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第十話 vsネコドラゴン



 

 『••••よけられた』


 光るレーザーは、突如目を覚ましたドラゴンによって回避された。

 その速度は、蛇吉のスピードをさらに上回る。

 これでも光速のレーザーを避けられるほどの速さではない。


 『やっぱり、魔力感知出来たか』


 ドラゴンは寝ぼけた目で、こちらを見る。

 そして、口を開く。


 『くる』


 『ブレス来る!!』


 ドラゴンの口から、ブレスが放たれる。

 俺の止める能力で一瞬ブレスを止め、三人で横に飛び込んだ。


 ブレスが横を通り過ぎ、後ろの木の幹に風穴を開ける。

 風穴の断面は、非常に綺麗だった。


 『危ない!というか思ったより見づらい!』


 ドラゴンはブレスは透明な上、速い。

 まるで早い風が吹いているかのよう。


 ここまで距離が近いと、ホワイトの魔力感知での予告が無ければ、避けられないだろう。

 しかし、ここまで観察通りでもある。


 『空を飛ばないなら!予定通りプランCで!』


 『わかった••••蛇吉もわかったって』


 『了解!』


 俺だけ陣形を離れ、ドラゴンの背後へ向かう。


 プランCの作戦はとてもシンプル。

 蛇吉がドラゴンの結界に噛み付いて、少し足止めする。

 その時にホワイトの『光線(レイ)』で、結界ごと頭をぶち抜く。

 以上だ。


 『急げ、急げ』


 ホワイトと蛇吉の方へ、ブレスが撃たれる。

 それを蛇吉の魔力感知とホワイトが一瞬ブレスを止める事で、それをブレスを避けていた。

 

 これでも二人は避けることに精一杯である。

 全く近づけていない。

 

 『これが俺のやるべき事』


 下に落ちている石を拾い、魔力を流して投げる。


 ドラゴンは全く避けない。

 結界に石が当たる。


 『こっちこっち!喰らえ!!』


 石を何個も投げる。

 全て結界に当たり、防がれた。

 ドラゴンは一切こっちを見ない。

 

 そうしたら、これだ。

 落ちている石と石を擦り合わせ、不協和音を起こす。


 ドラゴンは反応した。

 背後にいた俺の方を向き、口を開ける。

 少しこちらを睨みつけてもいた。

 

 『死ぬ!死ぬ!』


 スレスレでブレスを止め、避ける。

 五十メートルぐらい離れてて良かった。

 

 また石同士を擦り合わせ、ブレスを打たせる。


 『いい。『凄い光(エクスプロージョン)


 一方、ブレスの脅威が消えたホワイトは光る玉をドラゴンの方へ投げる。

 光る玉はドラゴンの結界に当たり、周囲一面に光と砂煙を引き起こす。

 

 今の所、順調は作戦だ。

 ドラゴンは全く攻撃を避けないし。

 

 『これで視界を潰す!それで俺はこう!』


 まだ俺は石を擦る。

 

 けれど、今度のドラゴンはホワイト達がいる方向に向く。

 その方面にブレスを乱射する。

 

 これでは、ホワイト達が近づけない。

 更に、ブレスを乱射されるたび、砂煙が吹き飛んでいく。

 

 『思ったより知能あるな、、』


 もっと知能がないと思っていた。

 ずっと飲んで寝るしかしていなかったから。

 

 だが、まだ作戦の範囲内。

 リカバリー可能だ。

 これで行けるはず。


 『こっち見ろ!こっち!!』


 そこらに落ちているリンゴを拾い、砂煙の中から投げる。

 リンゴがドラゴンの結界にあたり、果汁が飛び散っていく。

 これを十個以上投げ、目潰しだ。


 『最後に、これだ』

 

 俺は地面に寝転がり、魔力を蛇吉の物に変える。

 片方だけだけだが。


 そこから、こうだ。


 『シャー!シャーーー!』


 全力の蛇吉モノマネをする。

 口だけではない。

 蛇吉のように、俺の体を地面で体をウネウネさせている。

 前、全力で蛇吉を観察した時の経験が生きていた。


 しかし、ウネウネするたびに体全体に石の破片が当たって、結構痛い。

 その上、こんな事は人前でやったらやばい。

 かなり恥ずかしかった。



 次の瞬間、目の前の砂煙に穴が空く。

 これらを代償に、作戦は成功した。


 『避けろ!危な!』

 

 地面を這いずって、何とかブレスを避ける。

 ギリギリだ。

 死ぬかと思った。


 

 ガキィィンと言う音が、ドラゴンから聞こえる。

 蛇吉が噛み付みついた音だろう。


 突如、蛇吉と砂煙が何処かへ飛んでいく。

 

 『••••『光線(レイ)』』


 光るレーザーは、空の彼方に消える。

 ドラゴンには全く傷が入っていなかった。


 『••••よけられた』

 

 ホワイトの声が聞こえる。

 作戦は失敗だ。


 ドラゴンは元いた場所から少し動いている。

 そして、体に貼られている結界に、二つ穴が空いているのが見えた。

 レーザーが通った後だろう。


 ここまでのパワーが有ったとは。

 そのドラゴンは、ホワイトの方へ口を開ける。

 ブレスを貯めているっぽい。


 『とう!』


 そんな中、俺は既に飛び上がっていた。

 今はもうドラゴンの頭の上にいる。


 

 『喰らえ!『光線(レイ)』!』


 そのまま俺の手から光るレーザーを放とうとする。

 まだ使うのに慣れ切っていないので、ホワイト程早く発動が出来ない。


 だが、ドラゴンは相当の知能がありそう。

 ホワイトに集中している今なら、高確率で当たるはず。

 

 

 レーザーを放つ。

 その直前、ドラゴンがギャオーー!!!と吠えた。

 

 「は!?ガッ」


 俺のレーザーは防がれた。

 ドラゴンの周りに突如貼られた五枚の結界と、ドラゴン自身の鱗によって。

 

 直後、俺はホワイトと共に吹き飛んでいた。


 「ガッ」


 『ゲホっ』


 一緒に、同じ木にめり込む。


 何をされたのか、全く分からない。

 動きが目に追えなかった。


 『は??何で!??やれるなら最初からやれよ!さっきまでと全然違う!!!』


 『••••森をかこんでた結界がきえた••••そのぶんつよくなってる』


 結界に割いてたリソースを、俺たちとの戦いに回したのか。

 さっきまで、どれほど手を抜いていたんだ。

 

 『勝つのは無理!逃げよう!!』


 『むり。ブレス来る』


 ホワイトはそう言う。


 何でそんな冷静なんだ。

 やっと俺達は木から出られそうで、ブレスなんて避けられない。

 

 『いや!まだある!能力で同時に体を止め合えば!ブレスを凌げるはず!きっと!』


 『••••とけたタイミング狙われたらいみない。けど、だいじょうぶ。ちはるはへいき』

 

 俺は右に押される。

 正面には、止まっているブレス。

 左には、先に出て俺を押すホワイトがいた。

 

 「???」


 左隣をブレスが通った。

 ホワイトの腰から、下が消し飛ぶ。


 『••••••こんどはかばえた•••••••蛇吉と、にげて••••』


 ホワイトはこう残し、意識を失う。

 その胴体からは、大量の光る粒子が吹き出していた。


 「???」


 ブレスは止んだ。

 ドラゴンは俺に向けて、口を開く。




 「無理だ、、これ」

 

 これは避けようがなかった。

 完全に座り込んでしまっている。

 ホワイトの犠牲も完全に無駄だ。



 ブレスが俺に放たれる。

 何か長い物によって、そのブレスは分断された。


 『な、何で?俺達会ったばっかじゃん』

 

 それは蛇吉だった。

 このお陰で、俺は助かっている


 {••••バカか。会ったばっかのお前らがおれの全てなんだよ••••}


 蛇吉は頑丈で、ある程度ブレスを耐えていた。

 それでも段々と体が消し飛んでいく。


 {••••••話す、余裕、あんなら、姐さんも連れてけ••••最期ぐらい、あたたかい、、だれかの胸の、中で、、}

 

 この間に、俺が立ち上がれた。


 急いで横に倒れているホワイトを抱きかかえた。

 前に背負った時よりも、ずっと軽い。


 「いや違う!まだある!死なない事もある!!異世界人は日本人とは構造が違うかも!」


 無理やり気合いを入れて、走り出す。


 こうしながら、ホワイトへ魔力も流した。

 まだ治る可能性もきっとある。

 蛇吉も異世界人とは会ったことなさそうだから。

 失うのはもう嫌だった。



 「あ。あー、、」


 風が吹き、目の前にドラゴンが現れる。

 どう移動したのか全く分からない。



 ドラゴンはまた口を開く。

 

 もう駄目だ。

 欲張り過ぎだのだろうか。

 色々犠牲にしたのに。


 ブレスが放たれた。

 


 『••••••良く耐えた。大空千晴』


 透き通った声が、響く。





 

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