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第百三話 敵方の会議






 ある巨大な古い城の一角。

 その内の会議室に、色々集まってくる。


 今、白衣を着た八歳ぐらいの女の子がそこに入ってくる。


 『おひさー。元気してたー?お。その体。初めてというかこの前ぶりに見るわ。強そー』


 イリスは元々いた内の一体に向けて、手を挙げる。

 相手も、それを見て手を挙げ返す。

 

 『元気っちゃ元気だぜ。おい。この体は少し前に入手した奴だ。武術の真髄も使えて、本当に強いぜ』


 手を挙げ返したのは、黒い瞳に、半壊したネックレスを付けたツインテールの少女だ。

 エムだった。

 彼は少し笑顔になっていた。


 『で、その体、解放してやんね?体の持ち主が可哀想!』


 『は?また?•••••嫌に決まってんだろ、、このレベルの肉体は今まで手に入った事ねぇし、、』


 『えー。良いじゃん良いじゃん良いじゃんー。可哀想可哀想じゃーん!』


 イリスが、エムに全力で寄ってくる。

 エムは鬱陶しそうな顔になった。


 『お前は想像通り、その人間の体を物にしていたか。その人間の身体能力は中々素晴らしい。ははは。お前が私を壊そうとする事を、いつでも歓迎するぞ』


 ここで、黒い瞳を持ち、黒い杖を持つ12歳ぐらいの少年も、部屋に入ってきた。

 その顔を見て、エムは嫌な顔になる。


 『お前は復活しなきゃ良かったのによ。そもそもずっと封印されとけよ。気色悪りぃ』


 『ハハハ!やはり!私には敵対的だな!素晴らしい!いつでも壊しにかかるのを待っているぞ!でなれけば、こちらからその肉体を破壊しにかかろうか!?』


 『、、不毛、黙れよ、』


 『ハハハ!黙らなければお前が私を壊しにかかるか!?だが、ここでお互い壊れて死ぬのは目的に支障が出るか!ハハハ!』


 笑い出す少年を無視し、エムはそっぽを向く。

 ネミノスとはもう話さないアピールであった。


 一方、イリスはエムの全身をジロジロと見始めていた。


 『確かに、その体の身体能力は一目おけるね。魔力なしでここまで至った例は少ないから。実験して良い?』


 『、それも嫌に決まってんだろ。お前の実験体の扱い、雑なんだよ。丁寧に扱え』


 『えー!良いじゃん良いじゃんー!多少ぐらい!ぺーと実験して、ぺーっと解放するだけだからさー!』


 『強欲が過ぎる、、嫌に決まってんだろ、、』


 イリスもエムの体をゆすってくる。

 エムは心の中で、こいつも面倒くさいなと感じた。

 

 ここで、元々いた冷奈が顔を上げる。

 元々会議室の中心に座っており、無言で書類仕事をしていたのだ。



 『これで全員だね。改めて。皆さん、こんにちは。私の名前は海小(あしお)冷奈(れいな)。反勇者同盟のリーダーをやっている。後で新入り二人も紹介するよ。これから情報交換の会をするよ』

 

 『は?紫黄(しこう)の奴はどうした?居ねぇのか?おれらが封印される直前までお前といなかったか?』


 エムは怪訝そうな顔でイリスに尋ねる。

 すると、一気にイリスは白けた顔になった。


 『、あー。紫黄(しこう)の奴は今勇者監獄で捕まってるわ。裏切る前のレイナと旅行の勇者と蘇生の勇者に負けてさ。レイナは裏切る前に解放して来いよ』


 『マジか。あの勇者二人とこいつに。だったら、なんでお前は無事なんだよ。あれが捕まってんのに』


 『あん時は別々の所に居たんだよ。暫くあいつとうろうろしてたら、ある時唐突にユースティアのバカが突っ込んで来てさ。で、全員相打ちになってバラバラになっちゃった』


 『••••ユースティアか、』


 『んで、気付いたら紫黄(しこう)の奴が魔王国と組んで大侵攻を起こしてさ。何やかんやあって捕まってたわ。あいつ、私にも相談しろよー。酷くね?』


 『酷いが•••••そんな事より、ユースティアは他に何かしらのやってたか?』


 恐る恐るイリスにエムは尋ねる。

 エムの心には、恐怖があった。


 『あいつかー。最低だぞ。大帝国を築いた創造神V-V-Cに一人で突撃してぶっ殺して戦国時代にしたり。最悪の魔王の側近一族を一人で皆殺しにして大侵攻の引き金を引いてたりー。血も涙もなくね?国民の猿人達が可哀想ー』


 『••••引き金引きすぎたろ。危険すぎる。なんだそりゃ』


 『最近は控えてるっぽいけどさ。殺された限られた命の連中が、流石に可哀想だわー。あ』


 急に、イリスは顔を上げる。

 何かを思い出したかのようだった。


 『あ。ついでにこいつもユースティアの野郎に一度殺されかけてるよ。主に私のせいでだけど』

 

 『うん。私もそうだよ。姿を変えられる彼女は、何処にでも現れるからね。その対策が出来ないのが難点だよ』

 

 『私も昔は良く戦ったな。ユースティアか。敵方に行けば心強いとは聞くが。控えているのなら実に残念』


 エムは割と引いた顔になる。

 あいつ、やべーという感じだった。


 『所で。そんな神達の中で、あなた方が味方に出来そうだと思うのはいる?復活した魔神の中にいるのならば、私は味方にしたい』


 『諦めろレイナ。他のは無理だぞ。魔神って大体『不快帝王』みたいな奴だし。あ!』


 『ここに居ないという事は、つまり、そういう事だ。既に交渉をして味方になったのが私や他の連中だな。目的が一致しなかった』


 ネミノスが冷奈に丁寧に解説する。

 一方、イリスはまた突然あっという顔をした。


 『言うの忘れてた。その中に本当にやばい魔神もいるんだよね。『進化』の能力を持つ単体最強の魔神。そいつ倒さないと目的も達成出来ないんだよねー』


 『は?誰だよそいつ。最強はあの方じゃねぇの?』


 『それはまた別。そいつの目的は世界を滅ぼす事。で、基本交渉も通じない。の割に、他のと協力する知性も、目的の為に身を隠す能力もあるから。本当に不味いんだよねー』


 『は?滅茶苦茶危険な奴じゃねぇか。なんだそいつ』


 『••••それが何処にいるか、分かる?イリス?』


 『勇者共の情報網にも引っかかってないし、禁忌大陸で復活したんじゃね。私にも分かんね』


 手をプラプラさせ、イリスはそう言う。

 少し、冷奈は眉をピクっとさせた。


 『••••その魔神を、前回は。どうやって倒したの?イリス』


 『前?前は皆んなで頑張って処理したんだよねー。としか言えないけど。今は色々欠けているからやばいかもねー』


 『ハハハ!あいつか!相当な昔だな!私を何度滅ぼした事か!ハハハ!全てを台無しにしてくれても結構だぞ!ハハハ!』


 『マジか、マジか。おれは知らん』


 エムはびっくりし、固まる。

 冷奈は無言になり、悩み始めた。


 『そうそう。だからさー。解放してやれよー。良いじゃーん。メフィよー。体の持ち主をさー。可哀想だろー』


 『••••お前は、それに繋げたかったのかよ、、嫌に決まってんだろ。この体さえがあれば、何にでも抵抗出来んだよ。で、まだ『融合』で改造するから、返せねぇだろ』


 『えー!良いじゃん良いじゃん良いじゃーん!改造してても何とかなるっしょ!というか、すぐ取り返せね?』


 『返せるはするが。返すだけ無駄じゃねぇか。おれにとって、何の得があるんだ』


 『••••私の意見だけど。その体の持ち主は大空千晴やホワイトと仲が良い。彼らを仲間にするか、不意を撃って殺す際に、その体の意思はあった方が良いだらうけど』


 『••••••確かに••••おれはいつでもこの体を取り返せる••••改造用の素材は、用意しておけばいいだけ。ローリスク、ハイリターンだな••••』


 エムは確かに、と思った。

 結構納得してしまう。


 『レイナが味方してくれんの?遂に人情?闇情?が分かってきたかー』


 『?。何が?』


 『••••分かったよ。おれは会議が終わったら返すわ。あの方の為にもなる••••』


 『良いねー!いやさー。その顔見てると、助けてあげたくなっちゃってさー!』


 『••••おい、いや、まあ、そう、、』


 お前の為じゃねぇよ、エムは考えた。

 更に一方、冷奈はこちらに遅れて向かう二人の魔力を感知する。


 『••••ごほん。終末も近い』


 冷奈は咳込みをし、一拍空ける。

 他の全員が、冷奈に注目した。

 

 『私を含めて、あなた達にはもう来る新入り三人を紹介する。私と今代魔王にして、計略の魔王。アスタルテ、それと、もう一人』


 『勇者連盟が強力なのは、彼らが凄まじい才能、狂った精神にあった能力を貰っている点。要はキチガイに刃物。そして、』


 『そんな連中が、ギリギリ連携出来る点、だろ?あのゴミ共の一番強い点は』


 冷奈は、エムの発言に頷く。

 陰で、イリスは勇者達は死ねよーとぼやいた。


 『だからこそ。新入りも含めて。皆で協力して。勇者たちの努力を無駄にしてやろう』


 『はーい。了解ー』


 『その程度分かってる。おい』


 『おー、と。私は叫ぶべき場面か。おー』


 『••••後。ついでに単体最強の魔神も協力してどうにかしよう』


 『おー』


 『だから、どんな奴なんだよそいつは、、』



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