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第百九十五話 もっと早く会えたのなら









 巨大な城に門から侵入し、中を歩く。


 城の中で、何回か様々な動物が混じった化け物に襲われる。

 これは木の枝で瞬殺した。


 「••••••••••」

 

 そして上に登るにつれて、変な物も増えていく。

 主に剥製にされた人間や動物達だ。


 それぞれ鼻が無かったり、足が無かったり、生殖器が無かったり、首が無かったり。

 身体中にシミが出来ていたり、全身に腫瘍が出来ていたり、下半身が壊死していたり。


 そんなものばかりだ。


 「•••••••••」

 

 しばらく階段を登り、この城の頂上に着く。


 頂上には最も景色が良く、最も広い部屋があった。

 そして一番豪華に装飾品があり、一番剥製など悪趣味なものがある。


 「•••••••、千晴か、」


 その部屋の奥で、回さんが堂々と寝転がっていた。

 巨大な蛇の上に寝転がり、天井を見つめている。


 「あの、無能どもめ。このわたしがいないと何も出来ない、」


 起き上がり、呟く回さん。

 その回さんの歯は欠損していた。


 つまり、全く噛まなくなっていた。


 「••••••もう一度聞きます。姉ちゃん達を騙してまで、何でこんな事をしたんですか」


 「はは。人間共のせいでぇ、このわたしが女に寄っててぇ!ムカついてぇ!だから、原因ごとぉ。全部滅ぼしたいんでぇす!はは!」


 「••••••」


 高笑いしながら、回さんは言う。

 本当にこれが本性のようだ。

 成程。


 「つまり、俺に見せていた姿は全部嘘だったと」


 「そおですけどぉ、、けどぉ!」


 直後、回さんは満面の笑みになる。

 屈託のない笑顔だ。

 回さんが本性を見せる前に、俺が見ていた笑顔だった。


 「今ならぁ!特別にぃ!ちははるだけはぁ!許しますぅ!ほかをを裏切れば!前みたいに、つくしします!わたあしのいっっちばん、きもちいいこのからだぁと、てくにっくでぇ、」


 回さんは胸を持ち上げ、アピールする。

 口も半開きにし、舌も出す。


 挑発的な感じだ。


 「••••••いや、自分には他に色々大切な人がいて。あなたに着くことはできません。無理です」


 「じゃあ、一回千晴も殺してぇ、そいつらもころしまぁす。でぇ、蘇った千晴にぃ、わたし自ら奉仕すればぁ、気持ち良くて、忘れますよねぇ。わたしは千晴、嫌いじゃないですよぉ」


 笑顔で、俺を見てくる回さん。

 恐らく先程まであった人々の変死体は、回さんが作ったものだ。


 もし俺達が負ければ、姉ちゃん達はああなってしまう気はしていた。




 感情面を冷静にする。

 

 交渉は決裂した。

 話も通じない。


 殺す。


 「••••来てください。皆さん。行きますよ」


 無表情の四人の仙人が、後ろから来る。

 能力で俺が治したので、全員ほぼ無傷だ。


 「「変異」の状態のまま。弟子共がぁ、操られてるぅ?何かの能力?」


 「•••••••『起床』の能力です。それぞれに夢を見せることで、意思を向ける場所を色々操れる。便利な能力」


 「そんな能力あんだぁ。アホどもめぇ。こいつらは、あとでぇ、懲罰」


 回さんも蛇から立ち上がる。

 そして、構えた。


 ついに始まる。

 


 「•••••••••先に行って下さい。仙人の皆さん。少し観察します」


 「五対一ぃ?バカ共がぁ、」


 四人の仙人が、全員一気に走り出す。

 それぞれ白い武器も持っている。


 一斉に襲いかかった。


 「お前らのぉ始祖はぁ、わたし。複数でかかってもぉ、勝てる訳なしぃ。「生なき即死(せいなきそくし)」」


 次の瞬間、仙人達は全員止まる。

 回さんは複数の魔力を放ち、牽制したいたのだ。

 この魔力に当たらないよう、仙人達は止まっていた。


 回さんの魔力に当たると、やばいようだ。

 

 「•••••••••••••••••」


 その牽制の中、強引に少年の仙人が突撃していく。

 感情を読んだのかギリギリで魔力を避ける。


 複数の穴が空いた白い棒で、回さんに切り掛かった。


 「••••••今のわたしから見たら、醜い姿だけど、「変異」」


 ただ牽制の間に、回さんから魔力が溢れ出していた。

 この魔力は回さんの体全体を覆い、固形化する。



 回さんは虎要素が増え、巨大化した。

 顔は人と虎、足は虎、手はほぼ人間で、尻尾は豹?。

 身長は俺の二倍ぐらいになる。


 まさに、「怪物」みたいな感じだ。


 「がぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 向かってくる少年に向けて、回さんが吠える。

 そして、思いっきり地面を踏み込む。

 バコンという音がなり、床が陥没した。


 「がぁ、はぁ」


 そのまま、虎の足で回さんが蹴りを放つ。


 ガードに使われた白い棒もへし折り、少年の胴体に蹴りを当てる。

 少年が吹き飛んでいく。


 「•••••••」


 凄まじい速さだ。

 そして吹き飛び、壁にぶつかった少年の仙人。


 彼は突然顔色が悪くなり、そのまま倒れた。

 身体中から不自然な量の血が、噴き出す。


 「死なない程度の病気ですませたぁ。感謝しろよぉ」


 「•••••••••」


 一方、既に老人の仙人の魔力が回さんにまとわりついていた。

 これで回さんの動きを妨害する。


 「じゃま。死ね」


 一瞬で、回さんに触れていた部分の魔力が即死する。

 これで妨害する機能が無くなった。

 回さんは自由に動ける状態だ。


 ただ一瞬止まった回さんに、若くなった仙人の男性も飛びかかる。

 と同時に、漢さんが扇を振りかぶっていた。


 「ばぁ。「生を司る神の異能(せいぶつのせいたん)」。でぇ、」


 まず、回さんの足元から大量の植物が生える。

 漢さんの前に林ができた。

 これで風が逸れる。


 一方、若返った仙人には蹴りを放っていた。


 「遅いぃ、「死の神の与える刑罰(いつつのけいばつ)」」


 「がぁ、」


 凄まじいスピードの蹴りを、モロに受ける若返った仙人。

 あたりの威力に地面に倒れ伏す。


 体はより若返り、再生するものの。

 若がった姿から、唐突に仙人の鼻がなくなる。

 次に足がなくなり、生殖器もなくなる。

 そこから再生もしない。


 「散々足を引っ張るなぁ、漢、」


 「•••••••」


 瞬時に、回さんは漢さんの前に来る。

 ぽんと漢さんの肩に手を置いた。


 「••••••••」


 次の瞬間、漢さんが血反吐を吐く。

 これで、倒れる。

 床で苦しみ、あがく。




 「••••••」


 「操った人間でぇ、わたしの能力、様子見でぇすか。思っていたより、冷酷な人ですね。けどぉ、もお、味方はいないですねぇ。あなあた」


 「•••••••『壊笏』」


 『破壊』の能力で黒い棒を出し、考える。


 四人の仙人たちには感謝しかない。

 こんな時間を稼いでくれて、本当にありがたい。


 準備ができた上、能力も詳しく分かった。


 直後、俺は後ろ髪にかんざしをさす。



 「なぁんですか?わたしに命乞いぃ?」


 「••••最後までやりましょう。覚悟ができました」


 そして、黒い棒も構える。

 回さんは目を見開いた。


 「理解したぁ、、ちゃんと殺してあげますぅ。腹立つからぁ」


 回さんは、次の瞬間踏み込む。

 虎の瞬発力を強大な魔力で強化していた。


 凄まじい身体能力で、突っ込んでくる。


 「「二重模倣(にじゅうコピー)」、『破壊』「再生」」


 「即死ぃ。爪ぇ、」


 そして、魔力の籠った爪を振りかぶる。

 恐らくこれを食らったら俺は即死だ。


 ただこの間に、「再生」と『破壊』の魔力を混ぜ合わせる。


 「二つで、「再誕」」


 己を『破壊』し粒子にした直後、「再生」で蘇る。

 自分と黒い棒にこの能力をかけていた。


 このように粒子になる事で、爪での攻撃をスカした。

 そして攻撃とタイミングをズラし、黒い棒を振るってもいた。


 「ぁあ、ぁぁあ。油断した!殺す!」


 回さんの上半身が、黒い棒で消し飛ぶ。

 俺は無傷で、後ろに下半身だけの回さんがいた。


 すぐ俺は回さんに近づく。


 「「生と死の循環(かみのいのう)」!わたしは完全生命体!!!無敵だぁ!!なめるなぁ!」


 とんでもないスピードで、粒子が周囲から集まる。

 一瞬で、体が再生していた。

 黒田を除くと、今まで見たどの神より再生が早い。


 「弟子どもとは生きる世界が違う!!死ね!!千晴!!!」


 「••••••••さようなら」


 即座に、回さんは蹴りを放つが。

 一方、俺はもうジャンプし、ダイナミックに一回転していた。


 つまり、かんざしを付けた後頭部。

 を、「怪物」になった回さんに一瞬見せていた。

 何なら回さんの蹴りにかんざしが直撃コースでもある。

 

 「、、、」


 数瞬、回さんの蹴りが止まる。

 回さんは躊躇したようだ。



 かんざしを見せ付け、作った隙に。

 俺は真ん中に黒い棒を振り下ろす。


 「、、、、千晴、、そんな事、するなんて、、」


 そのまま『破壊』の能力で、回さんの体のほぼ全てを丸々消し飛ばす。

 回さんの肉体の質量と同じ量を消した。


 これで終わりだ。




 「•••••••••」


 回さんの「変異」が解ける。

 体が即座に再生し、人間の中身も出てくる一方。


 回さんの体が粒子になっていく。


 「••••、、負けましたぁ、、千晴に、、騙されてたのはぁ、、利用されてたのはぁ、、わたしでした、、、」

 

 悲しそうな顔で、力無く倒れていく回さん。

 地面に崩れ落ちる。


 その前に、回さんを抱き止めた。


 「、なぁんですか?またぁ」


 憂鬱そう顔の回さん。

 腕の中で、消えゆく。


 相当申し訳ない。



 「••••••••、、色々、弄んで、ごめんなさい、、さようなら、、ちゅ、」

 

 軽く、額にキスをする。


 回さんは、一気にしょんぼりとした顔になった。

 目から涙が少し溢れる。


 「••••、、千晴、、もっと、、はやく、会えてたら、、、」


 「、さようなら、、『融合』」


 「••••••••全部だいすぅき、千晴、」


 手に持っていた石と、回さんと『融合』させる。


 石と回さんの二つを、回さんのような形の石にした。



 これで、任務達成だ。


 「••••••」


 総評をすると、様々な感情面も利用し、上手く目的を達成出来たと言える。

 最初の問答で回さんの気持ちを確かめ、仙人四人を用い回さんの能力を観察、そして実行に移す。

 完璧だ。



 ただ、これで良かったのだろうか。

 昔と何も変わっていない、何なら悪化している。

 家族やホワイトの為にしていた制限を無くしたせいで、本当に何でも出来てしまう。

 


 こう考えている間に。

 他四人の仙人達が操られている演技を辞めた。


 「師の師!!きっっしょ!!おえーーー!!おえーー!!!おえーです!きっしょ!!消えろ!記憶!!師の師がエゲツない女の顔をする!」


 「、それなぁ、マジでぇ、だいすぅきぃ、はやく、会えてたら、、だとぉ?、尊敬する師匠のあんな姿見たくなかったぁ、、年若い美少年に本気で懸念してぇ、、いや、勇者だから見た目よりは若くはないかぁ?」


 漢さんがブツブツ言いながら、他の三人の治療を始める。

 漢さん自身の治療は、自分であっさり終わらせていた。


 それと、実は仙人の人達は俺に操られていたのではなく、素で裏切っていたのだ。

 皆回さんに思う所がありそうだったので、倒した後交渉してみた。

 そうしたら、行けたのだ。


 全員に演技をして貰っていたのは、俺がもし失敗した後も姉ちゃん達を何とか保護してもらう為。


 「ごほ、ごほ、老体には、効く、、師、、あっちのが元の姿だろ、、1500は超えてるのに、、ごほ、悪い意味で、刺激がつよすぎるのは、、この体にはわるい、、、、」


 「うわぁ、見とうなかった。我が師のあの姿、年取ってボケる、、あぁ、あぁ、ああ、うぁ、あぁぁぁ。うあぁぁぁぁぁ、」



 所で、そんなに?

 そんなに気持ち悪がる?


 昔の回さんはどんな感じだったんだ。

 治療された順に、気持ち悪がっていた。


 いや、そんなに?

 

 





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