表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.201~No.300】

頑張れるのは 【月夜譚No.232】

作者: 夏月七葉

 きつく締めた鉢巻きから勇気が流れ込んでくるようだ。少年は深呼吸をして、バスケットボールを持つ手に力を籠めた。

 これは、公式の大会ではない。そもそも、彼は何処の部活にも所属していないから、そういった大会に出る機会すらない。

 そんな彼が学校の小さな球技大会の一試合にこんなに力が入っているのには、理由(わけ)があった。

 試合開始の合図が鳴る。ドリブルとパスを繰り返し、自陣がゴールへと近づいていく。普段は味わうことのない高揚感に、少年の頬が上気した。

 ゴール下に駆け込んだ彼に、味方の一人がボールをパスする。敵の指先を掠めたボールが吸い込まれるように手中に収まり、彼はそのままゴールを決めた。

 わっと喜ぶ味方越しに客席が見える。

 頑張れるお守りにと鉢巻きを渡してくれた小さな手がブンブンと音が聞こえてきそうなほど振られているのに、少年は笑顔を返した。

 今年小学校に入ったばかりの可愛い妹。彼女の喜ぶ顔が、彼にとって一番のトロフィーだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ