悪魔の儀王国 エピソード4
そこで、オーゼムは北にあるジョン邸の天空に、不可思議な魔方陣が浮かび上がっていることをモートに伝え、ノブレス・オブリージュ美術館の屋上へ行った。
モートが屋上へ着くと、ここホワイトシティは、荒れ狂う真っ赤な嵐の真っ只中だった。大量の血の雨がこの上なく激しく降りしきり、無数の落雷が容赦なく地上目掛けて落ちていく。凄まじい暴風によって、ロマネスク様式やゴシック様式の建造物の窓ガラスは跡形もなく割れていき、路上の木々が次々となぎ倒されていく。
丁度、ノブレス・オブリージュ美術館から、遥か北にあるジョン邸の空には、赤く巨大な魔方陣が浮かんでいた。こちら側からは、真横から覗けるその魔方陣の全体像は、おどろおどろしく意味が全くわからない呪いの文字列がぎっしり描かれていた。
「……」
「間違いないですね。モートくん、あれは、残念ながら幻視ではないようです」
「何かの儀式を、しようとしているのかな?」
「そうですね。いや、きっとそうでしょうとも。大規模で破壊的で絶望的な何かの儀式をしようとしているはずですよ」
「そうか……どうすればいい? 方法があるのなら、魔方陣は消してみせるけど」
「そうですねえ。魔方陣を消すことはいとも簡単だったとして、それよりも、大事なことがありますよ」
「うん?」
「それは……その前に、言わずと知れたリッチーが数人いや、数体いるはずです。そうです、待ち構えているからですね」
一際、大きな稲光が空を走った。
「そうだね……」
瞬き間に、巨大な落雷が激しい音とともにホワイトシティの北の方へと落ちていった。




