血の雨 エピソード3
そのままど真ん中に突っ込むと、腐臭漂う空間でモートは次々とゾンビの首を素早く狩り続ける。その間。銃声は鳴り続けていた。
だが、弾丸はモートに決して当たることはない。
倒れたゾンビはびくびくと痙攣している。
ゾンビは動きが緩慢で首をたやすく狩りやすいはずなのだが、何故かモートは訝しんだ。黒のロングコートが徐々にだが濁った血液の汚れで、そのせいかひどく重くなってきているのだ。
身体が重くなったモートは危険を察知してゾンビの群れから少し距離を置いた。
その中心に銀の大鎌を思いっきり投げつける。
高速に回転した銀の大鎌はゾンビの群れの複数の首を正確に狩って行った。濁った血液が大量に地面にばらまかれ、腐った水たまりができる。
銀の大鎌がモートの手に戻る頃には、首を狩られたゾンビの群れはその場に音を立てて崩れ落ちていた。
周囲の排水路からの赤い水が濁水へと変わりつつある。
今までモートに向かって撃たれていた銃声も止んできた。
どうやら、ゾンビと血の雨は何か関連をしているのは間違いないのだろう。
モートは今度は、銃声のした方へと走った。
暗闇の中から瞬間的に火花が飛ぶ、依然と銃声がしているのだ。また向こうから数発撃ってきていた。
「うん?」
モートは驚いた。銃を撃っているものもゾンビの群れだった。
こちらに気がつくとゾンビたちはひたひたとゆっくりと歩いて来た。至近距離で銃を発砲する。素早くモートは、そのゾンビの群れの中へと飛び込み。全ての首を狩った。