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第十二章 完









 晴れた日の昼。

 城の頂上から、仙人境を見下ろす。


 歓楽街から岩山、仙人たちと戦った場所まで色々が見える。

 本当に色々見えた。


 「••••••••頂上はこんな景色だったけど、、どう?」


 「マジか!すっげぇ!!超綺麗じゃねぇか!!」


 テェフルと姉ちゃんと、そんな城の頂上に来ていた。

 城の頂上、つまり回さんと戦った部屋に来ていた。


 あれから暫く修行をし、俺も頑張り、姉ちゃんたちもここに来れるレベルにしたのだ。


 「見ろよ!はじめ!超綺麗だぜ!すっげぇ!!全部見える!こんな景色初めてだぜ!」


 「••••••、確かに。けど、私達は千晴の活躍で特別に入れてもらってる訳だから。あんまりはしゃぎすぎなように」


 「それな!ありがとな!千晴!回と見る約束は裏切られたせいで達成出来なかったけどよ!」


 そんなテェフルは柵?に捕まり、キラキラとした目で景色を見る。


 これを見ると色々頑張った甲斐があるなと思う。

 相当に可愛いと感じる。


 「••••••••」


 一方、俺は綺麗な景色を無表情で見ていた。

 美しい景色に可愛いテェフルがいるという景色を見ながら、考える。



 これから、俺はどうすれば良いのだろうか。


 「•••••••」


 誰にも道を示されていないから正解がわからない。

 終わっている俺で良いのか、それとも変わるべきなのか。


 何もかも分からない。

 想像以上に俺は変わっていない。



 まあ実はこうは言っても、次の直近の目標は自分で立て、決めていたが。

 その目標の為に、相当入念な準備もしているが。



 だが、それより概念的で長期的な話だった。


 「•••••••はぁ••••••千晴、よしよし、」


 「姉ちゃん、、」


 突然、姉ちゃんが頭を撫でてくる。

 優しく髪を手ですーっとした。


 温かい。

 色々察してくれたのだろうか。


 「、、、、悪いけど、千晴に他人を殺してアンニュイになる神経があるとは思ってなかった。ごめん。よしよし。私は裏切らないから」


 「姉ちゃん、、、ん?は?ひど。どんな印象持ってるの」


 「妥当でしょ。結月の時とか私ですら相当引いた」


 ••••••••。


 かなり思い返す。

 確かに相当終わっていた。


 何なら俺はその事を完全に頭から消していた。

 ごめん。


 「••••••まあ気にしなくて良いんじゃない。当時の千晴も外見上は悲しんでたじゃん。結月もそれを見て喜んでいるよ」


 「••••••••そっか、、」


 「おい!二人とも!私も入れてくれ!!私ら仲良し姉弟だぜ!」


 突然、上から抱きついて来るテェフル。

 姉ちゃんごと俺を抱きしめる。


 相当温かい。


 「私も姉弟だろ!子供出来なかったからよ!!私ら姉弟のままだろ!」


 温かい。

 落ち着く。


 と思う感じだったが、テェフルが黒歴史を持ち出してきた。


 「い、いやー、あの、テェフル。子供関係は忘れて」


 少し寂しかったからとは言え、あの辺りは本当に不味い。

 本当に終わっていた。


 何なら姉ちゃんの黒歴史でもあった。


 「えー!なんでだよ!私は忘れねぇぞ!暫く経ってお互い好きな奴が居なかったら三人で結婚すんだろ!」


 「い、いやー、多分そうならないというか、、、テェフルも好きな人できるだろうし、、俺もまた然りで、、というか三人で結婚は無理じゃん、、」


 後、追加で言いたい。

 回さんさえ裏切ってなければ、こんなことにはなっていなかった。


 元々、性欲はほぼ完璧に制御できているはずだった上。

 その上で彼女も出来、ハッピーだったはず。



 八つ当たりだが、カス死ねという感じだ。

 俺もカス死ね。


 「じゃあ、私ら以外と会うな!仲良くすんな!私も会わねぇから!三人で勇者家業やろうぜ!多分今ならはじめのコネと千晴の功績で行けるぜ!」


 とりあえずテェフルは誘ってくる。

 思ったより、束縛してくるスタイルだった。


 

 ただ、勇者になるのは悪くないと思う。

 けれど。


 「、、ごめん、それも無理。こっちもしたい事があってさ」


 「えー、、なんだよ、寂しくなるぜ、、」


 「••••••••••••そっか、千晴、、」





——





 最初UFOで降りた、巨大な河の岸。

 さっきまで城の頂上にいた三人組で、来た。


 直後、目の前にUFOが降りてくる。


 「おっしゃー!!来たぜ!!さっさと私が荷物しまってやるぜ!」


 そして、着陸したUFOのハッチが開く。

 すぐテェフルはダッシュでUFOの中に走っていった。


 姉ちゃんと少し、二人きりになった。


 「••••••••••••」


 「•••••••••」


 チラッと姉ちゃんを見る。


 目が合う。



 「はるちゃん!お姉ちゃん悲しい!こんな愛し合ってるのに!!全部はるちゃんの為に捨てたいのに!別れないと行けない運命が!」


 「姉ちゃん!!俺もこんなに愛してるのに!色々あって別れないといけない!本当に悲しい!!」


 テェフルが居ない間に、姉ちゃんと寸劇を始める。


 気分はロミオとジュリエットだった。

 ちょっと楽しい。


 「姉ちゃん!悲しいよ!!世界が敵でも愛してる!」


 一旦、寸劇モードに切り替える。



 こんなに愛し合ってるのに、俺達は別れないといけない。

 あまりに悲しい。

 しかしそれが運命なのだ。


 「お姉ちゃんもだよ!千晴が何を敵に回そうと!運命が敵でも!世界を壊そうと!一応味方だから!ずっと愛してる!」


 姉ちゃんはボロボロ泣く。

 お互い強く抱きしめ合い、キスもする。


 めちゃくちゃ盛り上がった。

 温かい。


 「姉ちゃん!!愛してる!!、、あと、そろそろテェフルが帰ってくるから、、」


 「ううう、はるちゃん、、お姉ちゃん悲しいよ、、ずっと一緒にいたいのに、、世界が敵に回ろうと、はるちゃんの事、愛してるよ、、」


 俺は理性に戻り、素の姉ちゃんの帰還を促すが。

 あまりに盛り上がったので、姉ちゃんのボルテージが下がって来ない。

 

 まあまあ不味い。

 姉ちゃんは本気で泣いているっぽい。


 「ううう、、はるちゃん、、私たち、こんな愛し合ってるのに、、私たち、結ばれない、、」


 「すっげぇ!めっちゃ盛り上がってる!私も入れてくれ!私も世界が敵でも愛してるって言いてぇ!!」


 姉ちゃんが全然戻ってこない。

 そのせいで、荷物を置いたテェフルが帰ってきてしまった。

 

 大丈夫かこれ。

 姉ちゃんは戻って来れるよな?


 「••••••まあ、こう言うのは演技が多数だから、、俺たちのは気にしないで、、」


 「う、嘘、、そう、だったの、?はるちゃん?全部、嘘、?お姉ちゃんの事、騙してたの、?」


 目を見開き、びっくりする姉ちゃん。

 瞳からボロボロ涙が流れる。


 いや、前回姉ちゃん自身が演技だと言っていたような。

 あまりに役に入りきっている。


 「、、、演技じゃないかも。姉ちゃん大好き、、世界が敵になっても姉ちゃんの味方だよ、、後テェフルも、、、」


 「危ない危ない。お姉ちゃんだけ本気はあまりにも恥ずかしい、、ちゅー、あ、いや、私も演技だよ?勿論。弟に本気は終わってる。失礼」


 唇を尖らせた瞬間、姉ちゃんがテェフルを視界に入れた。

 これにより正気に戻る。


 そしてぱっと、離れてくれた。

 正気に戻ってくれたようだ。

 セーフ。


 「マジか!やっぱやってんな!二人とも!じゃあ私ともちゅっちゅしようぜ!お別れのやつ!!はじめも!」

 

 「姉ちゃんも?そっか、」


 「私も?••••••別に良いけど。同性とする趣味は私にはないよ。それにキスなら千晴の方が上手い」


 「なんだよ!いいじゃねぇか。実は同性でやったらどうなんのか気になってたんだぜ!?私ははじめも大好きだからよ!!ちゅ!」


 テェフルが姉ちゃんに寄って行く。

 軽く姉ちゃんの唇にキスをした。


 姉ちゃんは目を見開く。

 すぐジトっとした目になり、唇を手で押さえた。


 「••••はぁ、、突然やるのはどうなの。で、テェフル。私とのキスはどうだった?」


 「良いなこれ!偶にやろうぜ!楽しいな!はじめも良い匂いするしよ!けど私にもそんな趣味無かったわ!」


 仲良さそうな二人。

 明らかに仙人境に来たばかりの時より、仲が深まっていた。


 「•••••••••」


 無言で、俺はそれらを見る。

 何か取られた気がしていた。

 


 情けない。

 テェフルや他の人を散々こんな思いにしておきながら、自分がやられるとこうだ。

 軽いキス程度、冷静に考えれば本当に些細な事なはずなのに。



 「••••••••••」


 なので、無視します。

 冷静に考えれば、嫉妬するのも時間の無駄だ。

 二人を俺しか考えられなくするのなんて、容易い。

 本当に奪われたくないのなら、それをすればいいだけだ。


 いや、絶対それはしないけど。

 

 「はぁ、、次やるにしても千晴が見ていない所でね。弟の前だと流石に、ね、千晴、、、、え、」


 「ち、千晴?大丈夫か?ご、ごめんな?二人でやっちまって、、」


 「、い、いや、何でもないよ、、、」


 二人に気を遣われてしまった。


 気まずい。

 そして、申し訳ない。

 修正するべきなのか、しないべきなのか分からないが、個人的にはこの面は消したい。


 「、私とちゅーしようぜ、千晴、、ちゅ、」


 「ごめん、、ちゅ、」


 正面から抱き付かれ、テェフルに軽くキスをされる。

 こちらからもキスを返した。

 見つめ合う。


 変な気持ちは多少落ち着た。

 だが、これはこれでやばい。


 「ま、まあこのぐらいにして。離れよう。そろそろ時間だし」


 ぱっと、テェフルから離れる。

 もうそろそろ、出発の時間だ。


 二人ともお別れだった。

 

 「確かに。千晴と私達はもうお別れ•••••、けど、大丈夫そうか、、、もう、千晴を何とか制御しなくても、、」


 ボソッと、悲しそうに姉ちゃんは呟く。


 その気持ちはかなり分かった。

 俺の何かしらが成長していて、姉ちゃんは安心したような悲しいような気持ちになっているのだろう。


 「そ、そっか、、制御が必要な事なんてしないけど、良かった、」


 ただ姉ちゃんの中で、俺がどんな印象だったのか気になる。


 自分は昔から割と常識側に生きていると認識していた。

 昔から姉ちゃんによる制御の必要性があった?


 「なぁなぁ!千晴!別れの前によ!もっかい言うけどよ!今は無理でもよ!目的を果たしたらよ!三人で結婚しようぜ!千晴の事!誰よりも大好きなんだよ!!」


 「•••••、、、お互い目標を達成した時、好きな人が居なかったらね、、三人はないけど。ね、姉ちゃん」


 結婚は流石に厳しい。

 テェフルがこうなったのも自分の責任とは言えだ。

 自分の中で家族と恋愛の相手は同一の範囲に入れられない。 


 というのは姉ちゃんも同じなはず。

 多分。


 「確かに。三人はない。なるにしても、私ははるちゃんの一番or愛人が、、いや、なりもしないけど」


 「マジか!じゃあ私は二番目か、、、それもやだな、、こっちで悩んどくから!千晴は私とはじめ以外好きになんなよ!」


 「い、いやー、そういうのはちょっと、」


 少し困る。

 恋愛面で見ても、テェフルの事は嫌いじゃないが。


 そもそも、今そういうのを考える気分じゃなかった。


 「••••••はぁ、、そろそろ行くよ。テェフル。今回ので社長からある程度信頼を得たと思うから。次からの任務はよりテェフルの本懐に近づく」


 姉ちゃんがテェフルを促し、UFOの中に連れて行く。


 また気を遣ってくれたようだ。

 ありがたくて、申し訳ない。


 「おっしゃー!!分かったぜ!行くぞ!!やってやる!お母様とフレジア達をハッピーな世界に引き摺り込んでやるぜ!!千晴もまたな!」


 そして姉ちゃんとテェフルはUFOに乗り込む。

 二人とも、それぞれのしたい事の為に。



 俺は手を振る。


 「••••••••」


 ハッチがしまり、すぐUFOは浮き上がる。

 そのまま飛び去っていく。

 瞬時に見えなくなった。




 一方、風が俺に凄まじい追い風を吹かせてくれる。

 

 「••••••」

 

 それはそれとして、という感じだ。

 一瞬アンニュイになっていたが、気合が入る。


 俺も次にする事は決まっていた。

 成功すれば、一石三鳥だ。

 頑張ろう。



 目指すは頂点だ。

 GOGOGOーー!!なのだった。










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