Pseudomonarchia Daemonum(悪魔の偽王国) モート編
真っ赤に血で汚れた正面玄関で、モートはサン・ジルドレと対峙していた。外には、激しい赤黒い雹と落雷そのものが直接ホワイトシティの地面へ落ちていた。
サンは、剣を震える手で持っていた。
「君がモート君だね。いやあはははは、こうして対峙してみると……些か怖いねえ。ほら、怖くて身体が震えているよ。なんで、こうも怖いんだろうねえ……」
「終わりだ」
モートは、銀の大鎌でサンの首を瞬時に狩り取った。
サンの首が派手に飛んで、豪華な彫像が飾られた玄関の壁に激突した。
辺りには、さっきモートが倒したゾンビの群れの死骸の山があった。だが、血の臭いの激しいその場所には、マリンシス・ラオデキアの姿はない。
既にサンによって、どこかへ連れ去られたのだろう。
ここで、疑問が一つできた。なぜ、彼女をこの場で殺害していないのか? と、モートは考えた。おそらく、激しく抵抗されたので、動きが緩慢なゾンビの群れでは、あるいは、ひ弱なサンでは無理だったのだろう。
その時。エンジンのかかる音と共に、自動車が一台、猛スピードで北を目指した。自動車の中には、赤い魂が一つ。黒い魂が二つあった。モートが見た魂の色は、赤が危険。黒は罪を意味している。
それから、大きな音がして、正面玄関から見えるロマネスク様式の建築物の一つが崩壊した。そこから、様々な人間の顔や腕、そして、胴体に足が浮き上がった亡霊が路上へと乱入してきた。それは、遥か遠くへ走った自動車の方を目指している。
モートは、その亡霊に追いつかんと、全速力で走った。




