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第二百二十七話 共和国の首都と守りたいもの






 作戦の決行は、翌日。


 明日の理由は教皇のみぞ知るだが、俺たちは次日が登ったら首都の中心にある大聖堂に攻め込む。

 これで全てが決まるのだ。



 そんな中、俺たちは古い美しい街にいた。


 「あそこのカフェのパイ、美味しいんですよ~~ハチミツなどに加えて濃厚な特製ヨーグルトが混ぜて。健康に良さそうな雰囲気を出しているんです」


 「おー!おー?良いんじゃなくて良さそう。良さそうだった。けど美味しそう?食べてく?」


 「いえ。今は我慢です。もっと遠くに好きなものがあって、それを千晴くんと頂きたいので~~」


 そんな街で、エゼルさんとデートをしていた。

 手を繋ぎ仲良く、くっついて歩く。


 一応言い訳をすると、明日俺たちがする動きの最終確認も兼ねていた。

 

 「そっか。エゼルさんが好きなもの、、何かな。甘いもの?」


 「いえ~~。甘いものは好きと言えば好きですがそこまで好きでもないです。一番好きなのは千晴くんの手料理ですよ~~」


 「おー!褒められた!だったら今度また色々作るよ」


 ついでに言うと、俺たちが堂々と歩いていても特に問題は起きていない。

 俺もエゼルさんもどちらも姿を変えているのだ。


 まあ姿を変えると言ってもエゼルさんは髪色や瞳の色を変えてサングラスを付けたぐらいなので、普通に目立ってはいる。


 「あ。見えてきましたよ。目的のレンタカー屋です。私自身買わずに車を借りるのは初めてなので緊張します~~」


 「それは大変、、ん?そう言えば今エゼルさんって免許持ってる感じ?免許がないと借りられないんじゃない?」


 「私の力があれば容易く偽造できます~~事故らなければ大丈夫です」


 「あ、なるほど。了解?」


 「この国でルールを決めるのは私なので、問題なしです~~」


 古く高級感のあるレンタカー屋の受付。

 そこにエゼルさんは堂々と入っていく。



 結果、あっさり借りられた。

 セキュリティが甘い。




——





 神聖共和国の首都デビルズタウンの道路を、車で走る。

 エゼルさんが運転していた。


 「風が気持ちいいです~~中々良い車が借りられました。ブルーマウンテンのbbbb3型。軍事会社だけあってエンジンのかかり方が良いですね。イラっと来てもかっ飛ばせます」


 「成程。顧客側からみたらそんな評価なんだ。成程?」


 片手でハンドルを持ち、もう片方は窓のフチに置きエゼルさんは車を運転する。

 エゼルさんは車に乗ると人格が変わるタイプだった。


 「あ、ブルーマウンテンと言えば私がおすすめした千晴くんの部下の方の実家でしたっけ。最近買収したとか何とか」


 「そうそう。けどそっちの会社に詳しいのはやっぱり葵さんだから、俺はあまり考えずOKを出すだけな感じ」


 「良いですね~~~信頼を置いているようで。そういう部下は居て損がないです」


 運転しながらエゼルさんは頷く。

 軽く笑みを浮かべていた。


 「ですけれど、個人的には嫉妬しちゃいます~~私ほどじゃないですが、彼女は美人で有名ですから~~私がおすすめした大学の後輩なのに~~」


 「まあ仲良いけど、仲良いぐらいというか。上司と部下で、友達みたいな所もある、あるかな?そんな感じ」


 「素敵な関係ですね~~~一番良い関係。気安く思ってくれる方が扱いやすいですし良い意見も出てきますよね~~」


 こんな感じで、ダラダラと話す。

 


 数十分走り、俺たちは海辺に出た。


 「あれを見てください千晴くん~~」


 「ん?おー!凄い!なにあれ!」


 今車で走っている場所から、大陸と橋で繋がった小さな島がチラッと見える。

 軽い山のあるその島には、真っ白な巨大な教会が引っ付くように建っている。


 綺麗だ。


 「ふふっ。この共和国で最大規模の教会です~~。初代聖女と神もあれは特に力を入れて作ったとか」


 「へー!美しい。教会なんだ、、じゃあ、あの左右にある本当に長い塔はなんのために?」


 そして巨大な教会の左右には、雲を突っ切る巨大で古い塔が二つある。

 塔にはそれぞれ異なる美しい彫刻が施され、見ていて飽きない感じだ。

 

 「よくぞ聞いてくれました。片方は昔、初代聖女や神が首都を上から見て、全体を把握するために作られたんです。それが今では皆の憩いの場です」


 「入れる感じ?おー!凄い。じゃあもう片方は?」


 本当にすごい。

 自分目線塔の耐震性には不安があるが、それはそれとして凄い。

 こんなものは見たことが無かった。

 

 「よくぞ聞いてくれました~~もう片方は魔法協会の第1支部です。あいつら初代聖女と神とも関係が深いらしくて中々引き剥がせないんですよ~~」


 「魔法協会?第1支部ってここにあったの。初めて知った」


 秘密結社、魔法協会。

 名前の通り魔法を研究している協会ではあるが、勇者連盟にその活動をあんまり容認されていない。

 

 故に色々隠れてやっている、とアロンさんから聞いていた。


 「魔法協会のリーダーとかワンチャン居ないかな。個人的に知り合いだし協力を願いたい」


 「リーダーは最近は見ないですし、彼女らはこちらに研究成果すら全く公表せず、戦争にも知らんぷりです~~土地を提供してあげているのに。ぷんぷんです」


 「そっか。中々冷たい」


 アロンさんとは一応友達になった後も、本当に偶に手紙でやり取りはしていた。

 ただここに支部があるとは知らなかった。

 今度手紙のネタにしよう。


 「ただ実際、あの塔が今でも観光地以外で使われているというのも喜ばしい事なんですけどね~~あれを作った初代聖女も神もそして大工さん方も喜ぶでしょう」


 「お~~。確かに。絶対喜ぶよ」


 「ですよね~~~それと、海風が気持ちいいです~~」





—-




 あれから少し都心部に戻ってきて。

 

 俺たちはとある石造りの巨大な建物の近くを通る。


 「千晴くん。見て下さい。これ~~~中々リフレッシュに丁度良いんですよ」


 「へー!何してる所なんです?」


 そこの外壁には、塔と同じく非常に美しい彫刻が施されている。

 そして入り口っぽい門にも美しい彫刻が施され、門に行くまでの石の階段も何処か整っていて美しい。


 何か、いい感じだ。

 ついでに言うと、その建物の周りはかなり渋滞していた。

 なんなら今俺たちは渋滞に巻き込まれていた。


 「大規模な浴場を軸に図書館からジム、プールに売店など、何でもある所なんです。共和国の大都市だと結構あるんですよ~~流石にここは最大規模ですが~~」


 「へー!凄い。本当に楽しそう」

 

 外から見るだけでも、本当に良さそうに感じる。

 ぱっと見でも、施されている彫刻の美しさや芸術性が伝わってくるのだ。


 「そして、実は。ここも含め全ての浴場は、500円で一日中居られるんです。私たちが国として維持費を出していますから。凄くないですか?」


 「本当に?公共サービスが凄い」


 これは凄い。


 神聖共和国の情報はほぼ外に出てこないのもあって、素直に驚く。

 普通に帝都にこんなものは無かった。

 

 「けど、どう維持してる感じ?中々難しくない?」


 「それは神魔法でちょちょいのちょいーっと~~~。というのは建前で、純粋に税を多く取っているんです。資産家もそれ以外も大きく生活レベルが変わらない程度には」


 「共和国ってそうなんだ。皆豊かで平等で良いな。エデン教のお陰で平等でも皆やる気を失わないとも聞くし」


 「そうですね~~良い所です~~まあこの浴場に関しては、創造神V-V-Cの支配下にあった時に出来た文化なんですが。功績貰っちゃいました。てへっ」


 「ちょっと違った。まあ維持するのも難しいし」




——




 最終的に、巨大な公園に来た。

 駐車場に車を置いた後、二人で公園のベンチに座っていた。

 

 「ここはどんな所?綺麗に手入れされた花が一杯あって、道も真っ白な石で出来てて、凄いけど」


 この公園は俺たちが歩く道以外、全て花畑だった。

 白、赤、青、黄色などなど美しい花が多くあり、そんな花の甘い香りが公園内全てで漂う。

 更に綺麗な彫刻の施された街灯が所々にあり、雰囲気を引き締めていた。


 「ここの公園自体には特に逸話はないです~~私がお気に入りの公園で。ちょくちょくお忍びで来ていました~~」


 「そっか、、理由は分かるというか、」


 エゼルさんとくっ付きながら、そんな事を話す。


 後その理由と言うのは、花畑が美しいというだけではない。

 

 「あの大聖堂と花畑が本当に映える。良い感じな」


 「はい~~この景色を千晴くんと共有しておきたかったんです。千晴くんを愛しているので」


 この公園からは、あの大聖堂が見えた。

 ちょくちょく俺たちが付近でテロをしていた、あの大聖堂。


 真っ白で巨大で、その美しさから遠目でも非常に目立つ。


 「そっか。俺も愛してる。あの大聖堂の事を聞いてもいい?」


 「はい。待ってました。あの大聖堂は大昔初代聖女と神が、戦争で傷付いた人々に癒しを与えるために、現世は美しく幸せなものと表現するために、作ったんです」


 「、なるほど、、」


 そんな想いが込められていたのか。


 知らずにテロをした身として、後悔の念が少し浮かぶ。

 何回か爆撃もしてしまっていた。


 「私自身も、国民的の方々にはそう思って欲しいです。皆頑張って生きていて、皆幸せに生きていて欲しい。私はそう考えています」


 「•••すごい良い」


 大聖堂を見ながら、エゼルさんは呟く。

 その言葉は力強く、常日頃からそう考えていないと出てこない感じだ。


 少し憧れる。


 「私は、こんな皆幸せになろうとするこの国を、歴史あるこの国を、守りたい。例え伝統や国民の幸せを多少崩す事になっても、どんな手段を使っても守りたい」


 「•••••••そっか」


 俺は身近な人さえ良ければ、全て良かった。

 目指すべき、大きな夢も目標もなく、己もない。


 けれどそれを支えたいと思うのも、己がないからこそだろうか。


 そんな事ない?


 「エゼルさん。俺も明日、頑張るから。エゼルさんを愛してるって理由以外にも、この国は皆良い人で、本当に良い感じで。ここも守りたいと思ったというか」


 「本当にありがとうございます。けれどいつか私も千晴くんの為だけに戦いたいです~~」


 「良いよ。俺は基本自分で何をしようとかないし」


 「そんな事ないですよ~~それと、次は近くのホテルに行って交尾、いや、子供を作る意図はないのでえっちという表現の方が良いですかね?えっちしましょう~~」


 「え、急に。ちょっと待って。もう少しこの景色を見たいというか」


 「そう言ってくれると指導者として嬉しいです~~ここの景色、本当に綺麗ですよね~~~」








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