第七十話 1995年7月27日
今日は、勇者歴1995年7月27日。
俺達は夕方、ホワイトと共にあの喫茶店へやって来た。
一昨日座っていたテラスの席に二人で座っている。
「これ。おいしい。けどもっと蜂蜜かけていい?」
「全然良いよ。好きなだけかけて貰って」
ついでに、ホワイトの願いで一昨日食べた推定パンケーキを分けて食べていた。
だが、何かホワイトにとっては甘さが足りないっぽい。
追加で、生クリームの上に蜂蜜をドバドバとかける。
「おーい!!大空!!とホワイトさん!!居るかー!!!迎えに来たぞー!!」
暫く経って、喫茶店の一階からそんな大声が聞こえる。
声的に恐らくユアだった。
空の皿を残し、二人で一階に降りていく。
「おお!居たんだな!大空!とホワイトさん!似合ってるぞ!」
「••••そう」
一階に降りると、神父服?を着ていたユアが駆け寄ってくる。
普段とは違う服だ。
これから行くパーティーは正装が必須らしく、これがユア達にとってのそう言う服なのだろう。
「よし!行くぞ!帝城に入って、右行って上上がって左行ったら会場!帝城に入って、右行って上上がって左ったら会場!よし!!行くぞ!」
「••••たのしみ。いろいろ気になる」
「あんな大きい城で何かする機会なんて中々無いよね。何があるのか、どんな感じなのか」
—-
帝城に入った。
堀はかかりっぱなしの橋を渡って超えている。
その後、階段を何回か登って、右を三度曲がり左を曲を五度曲がり左を曲二度曲がり、城の人に案内され。
パーティーの会場っぽい所に着いた。
「••••ひろい。すごい」
「広いね。それに、外も見える」
この会場には何個も足が一本のテーブル?が立っており、その上に様々な種類の軽食が置かれている。
更に天井も無く、空や帝都全体を見渡す事が出来た。
後、何か端の方ではカメラっぽい機材やマイクっぽい機材を用意している人が一杯いる。
何か、凄そうなパーティ会場。
予想外にあれだ。
周囲には、正装をした年寄り目な人が多いし。
友達紹介とエゼルさんには言われていたから、割と油断していた。
「ふぅ、、辿り着けた、、あとはこの辺で僕とうろうろしているだけで良いらしいぞ!安心だな!」
「そっか。道案内をありがとう」
「はっはー!!気にするな!僕はエゼルワイス様の言う通りに動いただけだからな!それと、最後の仕上げは、メイドの方のお陰で、、」
「確かに。まあ、城まで案内してくれたから」
「とちゅうにはいる。みて。ちはる。すごく景色いい」
「お。これも本当にね。良い感じに夕日が差し込んでるし」
城から見えるビル群に夕日が当たり、オレンジ色に輝く。
かなり綺麗だった。
今日は丁度雲もないし。
「こ、これを言うなら!ホワイトさんも!凄くいいぞ!ドレスが綺麗だし!美しくて!」
「••••そう。ちはるとえらんだ」
ユアは手をブンブンさせながら、ホワイトに話しかけ出す。
俺達の正装は、その辺の店で借りたものである。
良い感じなのを選んだが、微妙に雑だった気もした。
というか、思った。
ユアはホワイトに対してだけ、いつもと傾向が違う気がする。
かなり積極的に話しかけているような。
特別な感情でもあるのだろうか。
「もしかして、ユアってホワイトの事が気になる感じ?よく話しかけたりしてるいるけど」
「え、あ、いや、あの、そ、そんな事無いぞ、僕はロリコンじゃないから、、ロリコンじゃないぞ!僕は!」
こっそり聞く。
するとユアは冷や汗を流し出しながら、そう言い出す。
?。
果たして、どうしたのか。
よく分からないが、友達になりたいのかな。
「••••ただ、優しいなって、、許してくれるから、、顔も神様みたいに整ってて、、」
「確かに、初対面でも相当優しいよね。ホワイトは」
「••••••」
「只今より開会式を始めます。メディア関係の方々は所定の位置に着席下さい」
会場内に声が響く。
かなり透き通った聞き安い声だった。
「本日はお忙しいところをお集まり頂き、誠にありがとうございます。司会を務めます、優雅島祐介と申します。どうぞ皆様。宜しくお願いします」
このパーティにいた全員が、彼に目を向ける。
29歳ぐらいの彼は教壇っぽい物の近くに立っていた。
「初めに高劉 超閣下とフィンデビル•エゼルワイス様から、本日の懇談会についてのご挨拶を賜ります。宜しくお願いします」
このように司会の人が言った直後、多くの人が拍手をし始めた。
よく分からないが、俺もノリで拍手する。
直後、エゼルさんと一人の少女が入口から入ってくる。
少女は十三歳ぐらいだろうか。
見た目が十九歳ぐらいなエゼルさんとは、結構歳が離れている。
「はい。受けしました••••こんにちは。皆さん。まず過程は省きまして、私から、発表させて頂きます」
エゼルさんがマイクを持ち、教壇記者っぽい人達の前に立つ。
そこに少女も付いてきた。
「今回、我が国とこちらの人類共同連邦帝国間において、同盟を結ぶ事になりました。理由は、魔王国対策の為になります」
周りが一気にザワっとなる。
記者っぽい人もパシャパシャとカメラでエゼルさん達を撮り始めた。
何か凄そうだ。
「へー。帝国と共和国が同盟組むのか。凄そう。移動が楽になるかな?」
「らくになるといい」
「その程度じゃ済まないと思うぞ。多分。建国以後、帝国とは結構仲が悪いってエゼルワイス様から聞いたからな。多分騒ぎになると思うぞ」
こんな中エゼルさんは手から数十枚もの書類を出す。
それを持ち上げ、内容を周囲に見せつける。
「こちらに帝国加盟している市及び国の署名も。著名なルチルナイド王国、フロイアレ独立共同体、永年仙人境の物も突然あります。超さん。コメントをお願いします」
「••••言われなくても分かってるのじゃ。わしに求めてるのは皇帝の代理としてただ頷くだけじゃろ?」
「はい。正しくその通りで。では、お願い致します」
何か小さく話した後、少女もマイクを持つ。
そして、少女は口を開く。
「••••父も今回の同盟の件は、了承しておる。彼女の発言は父の言葉と思ってくれ」
「はい。ありがとうございます。この重大な情報についての発表がこれほど突然になった事を謝罪します。ここ直近行動が活発化している魔王国の妨害と、秘密結社反勇者同盟の動きを警戒した為です」
エゼルさんはそう言う。
皆んな静かにこれを聞く。
何か大事そう。
「だからサングラスさせられたのか!エゼルワイス様に!ようやく納得がいったぞ!」
「あんまり大声を出さないほうがいいような、?」
「あ、、済まん、、周りの人たちも、ごめんなさい」