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第七話 vsヘビ




 ヘビが大口を開けて、飛びかかってくる。

 

 『首にしがみついてて!』


 こう言い、急いで体を捻る。

 それに合わせ、右手に持っている木の枝もヘビの口が来るであろう位置に置く。

 これでどうにかなれば良いが。


 『刺さらない!?うお!』


 魔力で強化した枝の先は、予想通りヘビの口の中に刺さる。

 だが口内にさえ、ヘビには傷一つ入らない。


 その上、あまりのヘビの勢いに、俺が押される。

 俺も全体重を入れて抵抗しているのに。

 このまま押されると、穴に落ちてしまう。


 『『光線(レイ)』』

 

 背中のホワイトが光のレーザーを放つ。


 その直前、ヘビは急に力を抜いた。

 俺の押す力を使い、ヘビはかなり後ろへ飛んでいった。


 『ごめん!レーザーを打つのが読めなかった!』


 体勢を崩しかけながら、謝る。

 ヘビがやったレーザーの避け方は、俺の力を利用したものだ。


 『いい。ちはるがヘビをとめてくれないと、そもそも当たりがつけられない』

 

 『魔法しか決定打が無さそうなのに!?』


 『まずい』


 こんな中、シューという音が木の枝から聞こえる。

 手元を見た。


 枝が溶け出している。

 ヘビの唾液っぽい液体のせいで。


 毒か溶解液もへビは持っているっぽい。

 不味い。

 

 またヘビは猛スピードで地面を這ってきた。

 

 『なるべくはなれて。『凄い光(エクスプロージョン)


 ホワイトはヘビに手のひらを向ける。

 その手から光る玉が出現した。


 俺は急いで穴沿いを走っていく。


 光る玉はヘビに近づく。

 次の瞬間、強烈な光と爆風、そして砂煙が発生する。

 

 ヘビは直前で曲がり、光る玉を避けていた。


 『範囲攻撃もだめ』


 『今ヘビが何処にいるか!魔力感知で分かる!?俺は分かんなくて!』


 一方、俺は砂煙でヘビを見失った。

 耳も爆発音で、一時的に弱っている。


 『そうだった。十メートル右』

 

 『は!』


 左手首に逆さにした枝を突き刺す。

 そこから血が吹き出した。

 直後、その左手首を振り回す。


 『••••バカ』


 それで出た血を、空中で俺が止める。

 この血が壁の役目を果たすだろう。


 『離れるぞ!!』


 また穴沿いを走り出し、ヘビから離れる。

 

 後ろからドコォンという音が聞こえた。

 恐らくヘビが、止めた血にぶつかった音だ。

 能力は使うのにタメがない。

 だから、魔力感知でも避けられないはず。



 少し進み、砂煙がない所まで来た。

 ヘビはまだ付いてきていない。


 『ヘビは魔力感知を出来るよな?レーザーは見てから避けられるスピードじゃないし』


 『••••うん』


 気になった事柄を聞く。

 やっぱりそうだった。


 『俺が打てっていたら爆発するやつを、やれって言ったらレーザーを打って貰ってもいい?お互いあんまり連携し切れてないというか』


 『わかった。ちはるに任せる。けど、なるべくケガはすくなく』


 やっぱり、ホワイトは心配してくれているのだろうか。

 ちょっと、懐かしい。


 『了解。なるべく減らす。それで、今、ヘビはどこにいる感じ?』


 『前方五十メートル』


 『ありがとう』


 それを聞いた俺は、すぐ飛び上がる。

 ヘビも同じく飛び上り、噛みつこうとしてきた。

 

 『打って!』


 『••••『凄い光(エクスプロージョン)』』


 光の玉は、ヘビにぶつかり爆発する。

 光や爆風や音が、俺達に押し寄せる。

 

 これは百%ヘビに当たった。

 ヘビの視覚など諸々潰せたはずだ。

 その上爆風で俺達はふっとび、ヘビとの距離を取れる。


 『は?』


 飛んでいる最中に目を開けると、未だヘビは飛びかかってきている。

 体には追加で透明な皮を纏っていた。

 脱皮したのだろうか。

 

 だが、何とかなる!


 木の枝を振り、付いているヘビの唾液を一滴飛ばす。

 今度はヘビの居場所が分かるため、少量の液体でも問題ない。


 ドコンと言う音が響く。

 ヘビは地面に落ちていった。


 『じゅんちょうにけずってる。すごい。ちはる』


 ホワイトに多分褒められた。

 久しぶりで、嬉しい。


 『これが終わったら、もっと褒めてくれ!』


 俺は地面に着地しながら、ホワイトに言う。

 ここは、爆発した位置から百メートルぐらい離れている。

 そこで、クラウチングポーズを取った。


 『喰らえ!』


 そして、走り出す。

 木の枝は体の正面に置く。

 かなり赤い爪ヒグマを真似ている。



 ヘビもこちらへ一直線に這って来た。

 ヘビと俺の距離はあと一メートル。

 また口を空けて、俺に飛びかかってくる。


 『突き刺しアタック!』


 俺は加速したまま、口内に枝を刺しにいく。

 少しは刺さると思う。

 この先必要なのは刺さった枝が溶けない事だ。


 『枝についた唾液を止めて欲しい!お願い!』


 ついたヘビの唾液を、ホワイトに止めて貰う。


 これで唾液が壁となって、暫くは枝が溶かされない。

 助走を付けた甲斐もあり、ヘビの口内上部に枝の先が少し刺さった。


 全体重でまた押し合う。


 『やって!』


 言うと同時にヘビが一気に力を抜く。

 

 そこのタイミングで、俺が枝自体を止める。

 ヘビは後ろに行かなかった。


 『『光線(レイ)』』


 ヘビの体が、レーザーに貫かれる。



—-



 『おっしゃー!!』


 『やった』


 イエイ!Vピース!


 俺の怪我をなるべく少なくというミッションもクリアだ。

 やったね!


 『すごくすごい』


 『いえーい!ここまで来るのに色々やってきたから!ホワイトにも能力の使い方を教えて貰ったし!』

 

 ヒグマと戦って来た甲斐も、教えを貰った甲斐もあった。

 その努力が今出たのだ。

 非常に嬉しい。


 というか、今気付いた。

 自傷でどうにかすると言う考えが浮かぶのは、常識的に考えてやばい。

 野生時代の後遺症が残りまくっている。

 なるべく辞めよう。


 『うん••••いったん、おろしてほしい』


 『ほーい』


 言われた通り、背負っていたホワイトを下ろす。

 そのホワイトは何故かヘビへ近づいていった。


 『何かするの?』


 『••••ヘビを助けたい』


 ホワイトは、ヘビの体に触れた。


 ヘビは頭から尻尾までに穴が空いている。

 完全に致命傷だ。

 今すぐにでも、死んでしまいそうである。

 

 『?。傷付けたの俺達なのに?』


 『今、元凶のたよりがない。この結界、たぶん魔力を感知するのもぼうがいしてる。だから、ちょっとは知能ありそうで、ねつを感知できるタイプのこのヘビに案内してもらいたい』

 

 ホワイトは目を逸らしながら、畳み掛けるようにそう言う。


 それってマッチポンプにもなっていない作戦な気が。

 確かに色々、ある程度知能はありそうとは思っていた。

 だからこそだ。


 『••••ちはるからしたら、ヘビはころすしか』


 『全然良いよ。ホワイトが治療したいんでしょ?手伝うよ』

 

 発言を遮って、そう答える。  

 ホワイトは目を見開く。


 俺としては、試してみるのもありだと思う。

 まあもし、次ヘビが襲ってきても、また倒せば良いだけだし。


 『••••••ありがとう』


 森から出れる可能性は少しでも上げたい。

 後、ホワイトのしたい事は手伝いたくもあった。

 



 

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