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第三十七話 色々さようなら 





 師匠を倒した翌日。

 俺とホワイト、亜紀くん、若頭の人の四人で、旅立つイリカの見送りに来た。


 「ここまで来てくれて!!本当にありがとう!この事は絶対忘れないわ!!」


 非常に大きい鞄を背負ったイリカは、手で涙を拭う。

 イリカは走って目的地まで行くつもりらしい。


 「じ、ぶん、こそ、あり、がとう、ごさいます、助け、てもらって、ほんと、うに、感謝、してます、、」


 一方亜紀くんは、そのイリカよりボロ泣きをしていた。

 面倒くさそうな若頭が、その涙をハンカチで拭う。


 「また。生きてればいつかあえる」


 「貰った刀は修理に出したから。丁寧に使うね。今日までありがとう」


 「ありがとう!!ホワイトちゃんも!大空も!!もう二度と会えなくても!絶対に!忘れないわ!!ありがとう!!!」


 イリカは手を振り、街道を駆けていく。

 直ぐに見えなくなった。




—-


 


 イリカが去り、半日経つ。

 もう夕食の時間だ。


 「そう言えば、何故あなたはクレームつけるのを手伝ってくれたんですか?自分達はあなた方の拠点を壊したりしたのに」


 今日は俺とホワイトと亜紀くんで、宿屋のテーブルを囲み、食事をしている。

 この機会に、普段は忙しそうな亜紀くんと仲良くなれたら良いなと思い、俺から誘った。


 ついでに、若頭にこの事を聞いてみる。

 友達でも無い上恩もないのに、どうして手伝ってくれたのだろうか。


 「お、俺!?急に!?••••いや、私ですね••••その様々な事がありまして••••」


 「東口さんは申し訳なくなったんですよ!子供に!クレームつける姿が!真似されて!」


 「黙れクソガキ!そんなんじゃねぇ!いえ!!申し訳ありません!!お客様!!」


 「はい、マイナス三ポイント!あと二回で減給ですね!」


 「こ、ころすぞ、が、がき••••••失礼します」


 若頭は頭を下げ、仕事に戻る。

 亜紀くんはそれを見て、にっこりした。


 「そっか。所で、そっちもクレームを付けてくれて本当にありがとう。このお陰でホワイトも救出出来たから。お礼のお金、二人合わせて五十万」


 テーブルに現金五十万を置く。

 誘ったのは、これを渡す為でもあった。


 亜紀くんは目を見開く。


 「あの。オルキデさんもそうですが、どうして自分は金大好きだと思われているんですか!?親の遺産も減って!仕送りだけでの運営と生活はキツかったですけど!そんなケチじゃないですよ!」


 「いらない?かね」


 「もちろんいります!!僕はお金が大好きです!!これで設備投資して!宿屋を拡大させます!」


 亜紀くんは笑顔で五十万円を掲げた。

 やったね。

 お金を渡す戦法は最高である。

 

 ここで、境遇聞きチャレンジもしよう。

 一日も遊んではいないが、それ以上の時間を亜紀くんとは過ごしている。

 これで友達になれたら良いな。


 「関係ないけどさ。亜紀くんは小学校に行かなくて良いの?通学カバンを背負っている子供を偶に見るのに」


 「自分も一応小学校に通ってますよ!不登校なだけですね!先生からも電話がよく来てますよ!」


 「そ、そっか。そうなんだ。勉強は大丈夫?」


 「独学でやってます!ですが宿屋の運営に大事な知識は身についていると思うので!行かなくても良いと思います!」


 亜紀くんは勢いよく、そう答えた。

 俺としては問題ある気しかしない。


 まあ、本人が良いって言ってるし大丈夫かな。

 今は若頭の人も、その他の従業員もいるし。 

 人の決断を否定するのも宜しくない。


 「それなら、本当に良かったね。この宿屋も軌道に乗ってきているっぽいし。他のお客さんも増えて来たから」


 「はい!雇ってくれる所も住む場所もない人達を住み込みで働かせているので!給料も安く済みます!これを生かして!ガツガツ儲けていますよ!!」


 「そ、そっか。五円宿屋時代から色々変わったね」


 最初会った時と比べると、かなり変わった。

 成長?している。

 宿の価格自体も、一泊三千円になっていた。


 「はい!これらも全部!オルキデさんと大空さんとホワイトさんのお陰です!東口さん達を懲らしめてくれて!ここまでやってくれるのなら、自分も頑張らないとって!思えたんですよ!」


 笑顔のまま、亜紀くんは言う。

 俺はホワイトとイリカが居なかったら、かなりの確率でやらなかった。


 「ご馳走様でした!今日はお食事に誘っていただいてありがとうございます!悲しみが薄れました!お食事中申し訳ないのですが!客としてあいつらに注意したい事柄が出来ましたので!ここで失礼します!」


 亜紀くんは自分のご飯を食べ終わってすぐ、席を立ち上がる。

 直後、厨房に入って行った。







 ホワイトと部屋に帰ってきた。

 今日も、二人で本を読む。


 と思ったら、ホワイトが何故か俺を見てくる。


 「••••はなしある••••まえ言えなかったこと」


 ホワイトは少し俯く。


 前。

 高田に誘拐される直前の奴だろうか。


 「••••何箇所か、行きたいばしょが見つかった••••だから、三日後ぐらいに••••ここを出たい••••」

 

 「そっか。了解」


 こう言うと、ホワイトは俺を見上げてくる。

 目が合った。


 恐る恐るといった感じだ。

 どうしたのだろう。


 「••••だから••••ちはるも、ついて来て、欲しい••••わたしはちはるとずっと一緒にいたい••••」


 「?••••元々一人で行く想定だった感じ、?」


 俺は着いて行く気しかなかった。

 ホワイトが嫌なら、諦めるしかないが。

 そう考えられていると思うと、あれな気持ちになる。


 「••••ちがう、、」


 「そ、そっか。俺はホワイトが良ければ、割と何処でも着いてくよ。許可を取る必要はないというか」


 良かった。

 とりあえず今はホワイトの命より優先する事項はない。

 他はいきづりで


 「•••••••わかった、、」


 ホワイトは何か複雑そうな顔をする。

 ?。



 


—-







 「れ、烈さん~~、、生きているっスよね~~、、この高田ひらめが迎えに来たっス~~」


 深夜、石の巨人出現跡地。

 既に半分以上埋められたその穴で、急に爆発が起こる。


 「あー。死ぬかと思ったが、、意外と耐えたな、、「再生」やっぱやべぇ能力だぜ」


 爆発によって出来た穴から、ある腕が飛び出す。

 腕は地面に手を添え、その人物の全身を引き上げる。

 月下烈だった。


 「い、いやー。烈さん。不運だったっスね~~。何故かロケットランチャーを撃つ時、虚無に蹴られるなんて。岩永支部長の新技っスかね~~?」


 これに気づいたひらめが、灯りを持って近づいて来る。

 冷や汗をダラダラと流していた。

 

 「あ。高田。は!!?おい!テメェ!よくものうのうと!!そんな事言えんな!!オレを埋めるのも手伝いやがって!」


 「じ、実は~~。どれも烈さんのためだったんっス!烈さん、殺したくないなってボヤいてたじゃないですか!だから会長達を殺させるのは、烈さんが可哀想だな~~と!」


 「あ?お前、おい、は!?それ!どこで聞いてたんだよ!それ!」

 

 「い、いやー。どこでっスかね~~、、自分どこにでもいるんで、、この世は、不思議っスね~~~、、」


 冷や汗を更に流し、ひらめは頭を掻く。

 月下の顔は真っ赤になりながら、青筋も浮かべる。

 

 「だからオレのプライベート覗くんじゃねぇって!!やるにしても!公的な事してるオレにしろって言っただろ!何度目だよこれ!次やったらぶっ殺すからな!」


 「いや烈さん意外と分かりやすいっスから!別に覗かなくてもバレバ、痛い痛い!」


 月下は両手の拳でひらめの頭を挟み、力を入れた。

 これにより、ひらめは苦しみ出す。


 「••••はぁ。お前に反省を期待したオレが馬鹿だったわ。高田。で、オルキデと大空はどうなった。まだ任務は継続か?」


 「も、もう無かったことになったっスね。じ、自分たちの解釈ミスで、わざわざ殺したりする必要なかったぽいっス」

 

 「••••そうか••••あいつらには悪い事したな」


 月下の拳挟みが緩む。

 その隙にひらめは脱出する。


 「それでなんスけど、三日後、会長とホワイトさんがこの街を出るそうっスね。自分は見送りしに行きますが、烈さんはどうするっスか?」


 「••••••オレはいい。合わせる顔もない••••ま、一足先に本部へ戻って怒られて、国際監査機関の審査も受けといてやる。だから残りの隠蔽仕事は全部やっとけよ」


 「え?絶対嫌っス。今回夏凪さんから命令を聞いたのは烈さんじゃないっスか。解釈ミスは100%烈さんのせいじゃないっスか?ミスった人は全責任を負って、全仕事をするべきっスよ」


 「は!??テメェ!あの作戦テメェも考えたじゃねぇか!!の癖にオレを殺そうとしやがって!!やんないならマジで上に報告すんぞ!?あ!?」


 「い、痛いっス!やるっスから!やるっスから!さっきのは本意じゃないっス!!当然っスよ!!仲良いじゃないっスか~~!!自分達~~!!」

 





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