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第百九十六話 それはそれ、これはこれなのだった








 早朝。

 山の魔力が動く中、漢さんと魔力が本体の方の仙人と階段を降りていく。


 一応仙人達の意思だけで、山の魔力=回さんの魔力の中から脱出させられるようだ。

 仙人とは回さんの魔力を長く取り込んだ事で、人から一段進化した存在らしいから。


 暫くし、階段を降り切る。


 階段の前には姉ちゃんとテェフルがいた。


 「あ、千晴、、勝てたんか、?後ろに仙人いるが、」


 「千晴!無事で良かった!」


 即座に、ボロボロの姉ちゃんが抱きついて来る。

 こちらからも抱き返す。


 かなり、温かい気持ちになる。

 嬉しい。

 実は姉ちゃんはちょっと泣いているのだ。


 「こっちも、、姉ちゃんもテェフルも本当に無事で良かった」


 「、、良かったぜ、、相当戦力差あんのに、、生きて帰ってきて、、てか、一人でどうやって勝ったんだよ、」


 「まあ一応、漢さんと他の三人の方々にも協力してもらってさ。一人じゃなくて五人で勝てた感じ」


 本当の事を言うと、回さんに勝てたのは回さんの力があってこそだ。

 概念的に謎だが、昔の回さんが色々してくれたからこそ、回さんに勝てたのだ。


 冷静に考えなくとも普通に頭おかしいので、本当の事は言わないが。


 「本当に良かった!お姉ちゃん心配で心配で!多分大丈夫だろうとは思っていたけど!本当に良かった!」


 「こっちも、、本当に良かった、、姉ちゃん達が無事で、、」


 それはそれとして、俺も少し涙する。

 本当に良かった。

 無事なのか、相当心配だったのだ。


 「•••••••••あんなに••••••姉弟で••••••仲良し••••なのですね••••••はじめさんは••••••頼れる•••••お姉さんで••••••」


 「カルミナさんが落ち込んでいらっしゃる。俗に言う嫉妬ですか?するとどっち目線の嫉妬ですか?大空さんの方ですか?もしくはあの弟さんの方?良ければ固めた際の作品名の参考にしますよ」


 「••••••そもそも••••••固めないで••••」


 姉ちゃん達の後ろには、カルミナさんや知らない人、そして拘束された四人の仙人もいた。

 

 本当に姉ちゃん達の元に、他四人の仙人が来ていたようだ。

 それぞれ隠れるならまだしも、良く勝てたなと思う。

 良かった。



 その四人の仙人たちの前に、漢さんと魔力が本体の仙人が立つ。


 「師匠の石像はぁ頼むぅ。それ以外の管理は任せろぉ。もうボスのお力ぁ、不要ぉ。ボスに命じられてぇ。我らは恥ずべき行動をしたぁ」


 「本当に申し訳ない。今度こそ私たちが仙人境の実質のトップになる。昨日までいた拠点で、いつまでも十分に休んで修行してくれ。出来る限りの情報も、勇者連盟に渡そう。罪に問うても構わない」


 二人は、深く頭を下げる。

 チラッと姉ちゃんの顔を伺う。

 

 「、、いえ。あなた方 本意ではない事は戦闘中でも私共の方にも伝わってきましたので。罪に問うつもりはありません。ですが、この先勇者連盟に十分協力して貰いますよ」


 「了解したぁ、問題ないぃ、、」


 良かった。

 多分良かった。


 俺としては仙人の人達は色々協力してくれたので、全て許すという感じだったので。

 一応、丸く収まって良かった。




 


—-






 あれから暫く経った。


 俺は風呂に一人で入った後、紫色の室内着を着て。

 外が見渡せる室内のベランダ?にある椅子に、一人で座っていた。


 そして、このベランダ?から、仙人境全体をぼっーっと見渡す。


 「•••••••••」


 仙人境ではいつも通りの日常が始まっていた。

 滝を浴びている薄着の人や、慌ただしく動く給仕の人が視界に入る。


 「•••••••••」


 回さんが居なくなっても、いつも通りの日常だ。

 本当に漢さんの言っていた通り、回さんが居なくなっても問題ないっぽい。


 具体例を出すと、山の魔力は他の仙人達の魔力で換えが効くとの事。

 更に仙人境の運営自体も、最近の回さんは手出しする事がなくなっていたらしい。


 「•••••••••」


 そんな回さんの事を、少し考える。


 結局俺は最初から騙されていただけだった。

 たまたま、本当に回さんが俺に惚れてしまっただけで。

 最初から全て嘘だった。


 「••••••」


 風が吹く。

 室内だが、風が吹く。


 騙されていて尚、失って悲しい。

 自分には変えようのないオチだったからこそ、無力感を感じる。



 それはそれとして、流れ的に何か人が来そうな気がしてきた。

 ついでに言うと、最近風があんまり来なかった気がする。

 それは何故?


 「••••••••風つよ、」


 更に強風が吹く。

 髪がボサボサになった。

 

 相棒の個人的な関係に口出す気はない、と風が言っている気がする。

 多分。

 言っている気がする。


 かなり、風?への理解力が上がってきたようだ。


 「、、おい、千晴、、」


 そして、本当に来た。


 テェフルだ。

 俺と同じ部屋着をしてゴムで後ろ髪を纏めている。

 要は、風呂上がりだった。

 

 「、、なぁなぁ、、、私が、千晴を嫌がった時よ、、千晴はどう思った、?」


 テェフルが目の前に来た。

 そのまましゃがみ、俺を覗き込んでくる。


 そのテェフルは相当暗い表情だ。


 「ま、まあ、いや、まあ別に。昔の姉ちゃんはあれより酷かったし。だから、悲しかったっちゃ悲しかったけど、、ってくらい」


 「、、、マジかよ、、」


 こっそり俺の両手を取るテェフル。

 俺の手をイジイジする。


 少し、可愛かった。

 庇護欲を感じる。


 「、、けどよ、、本当に、、ごめんな、、一番危険な役目、、一人でやってくれた千晴に、、ずっと優しい千晴に、、、、あんな態度とって、、私が私で許せねぇよ、、」


 「ま、まあ、そっか、、まあ所詮自分の為だし。気にしないでよ。家族だし普通と言うことで」


 そして何より、一番勝率が高いのは俺が一人で行く事だった。


 俺が三人の中で一番強く、その上一番仙人達や回さんと繋がりがある。

 更に一人じゃないと、回さんを逆上させるリスクもあったから。


 そこまで気にしないで欲しい。


 「•••••••••、、、、それと、なんか、回は言ってたか、?私とか千晴の事、、裏切られてショックだぜ、だろ、、」


 「••••••それは、何とも。、回さんはテェフルが思ってる以上に邪悪だったから、、、忘れた方が良いよ、」


 恐らく、回さんは俺にだけ優しいタイプの人だ。

 何だかんだテェフルにも真面目に修行は付けていたっぽいが、本性はそっちだろう。

 ひらめや会ったばかりの殿下みたいな感じである。


 いや俺が詳しく知らないだけで、二人と比べるのも悪い程度には邪悪ではあると思うけど。


 「、、マジか、、、マジで、、ショックだぜ、、、仲良くしようもしても、、簡単に他人って裏切るんだな、、」


 物凄いしょんぼりするテェフル。

 

 少し、不味い方向にいきそうだ。

 宜しくない。

 フレジアをちょっと思い出す。


 「••••••まあ、偶にはそう言う人もいる。けど、良い人も多いよ。今回もテェフル達はカルミナさんとかの友達に助けられたんでしょ?」


 俺はフレジアを思い出していた。

 

 人間、一人では何も出来ない。

 一人に依存しても、何も良いことはない。

 そう思う。


 「そうだな、、そうだぜ!裏切っても皆んなで倒せばいい!」


 テェフルは少し笑顔になって、頷く。


 実は言うと、俺の意見は微妙に違う。

 自分の中だと、裏切った相手ともそのまま仲良く出来るはず。

 それはそれ、これはこれで。

 きっと、多分。



 後、俺はテェフルを凄まじく甘やかしたくなってきた。


 「嫌なら抵抗してね。ほい」


 テェフルを優しく椅子に引き摺り込む。


 首元にテェフルの頭がある感じだ。

 抱きしめ、頭を撫でる。


 「マジか、、千晴、、」


 「よしよし。テェフル、大丈夫だよ。俺も多分姉ちゃんも、、どうなっても味方だから。生まれてきてくれて良かった、、」


 テェフルの耳元で優しく囁く。

 良い匂いもするし、割とえっちではある。


 何よりこれは絶対やばいが、今だけセーフ。

 可愛い。


 「マジか、、千晴、、」


 「今日だけは何でもするよ。けど今日だけね。明日になったら忘れて」


 「マジか、、千晴、、」


 テェフルは寄りかかってくる。

 じっとりした目をしていた。


 「、、なぁなぁ、、私らの絆の証、欲しくね、?しようぜ、こっから、、」


 「、、今日だけね。よしよし」


 頭を撫でながら言う。


 これで、綺麗さっぱり終わりだ。

 一応これが来るとは読めていた。

 

 もし出来たら、責任を取る。

 まあ多分出来ないけど。

 

 「よしよし、、可愛い、可愛い、、」

 

 「んー、、それとよ、、はじめも呼ぼうぜ、、三人で子供出来ればよ、、めっちゃハッピーじゃね」


 「、、に、人数増えたら良い理論は賛否両論あるし、、姉ちゃんが許可を出したらね?」


 ここまで来るのも、ギリ読めていた。


 ただ冷静に考えると、まあ今の姉ちゃんは後始末で忙しいからそもそも連絡する手段がないはず。

 その上で連絡が取れたとしても、今の姉ちゃんが盛り上がっている必要がある。

 

 二つの関門があるはずだ。


 「よし、聞いてみるぜ、、、なぁなぁ、、はじめ、、千晴としたいだろ、?」


 すぐテェフルが懐から腕輪を取り出し、弄る。

 そこに話しかけていた。


 あっさり、第一関門を突破された。


 「••••••急に。私は仕事中だから、、テェフル。そう言う系の話は休み時間中に」


 「私よ、、これからよ、、千晴と仲良くすんだけどよ、、、私は三人でしたくてよ、、」


 「、、、はぁ••••••」


 溜め息を吐く姉ちゃん。

 困った様子だ。


 第二関門は高そうだ。

 いや、高くあって欲しい。


 「い、いや、テェフル。語弊あるから。あるか?あるな、俺はこれで最後にしたくて、、テェフルにとっても、色々絶対に良くないから、、」


 「そっか、、はるちゃん、、」


 いつの間にか、姉ちゃんのボルテージが上がっていた。

 

 不味い。

 関門がちゃんと低い。


 「い、いやー、ね、姉ちゃん。しないでしょ?姉ちゃんも弟には流石に、」


 「私はこんなに、千晴の事、愛してるのに、?千晴と、結ばれないの、?千晴、、駄目なの、?違う。お姉ちゃんではるちゃんね。そこは間違わないで」


 「そっか、そこ間違っても何も変わらなくね?」


 「黙れ。違うから。ごほん」


 姉ちゃんが咳払いをする。

 仕切り直す。


 呼び名違っても、何も変わらなくね?


 「、お姉ちゃん、、本当に怖かった、、はるちゃんをまた失ったら、って、、寂しくて、、悲しくて、、無事帰ってきて、本当に嬉しくて、、だから、、」


 「い、いやー、ねぇ、、ねえ?こっちも愛してるけど、、それはそれ、これはこれで、、ねえ?え?うわ、やばい、」


 「千晴!!許可出たぜ!」


 強引にテェフルが抱きついてくる。

 そして、口を手で抑えられた。


 不味い。

 体も完全にホールドされた。


 「よし!やるぞ!約束破んなよ!千晴!」


 「ちょ、三人は不味いよ、、本当に不味い!俺の言えた事じゃないけど、普通はそんな事しないから!」


 テェフルが服の中をワサワサする。

 唇に軽くキスもされた。


 テェフルに抑えつけられる。

 

 「、それはそれ!これはこれだろ!他人は他人で私たちは私たちだ!」


 「!?、な、なんて奴、、、」


 戦慄する俺。

 何という成長性。

 テェフルを抑えることは難しそうだ。






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