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血の雨 エピソード2

 複雑な配管を通り抜け。暗闇の中を一直線に走った。悲鳴はなおも聞こえている。眼前に黒い魂が八つ見えてきた。


 モートはその中央に飛び込んだ。


 瞬間的に銀の大鎌で円を描くように狩ると、八つの首が血をまき散らしあらぬ方向へと吹っ飛んだ。

 床には気を失った少女が倒れていた。


 モートは少女をよく観察しようとした。


 幸いにライトが天井にぶら下がっていたので、少女の両の手首と念のため足首を見てみると、右の手首に聖痕のような傷を発見した。


 異変に気が付いたのだろうドタドタと大勢の大きな足音が迫って来る。

 モートはその方向を見ると、全て黒い魂だった。

 嬉しくなったモートは銀の大鎌を握り直し、少女をこの暗闇の空間の片隅に隠した。


「なんだーーてめえーー、……わっ、ひっ!!」


 悪漢の一人の首が即座に飛んだ。

 血潮をまき散らし、飛んだ首はこの下水処理施設の空間の壁に派手に激突した。


 大勢の悪漢はたじろいだ。


 手にした銃でモートをそれぞれ撃つが、弾丸はモートの身体を貫通していくだけだった。焦った悪漢たちは逃げの態勢になったが、いつの間にか全ての首が鮮血を上げて床にごろりと転がり出していた。


「今日の収穫も凄いな……」


 モートは銀の大鎌を黒のロングコートにしまうと、独り言を呟いた。


 急に配管だらけの空間の脇の排水路から赤い水が流れてきた。

 モートは考えた。

 ここの上はトンネルだった。恐らく外は血の雨が降ってきているのだろう。


 天井のぶらりとしたライトが突然消えた。

 奥の方から多くの黒い魂がゆっくりとこちらに向かってきていた……。


 モートは落ち着いて銀の大鎌を黒のロングコートから取り出した。構え直すと、空間の片隅に隠しておいた少女がなにやらビクビクと動きだした。


 少々、焦り気味になったモートは、奥へと走った。


 それは死人……ゾンビの群れだった。ひたひたとこちらに歩いてきている。何故、ゾンビだとわかるかというと、全て手術の後があるからだ。あるものは、メスによって右肩から胸にかけて普通なら致命傷になるはずの裂傷が見える。また、あるものは、そのまま胸が大きく開かれていた。


 ゾンビの群れの大きく裂けた胸は、完全に停止した心臓が見える。


 どこかから大きな銃声が木霊した。

 モートの身体を幾つかの弾丸が貫通していった。

 

 まず、モートはゾンビの群れへと走った。


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