刑という事で。さようなら」


 エゼルさんが腕を振る。

 その腕から、魔力が全体に放出された。


 この魔力に触れた白衣の女性は、圧縮され始めた。

 全身の穴という穴から、血が吹き出す。

 さらに小さくもなっていく。

 

 「痛い!死ぬ!今死ぬのは不味い!てか痛い!万物収納器!反応しろ!早く!!誰だこれ作った奴!反応おっそ!!出てこい!全身変身機!おと!!」


 すぐ、女性から爆発が起こる。

 血も辺りに飛び散った。

 砂煙が発生した。


 だが、女性は魔力感知に引っ掛からなくなる。

 多分極刑は成功したのだろう。

 一部の人はまたパシャパシャと写真を撮った。



 「『変異』!」


 次の瞬間、エゼルさんは消えた。


 そしてエゼルさんが居たはずの場所に、見たことの無い白衣の女性が立っている。

 彼女はゴツゴツとした黒い翼を生やしていた。


 「ふぅぅぅ。危ない危ない。死ぬ所だった」


 女性はそう呟く。


 遠くの姉妹の片方は笑顔に、もう片方は嫌そうな顔になった。

 その二人は、完全に見た事のある顔だった。


 「君達の末路は決まったかな。それじゃ、一応自己紹介しとくか。人間は死ぬ前に名前だけ知っておきたい事が多かったか」


 白衣の女性は顔をあげる。


 真っ黒の瞳を持ち、二十五歳ぐらいである。

 先程とは、顔も体格も全く違う。


 「私は!悪魔の天才科学者!イリス!君達によると『傲慢!残念だけど、君達は死ね!『天地に火風齎す空(ラ•ファンディモウ)』!」


 その女性は、自らの魔力を空へ飛ばす。


 すると、遥か空に火を纏った巨大な隕石が現れる。

 その隕石は帝城に向けて落ちて来た。

 やばそう。


 「私はどっか行った国宝を取りに行ってるから!フレジアとテェフルは全員殺しといて!やばくなったら逃げてもいいよ!キメラ達も頑張れ!じゃ!」


 女性はこう言い、近くに黒い穴をいくつも出現させる。

 すぐに、頭から城の床に突っ込んでいった。





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