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林間学校③

 匠は生徒が通りそうなポイントに立って生徒の安全確認をしていた。

 時々生徒が通るが急にコソコソして「あの先生だろ」や「あの先生が()()()()()()()じゃない」と言う声が聞こえてくる。

 別に生徒は悪口を言っているわけではない。

 匠に化学を教わっているクラスから匠のことは広まっていてすでに1年の中では有名人なのだ。

 だが、匠はその声や姿を見るたびに過去の陰口の光景を思い出し、発作を起こしそうになっていたが生徒の前では決してその姿を見せなかった。


 また1班が匠の前をコソコソしながら通った。

 生徒が見えなくなると匠はうずくまった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 (大丈夫だ、悪口ではない、落ち着け、落ち着け)

 自分に言い聞かせるように何度も何度も繰り返す。


「・・・・・・い、・・・・・・んせい、先生!松雪先生!」

 匠はその声にはっとした。

 顔を上げるとそこには来夢が心配そうな顔をしてこちらを見ていた。

 息をなんとか整え、体を起こした。

「大丈夫ですか?」

 本当に心配している言い方だ。

 目の前でうずくまっている人を相手にしているのだからしょうがないが。

「大丈夫だ」

 匠は正常を装った。

「でも・・・・・・」

「大丈夫だ、たまにある」

 それ大丈夫ではないんじゃ・・・・・・、と言いかけて来夢は口を閉じた。

 なぜかはわからないが、それ以上言ってはいけない気がした。

「ほら、もう戻れ」

 匠は来夢の班を見ながら言った。

「・・・・・・はい」

 それだけ言うと来夢は自分の班に戻った。


 来夢が戻ると班員は歩き始めた。

 来夢は遅れないように歩いていたが頻繁に匠の方を見ていた。

 匠は来夢がいなくなった後また少し息が荒くなっている。

 無理矢理普通に見せていたのだろう。

 匠を見る来夢の目は心配と戸惑いの色に覆われていた。

 (どうしたんですか、松雪先生・・・・・・)

 匠を見ながら、来夢は心の中で声をかけた。

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