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第四十八話 ???





「いえい!勝利!」


 車に乗ったまま、ガッツポーズを取る。

 男は自ら吹き飛んで以降、戻ってくる気配もない。


 黒い水が上から降って来た際、俺は急いで地面に降りた。

 ここで『領域』でコンクリートを操り、地面の奥に人が一人入れる穴を開けたのだ。

 そして、「透明」になり隠れていた。

 

 これが大正解だった。

 男はを地面に接触する直前で消したから。

 その上、男は遠くを見、何かを探し始めた。

 だから、俺は地面を戻しながらこっそり良い感じの武器を探していたのだ。


 その結論は車だ。

 多少黒い塵になっても動けるし、大きさもそこまでなので、倍率は落ちるが魔力で強化も出来る。


 近くの駐車場にあったこの車にまた『領域』を使い、ドアを開けエンジンを動かした。

 そのまま車に乗り、「透明」になって男を監視していて、最後にこれだ。


「大空!!良かったわ!私が巻き込んで殺しちゃったのかと!」


「ちゃんと無事だぜ。車は壊れたけど」


 窓の外で喜んでいるイリカに向けてピースする。

 走り寄って来たイリカは少し涙ぐんでいた。


 だが、車の件は悪いことをした。

 完全に盗難な上、男と直接ぶつかった影響で車の前方がボロボロだ。

 やっちゃった。


「あ。けど、ちょっと待って。フレジアにもトドメを刺すから。少し離れてくれない?」


「え?え?え?だ、大丈夫よ?しばらくうごけないと思うわ、?」


 俺はフレジアの方に目を向ける。

 フレジアはぐったりと倒れ込んでいた。


 だが、フレジアには謎の能力がある。

 あの状態からでも、攻撃が出来るかも知れない。

 だから、その前に轢く事が色々正解のはず。


 アクセルを踏みこむ。


「••••••まだうえのを助けるのにつかえる。いかして」


 急に車が止まる。

 ホワイトの『停滞』だ。

 車の分、大幅に体積が増えているので、普段なら効かないこれが効く。


「そっか。それなら俺はフレジアを監視しておく。何か困ったら呼んで」


 ブレーキを踏む。

 直後、『停滞』が解かれ、急ブレーキで車が止まる。

 こうして、俺は車から降りた。


「なにか、用、かしら」


 フレジアの方へ歩いて行く。

 すると、フレジアは俺を見た。

 

「何もさせないように見張っているだけ」


 ポケットから木の枝を出す。

 これで、何かしたらいつでも行ける。


「なにも、しないわ••••••作戦も失敗、したもの」


「そっか。所で、上の少女を解放して貰う事は出来そう?」


「••••••出来なくは、ないわ、、」


 俺の後ろでは、ホワイトとイリカが少女を助ける方法について話し合っている。

 しかし、その立案は難航していた。

 イリカの自分のパンチで檻を破壊するプランを、ホワイトが全体的に危ないから駄目と拒絶する。


「けれど••••••やる理由が、ないわ、、あの二人が困ろうと••••私は本当にどうでも良いもの••••」


「出来るなら頼みたいというか。無理なら大丈夫だけど」


「あなたの、、千晴の、頼みなら、いい、わよ」


「本当に?その時、保険として木の枝も向けるよ?」


 フレジアは頷く。

 これも、了承してくれた。


 なので、フレジアに向けて木の枝を構える。


「••••その代わりに、私が千晴を殺そうとした事と、私に向けるその殺意を、忘れて。昨日までの、関係に、戻りたいわ」


 フレジアがゆっくり、そう言う。

 これが本当ならラッキーだ。

 

「それなら全然良いよ。ホワイト達にはもう危害を加えないんでしょ?」


「••••そうね。わざわざ傷付ける理由も、もう無いわ」


 本当っぽい。

 だったら、ラッキー。

 俺はフレジアとまだ仲良くなりきっていないと思っていたから。

 

「柱を出すから、注意しなさい」


 フレジアは呟く。

 直後、フレジアの足元から石の柱が盛り上がってきた。


「おーい!フレジアがその人の救出をしてくれるって!」


「お、大空、、い、いつの間に、和解出来たのね••••」


「••••••よかった」


 ホワイトとイリカはこちらを見る。

 二人とも複雑そうな顔をしていた。

 どちらかと言えば嫌そうな感じの。

 まあ、フレジアとは殺し合っていたっぽいし仕方ないけど。


 こうしている間に石の柱が檻とくっ付き、全てが共に降りてくる。

 

「へ、平気!??ラミちゃん!!?」


 降りてきた檻は、開く。

 イリカはすぐ、中に倒れている少女へ駆け寄った。


「病院に連れて行くわ!傷付いてない!?」 

 

「••••••また••••ありがとうございます••••」


 イリカに抱き上げられた少女は、暗い顔だった。

 目には涙の跡がつきまくっている。

 というか、イリカと知り合いだったのか?


「•••••••ですが••••••もうぜんぶ••••いい••••です•••••••••私は、嘘ばかりで••••」


「え!?よ、良くないわよ!ほ、ほら!あの男とかに!復讐したいとか無いの!?殺してやるとか!!生きてる事を後悔させてやる!とか!!奪われた物を取り返してやる!!とか!!」


「•••••••••貴女にも多く••••嘘を付きました••••労働組合も••••そこまで綺麗ではなく••••クーデターも計画にあり••••」


「そ、そんな事!どうでもいいわよ!病院!」


「••••••その上、貴女の探し人の件でも••••嘘を付きました••••部下達に、魔力融合手術を施し、力を与えた、親切な方が••••反勇者同盟幹部の、、イリスで••••彼女は一週間前に••••この市を出て行きました••••」


「え、え!は!?、はあ!!??はあああ!!?」


 イリカの声に怒気が混じる。

 少女は更に暗い顔になった。


「イリスは!!とっくに出て行っていたの!!?え!じゃあ!ただただ私は無駄な時間を過ごしていたの!!?散々!!聞いたのに!!」


「••••••そう、なりま、う、うが、」


 少女は急にもがき始める。

 イリカの腕の中で。


 直後、少女の右腕に猿らしき体毛が生える。

 それはドンドン広がっていく。

 何故。


「••••••これは•••• 罰••••ですか•••••」


「何よこれ!何!?」


「なに?それ」

 

 イリカはパニックになり、アタフタと動き出す。

 一方、不思議そうな顔をしたホワイトは、イリカへ近づいて行く。

 俺はフレジアの隣に立っていた。


「あれ、何でああなったとか知っている?知っていたら、解決法も教えて欲しい」


「私も知らないわ。お母様はあいつには何もして無いはずだもの」


 いつも通りになって来たフレジアも、こう答える。

 

 フレジアも知らないのか。

 謎現象だ。

 この世界ってこんな事もあるのか。

 

 

 直後、イリカと少女の前に、青白い強烈な光が発生した。

 その光からはゴロゴロという雷音が発せられている。

 

『••••バリ?バリリ!!』


 光の中の人型から、謎の声と雷音が聞こえる。

 すぐに、ビル内全てに謎の魔力が充満した。

 何これ。


「••••作戦は完全に失敗ね。『変革:落とし穴』。逃げるなら地下よ」


 突然、フレジアの周囲三メートルに深い穴が出来る。

 俺も、フレジアと共にその穴へ落ちた。

 

『ドゴオオオオ!!ゴロゴロゴロ!』


 ビル内に轟音が響き渡る。

 

 落ちながら、穴の外を見る。

 雷と思わしき強烈な光が、ビル全体を満たしていた。

 

「は?何これ」


 穴の底へ俺とフレジアは着地する。

 かなり狭い。

 

 というか、それよりもホワイト達は大丈夫なのだろうか。

 かなりやばそうだが。

 ここからだと俺の魔力感知では捉えられない。

 

「雷魔法よ。あれが去るまで、ここに居ましょう。ここなら問題ないはずよ」


『ドゴオ!ゴロゴロ!!ドゴオオオ!ゴロゴロ!!』


「助けてくれたのはありがとう。でも、壁を登ってホワイト達の安否を確認してくるわ。土が目に入ったらごめん」


「あれは雷神カルミナよ。地面から少しでも飛びでている物を、一切許さない。地下にいるべきね。あつっ。ここも熱いわ。ビリビリもする。あとあなたの手が焼ける音、本当に気持ち悪いわね」


「あつ!ごめん!ちょっと我慢して!あつ!」


「嫌よ。あなたは私とここに居るべきね」


「ごめん!ちょっとだけ!少しだけ我慢して!」




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