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第五十話 ビリビリ






 天井の穴からビルを抜け出す。

 直後、俺に雷が直撃した。


「これなら、行けるか」


 一瞬意識を失ったが、問題無い。

 魔力の補正と「再生」の能力のお陰で、心肺も動かせている。

 大火傷を治すのに少し時間がかかる程度しか、問題がない。


 そのまま辺りを見渡す。

 雷が降る晴天の空に、青白い瞳を持つ子供が浮いていた。

 8歳ぐらいだろうか。


『バリ?バリ!?バリリ!!』


 俺は投げられ、雷神?の高度を超えた。


 直後、雷神?は俺の方を見てくる。  

 更に周囲全体に魔力を展開した。


「『壊翼』」


 運良く先程身につけられたこの能力で、全力でさらに上空へ飛ぶ。

 俺のすぐ下に雷が発生する。


『バリリリ!!ドゴオ!!ゴロ!』


 今度は俺より上空の全てで、魔力が展開される。

 その間に、雷神は光るレーザーに胴体を貫かれた。


『ゴロゴロ!!バリバババ!』


 光るレーザーで開けられた穴から、青白い粒子が噴き出す。

 すぐその穴が塞がった。

 これに一切反応せず、雷神?は上空に雷を発生させた。


 俺は急降下し、その雷を避ける。

 こうしながら、ビルから離れていく。


『バ!バリバ!バリバ!』


 次の瞬間、雷神の頭の辺りに黒いレーザーが伸びてくる。

 それは雷神の首を切断した。

 だが、頭も青白い粒子と共に、あっかり復活する。


 さらに、雷神は全体に魔力を展開し出す。

 その範囲は今まで一番広い。

 俺も内にいた。


「『壊層』。逃げろ」


 俺は全力で逃げ始める。

 この上で、防御用の技を使う。

 間に合わなかった時の保険だ。

 

『ゴロゴロ!ドゴオ!』

 

 瞬きの間に、雷神は俺の隣へ現れた。

 そのまま俺の脇腹に握り拳を振るった。

 

「いがぐ、ぐ、『壊笏』」


 拳以外の何か脇腹に突き刺さった。

 脇腹から電気が発生し、俺の体を痺れさせる。

 

 気合いを入れ、全力で離れようと羽を動かす。

 それより先に、雷神はもう片方の手を振ろうとする。

 これに対し、俺は黒い棒を出し、迎撃しようとした。


『ドコオ!、、バ!!?バリ!ゴロゴロ!』


 突如雷神は手を止め、ここより上空を見る。

 空に石の雉が飛んでいた。

 

 雉に向けて、雷神は魔力を展開する。

 この隙に黒い棒で、雷神の手を塵にした。


 そして、俺は遠くへ逃げ出す。

 脇腹に刺さった青白い棒を抜いて。


 一方、雷神は石の雉を撃ち落とす。

 この中で、雷神の頭に石がぶつけられていた。


『バリバ。バ。バリ』


 この石を全く気にせず、雷神は俺を見る。

 切った手と『壊層』で塵となった腕の部分は、もう再生していあ。

 この後すぐに、青白い球へと雷神の体が変貌する。


 球からは、雷が出た。

 雷は全力で逃げている俺の上を通っていく。

 まるで、横に雷が落ちていっているかのよう。


『バリ!ドゴオゴロゴロ!』


 枝分かれした雷から、さらなる雷が落ちて来た。

 魔力は展開されていないにも関わらず。

 全ての雷は俺に集中している。


「全力で!避ける!」


 翼を全力で振るわせ、飛び始める。

『壊笏』も構え、最初の数発も何とか迎撃した。


 だが、雷はすぐ全て止まっていた。

 更に地上から伸びて来ている刀に、元の雷は切られる。


『バ!?バリバリリ!!ドゴオオ!!』


 切られた雷が集まり、子供が出て来た。

 この子供にまたしても石がぶつかる。


『ドゴオオ!ドゴドゴオ!バリバ!』


 突如、雷神は近くに出現した黒い球へ飲み込まれていく。

 黒い球はドンドン小さくなっていく。

 

 ラッキーだ。

 ダメージが少なくすむ。

 俺はより遠くに逃げる。


 他方、この球から雷神は上半身だけを分離させた。

 上半身は俺の近くに来てすぐ、遥か上空へ消える。


 直後、俺の辺り一体全てに魔力が展開される。

 今度は移動か落雷か。


 ここで俺が黒い棒を投げる。

 囮だ。

 やばそうだから。

 

「ぐ、あ」


 棒は見事、落ちてきた一筋の雷の囮となってくれた。

 なのに雷は、そのまま俺の方へ曲がり落ちる。

 多少『壊層』で軽減されているとはいえ、全身が感電した。


『ゴロゴロゴロゴロ!!バリバリ!』


 けれど、まだ耐えられる。

 ここから離れようとした。

 

 すると、追加で俺の周囲に青白い膜が現れる。

 膜全てから雷神の声が聞こえた。


『バリリ!バリバリ!!』

 

 これはもう無理か。

 いや、まだワンチャンある。

 離れきれていないし、膜に突撃。


『ドゴ!?ゴ!?』

 

 突如何かに食われたかのように、膜の一部が抉られる。

 その何かは半透明で、魔力の塊だった。


 よく分からないが、ラッキー。

 これで、確実に遠くへ逃げられる。

 抉れた部分から脱出した。


『バリバリリ!!ドゴオオ!』


 雷神から距離を取りながら、後ろを見る。

 謎の透明な東洋龍が雷神の胴体に齧り付いていた。

 雷神も雷を出し抵抗するが、龍には全く効いた様子が無い。


『バリバリ!!!ドゴオゴロゴロ!』


 すぐに地上から車が飛んでき、雷神の下半身に直撃した。

 下半身は車に潰される。


『ドコオ!!ゴロゴロ!!ゴロゴロ!』


 雷神の上半身は龍に引きちぎられ。

 下半身があった場所からは、青白い粒子が大量に吹き出す。

 


「あれ?行けそう?」

 

 これで、雷神の体が崩れ出した。

 残った部位も、青白い粒子となり始める。


『ドゴオゴロゴロ!!!ゴロゴロゴロゴロゴロ!』


 よく分からない叫びを上げながら、雷神は消滅していく。


 最後に雷神は自らの指を雷にし、俺の方に放つ。

 この雷は、俺を追尾してきた。



「うびびびびび!!!」


 俺はその雷を避けられなかった。

 

 全身に電気が通る。

 一方、雷神は青白い粒子すらも残さず、もう消えた。


 俺はそれを見て、力が抜ける。

 頭から地上に落ちていく。



 風が頬に切る。

 落ちながら、平地となったカルミナ市とホワイト達を見る。

 助けられて、本当に良かった。

  

「あー。あべべべべべべ」


 猛スピードで俺は落ちていく。

 最中に、地上から石の柱が伸びてきていた。


 と同時に、体に鎖が巻き付いて来ていた。

 土の柱に激突する直前、鎖によって引っ張られる。

 

 直後、俺の体は止まった。

 その勢いで、鎖は何処かへ行った。


 次の瞬間、また猛スピードで落ち始める。


 真下には黒田がいた。

 避けられない。

 

「え、ボク!?おーい!こっちこっち、ぐえ、」


 手を伸ばした黒田ごと、俺は潰れてる。

 これで一応無事だった。

 だが、黒田から少し、黒い粒子が漏れる。

 

「だいじょうぶ?••••ノアも」


「お、俺は問題ないよ。黒田のお陰で。黒田は大丈夫?」


 黒田のお陰で、少ししか骨折しなかった。

 だが「再生」にしてあるので、それももう治った。

 けれど、黒田は平気だろうか。

 

「ボクも問題ないよ••••キャッチ出来て良かったよ。痛いけど」


「••••そう」


「そっか。キャッチしてくれてありがとう。黒田。助かったよ」


 相当良い感じだ。

 誰も死ななかったし。

 ついでに、俺も生き残れたし。

 いえい。


「よかったのは、ちはるの方。その犠牲でたすかったのはわかってる。けど、少しちがえば死んでた」


 捲し立てるようにホワイトは言う。

 怒っている感じだった。


「ちはるがいないと、わたしは死にたくなる。やめて」


「••••分かった。次から気をつける」


 ホワイトに責められてしまった。

 確かにホワイト達が居なかったらやばい場面がいくつかある。


 だが言い訳すると、あの後も数発は気合いで耐えられたと思う。

 最後、うっかり喰らって力が抜けてしまっただけで。


 だから、割と成功率は高かったと思う。

 生き残れる確率も、多少はあった。

 そして、この辺を直すのはちょっと難しい気もする。


 まあとりあえず言われた通り、次から気を付けるか。


「やるなら、相談して。それか、わたしもまきこんで。二人ならいきのこれるもあがる」


「お、大空を叱るなら、私を叱りなさい!巻き込んだのも私!最初投げたのも私!土の柱に落ちるのを妨害したのも私!大空は悪くないわ!やるなら私にやって!」


 イリカが走って乱入してくる。

 そして、頬を差し出した。


 ホワイトは首を傾ける。


「なにを?」


「ほら!あるじゃない!男の人に対して本当に怒ったらする奴!それをするなら私にして!」


「なにを?」


「え、え?本当に怒ったらビンタしないの、、?お、おかしいわ、、お母さんが、お父さんにしてたのに、」


「なにを?」


 ホワイトと会話するイリカ。

 微妙に会話が通じていなかった。


 一方、俺の近くにはフレジアがいつの間にかやって来る。

 フレジアは俺の前にしゃがみ込む。

 

「私が居なかったら、あなたは死んでたわ。何をしているの」

 

「ごめん。でもありがとう。フレジアの考えを無視したのに助けてくれて」


「当たり前じゃない。ここまで親しい他者なんて、千晴だけだけよ。今までも。これからも。そう思っていたのに」


 フレジアが俺の手を握り、指を絡めてくる。

 この手は震えていた。


「また二人でイチャイチャしましょう。あれは楽しかったわ」


「••••分かった。俺も減刑して貰えるよう頑張るから。それが終わったら、またしよう」


「は?どう言う意味?」


「あの、、キミ達。空気読めてないけどさ。ボクがヤバい。早くどいて、、」

 


 




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