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屋敷 エピソード7

「……ヘレン……いや、ここには黒い魂はもういないんだ……」

「え? どういうことかしら?」

「多分だが。もう、逃げてしまったのかも……知れない……」

「そう……。わかったわ」


 モートと一緒にヘレンが厨房から出ると、凄惨なアンデッドの肉片が床に散らばっていた。窓の外は凄まじい吹雪が荒れ狂っている。


 ビュウビュウと窓を吹き上げる吹雪は、ホワイトシティでも年に幾度も来ない猛吹雪だった。


 ヘレンは寒さに震えながら、疑問に思ったことを歩きながらモートに伝えた。


「ジョンが……ジョンは……言葉を交わしたけれど、なんていうか……そう。すでに死んでいるのよ」

「うん? 何を言っているんだい? ヘレン?」

 ヘレンは混乱した頭を振り、ある種のおぞましさを覚えて身震いしたが、勇気をだしてモートに話した……。


「ジョン……あの人は、なんだか棺桶を見ているような雰囲気がしてたわ……もう、この世にはいない。いや、死者とも違う別の存在で……なんていうか……」

「……」


 だが……。

 

 離れた場所からガシャンと複数の窓が割れる大きな音がした。


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