表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/59

バレンタイン①

 クリスマス、正月が終わると次はこれだ。

 あちこちが赤色、ピンク色、黒色、白色で彩られている。

 テレビでもチョコレート特集をやったり、バレンタインレシピなどを公開したりしている。

 毎年のことながら「こんなお菓子メーカーの商戦にのるか!」と言っているアンチが街にはびこっているが恋人たちには聞こえていないようだ。




「どうしよう・・・・・・」

 来夢は自宅のキッチンで腕を組んで立ち尽くしていた。

 目の前には明日のためのチョコレートマフィンのための材料が用意されていた。

 「どうしよう」というのはこのバレンタインのお菓子を作るのをやめようかどうかという問いではない。

 今、問題なのは誰に対して作るかなのだ。

 クラスの人や部活の人に作るのはもちろんだがそれはあくまで義理チョコや友チョコであって本命ではない。

 本命は・・・・・・


「はぁ、渡していいのかな・・・・・・」

 匠に作ろうかどうかを迷っていた。

 作りたい気持ち、渡したい気持ち、この想いを伝えたい気持ちはいっぱいにまで膨れ上がっている。

 ならば作ればいいじゃないか、と思うがそれでももし渡して匠が困ってしまうのが来夢にとっては一番つらかった。

 義理チョコとして渡すのも一つの手だったが、本命の相手に義理を渡すのは少々気が引けた。自分の気持ちに嘘をつきたくなかった。


「お姉ちゃん、早く作ってよ!」

 キッチンの前で何度もため息をついていた来夢に後ろから声がかかった。

 来夢は自分のこんな姿が誰かに見られているとは思っていなかったので、驚いて後ろを振り返った。


「か、華鈴(かりん)! いつからそこにいたの?」

 慌てながら聞いた。

 急に振り返ったせいでキッチンに用意していた材料を危うくひっくり返しそうになってしまった。


 華鈴は家族なのだからそんなに驚かなくてもいいのでは、と目の前であわあわしている自分の姉を見て思った。

 そんなに慌てられたら自分が悪いことをしたように感じた。


 朝比奈 華鈴。

 朝比奈家の次女にして来夢の妹である。

 現在中学三年生で今年度、山の丘高校を受験しようとしている立派な受験生である。

 来夢に華鈴・・・・・・朝比奈家の親(ちなみに名付けたのはどちらも母親)は柑橘系が好きなのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ