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出血 エピソード3

「多分ですが……七人の人物たちは何かを封印しているのでしょうね。全員が少女の可能性もあります。さあ、モートくん出番ですよ。行ってください! その七人を守るのです!! あ、言い忘れていました! その七人の家は恐らく教会のはずなんです。エペソとスミルナの家も教会でしたので……。そうです教会は神の家ですからね」

「ああ……わかった」


 モートは激しく降りだした血の雨の中で、シルバー・ハイネスト・ポールへと走った。

 美術館から数十ブロックもモートは様々なものを通り過ぎる。シルバー・ハイネスト・ポールは石造りのホワイトシティでもっとも高い塔で、おおよそ400年前にホワイト・シティの統治者が建立した歴史的な建造物の一つだ。今では大勢の観光客が年に二回は訪れる場所だった。猛スピードで辿り着いたモートは、立ち入り禁止の扉を通り抜け、石階段を頂上まで行くと赤い魂を探した。

 

 シルバー・ハイネスト・ポールの頂上からは、血の雨が降り注ぐホワイトシティの真っ赤な全容が見え。モートが目を凝らすと、その中で赤い魂は幾つも見えるが、またしてもウエストタウンに小さい。だが、非常に激しく光る赤い魂が一つあった。


「……また、ウエストタウン……か……きっと、あそこだ」


 モートはここから遥か西にあるウエストタウンへと飛翔した。

 銀髪とロングコートから赤い水滴を零しながら宙を飛翔していると、しばらくすると、ウエストタウンの真っ赤に染まった林立する建造物が見えてきた。すでに真っ白な雪の姿は無い。道路へとモートが着地する頃には、真っ赤に染まった行き交う人々は皆、肌の苦痛を訴えていた。

 モートは何も感じないが、どうやら、血の雨は人間には有害なのだろう。血の流れる道端で、せっせと水掻きをしていた老人が苦痛に顔を歪めて急に倒れだした。


「だ……大丈夫か?」


 モートが駆け寄ると、老人は急にのろりと立ち上がった。具合が悪いのだろうとモートが肩に手を置いた。だが、何故か老人は何が可笑しいのかカラカラと笑いだした。

 

 老人がモートの方へと振り向くと……。


 そこには、生気のない灰色の死んでしまったような顔になった老人がカラカラといつまでも笑っていた。 

 

 モートは銀の大鎌をロングコートから取り出したが、一際目立つ赤い魂の人物を優先して、向きを変えて探した。


 周囲を見回すと。

 道路の真ん中に一人の少女が真っ赤な魂をして佇んでいる。


 周りの人たちもどこかおかしい。

 ゆらゆらと肩を動かして、少女を取り囲んでいた。 


 モートは焦ってその少女のところへ飛び込んだ。


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