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心販売機

作者: 渡来シト

出し忘れていた小説です。

面白くはないです。

どっくん。その日、私は恋という沼にハマってしまった。恋してしまったのは、同じクラブチームに入っている澤村君。彼は都内最高峰のバスケ強豪校に在籍しているにもかかわらず、弱小なわたしたちのクラブチームにもよく指導をしにきてくれる。指導は優しくて時には厳しく、私にとって理想的な指導者だった。同時に素敵な異性としても意識するようになった。どうせ自分には釣り合わない、もっといい人がいるからその人と幸せになってほしい。私の心とは裏腹に邪心が目覚めたのも確かで、本心は「お付き合いしたい。」これだけだった。

 ある日、沢村君の指導を受けた帰り道に不思議な販売機を見つけた。側面には『あなたの悩みをバシッと解決!心自販機』と書かれていた。指導を受けられて浮かれていた私は、その文面を見て余計に心が踊った。もしかしたらこの自販機を使えば澤村くんと付き合えるかもしれない。

「えーと、『あなたのお悩みはなんですか?メニュー表から選んでください‼︎』って?どんな悩みが解決するんだろう。」

ボタンには『嫉妬心』『片想い』『欲求不満』と書いてあり、後の二枠にも何か書いてあるようだが掠れていてよく見えなかった。ともかく、この自販機を使えば今の自分にお別れすることができる。

『この自販機は電子マネーに対応していません。お手数ですが現金でお願いいたします。』

また一つ罠があった。PayPayなどで決済ができなかったのだ。私はもっぱら電子マネーを使っているので、これは辛い。血眼になって服にある袋という袋をひっくり返してみると、『チャリン』っと少し高い音が銀色と共に鳴り響いた。

「ラッキー!五百円持ってた。買ってみよ!」

三百円から五百円と自販機にしては高く感じるが、私にとっては問題ではなかった。大事なのは私の心を満たしてくれるか、それだけ。

『ガシャン』と音が鳴り箱が落ちてきた。「片思い」そう書いてあり、「好きな相手に開けさせれば良い」それだけすればいいらしい。

 帰宅後、箱と私は睨めっこをしていた。あなたを彼にどう開けさせればいいの?ねぇ答えてよ。私の頭でどこまで考えられるかはわからないが、できるところまで考えようと思った。

 「おはようございまーす。」

次の日、部活が始まり練習をしていた。私はさりげなく澤村先輩のバッグに、あの箱を混入させることに成功した。不思議そうにして開ける先輩の顔を思い浮かべる。心が躍る。

「ん?おい誰だ!俺のバッグに変な箱入れたの!しょーもない悪戯しやがって・・・」

澤村先輩の怒りを少し含んだ声が聞こえてくる。すみません先輩、あなたのためにあげたんです開けてください。

「何が入って・・・って何も入ってねーじゃねーか!やるんだったらもっと面白くしろよ!これを入れたやつぁお笑い解ってねーな。」

先輩が開けたことを確認しガッツポーズをとるも、私には先輩は何も変わってないような気がした。首を傾げ、あの箱は偽物だったのか?と私は混乱していた。

「そうだ、おーい絵恋《エレン》。ちょっといいか。」

私の名前を呼ばれドキッとする。何かのお誘いか、はたまた告白か、いやまだ早いか。

「お前のフォーム、乱れてるぞ。俺が手本を見せてやるから見ててろ。」

淡い期待は外れていたようだ。

「そうだ!いつもお前、遅くまで残って掃除とかしてるだろ?これやるよ。まぁ大したもんじゃねぇけど。」

その練習後先輩に止められ、なんの変哲もない正方形が手渡された。

「今開けてみ?」

「・・・何も入ってないように見えるんですけど、何なんですコレ?」

「バーカ、心の広いやつには見えるんだよ。お前には見えないんか。」

私は首を傾げ、その日は何も起こらず終わった。

そういえば先輩、金を競馬で大負けしたって言ってたっけ。じゃ、あとで金一封を郵送しておこうかな。だって大好きな先輩のためだもん。

 お金を借りに消費者金融へと足を運んでいるとあの自販機があった。どうやら前と違い、綺麗で全てが見えるようになっているようだ。

私は目を横にスライドさせる。

『服従・命令を効かせたくありませんか?そんな時にこれ!must缶。これを飲んだ人は誰の命令でも聞くようになります。』

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