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俺の人生・・・・・・②

「いやー、美味しかったね」

「匠先生、ありがとうございました」

「たくみんのおかげだね」

「本当、本当」

「また一緒のクラスだといいですね」

「俺は匠先生以外には担任はしてもらいませんよ」

「俺たちもですよ」


 店から出て全員で歩いていた。

 わいわいと四十二人が集団で道を歩いている光景は圧倒的だった。


 匠は後ろでしている楽しげな声を聞いて満足していた。

 (こんな時間が永遠に続けばな)

 匠は幸せを感じていた。

 この生徒たちとともに過ごせてとてもよかったと感じていた。

 できることなら今年一年をもう一度繰り返してもいいとまで思っていた。

 (俺は君たちと過ごせてとてもよかった・・・・・・)


「匠先生、何考えてるんですか?」

 ふと自分の隣で声がした。

 その声を聞いて匠は現実に引き戻された。

 匠は来夢の方を見た。来夢は楽しそうに笑っていた。


「みんな楽しそうですね」

 来夢と匠は後ろでまだ騒いでいる生徒たちを見た。

 例外なく誰もが楽しそうだった。


「よかった・・・・・・」

 匠が微笑みながらつぶやいた。

 それを見て来夢は匠の手をそっと取った。

 匠は驚いて来夢の方を向いた。そこには恥ずかしそうに下を向く来夢の姿があった。


 来夢の手は温かかった。

 自分の体が熱くなるのを感じた。自分の気持ちが高まるのを感じた。

 それは匠も来夢も同じだった。

「匠先生、私・・・・・・」

 来夢が口を開き始めた。


 だが、来夢は言葉を止めた。

 なぜなら、匠が自分の手を振りほどいて走り出してしまったのだ。

 来夢は前を向いた。

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