林間学校⑧
すでに空は暗くなっている。
2日目の夜は夕食後に1年生全員でキャンプファイヤーだ。
なぜかは知らないが最近の子はフォークダンスが踊れるらしい。
山の丘高校の生徒も例外ではなく結構多くの生徒が踊れるようだ。
踊る人のためなのかムードを作るためなのか音楽が流れている。
別にフォークダンスを踊ることを強制してはいない。
匠が周りを見ると火の周りで踊っている人もいれば、話している人もいる。
踊っていると言っても男子同士、女子同士で踊っているペアもあれば男女で踊っているペアもある。
紗椰はと言うと2組の男子生徒から呼ばれ、相手を次々に変えながら踊っていた。
他の教師も踊っている者が多い。
匠は1人目立たないところで様子を見ていた。
目立たないところのはずだった・・・・・・
「松雪先っ生」
遠くを見ていた匠は自分の方にやってくる人影に気づかなかった。
「朝比奈、どうした」
来夢の横顔はキャンプファイヤーの火に照らされていた。
「松雪先生は踊らないんですか?」
来夢は男子生徒と楽しそうに踊っている紗椰をちらっと見た。
「俺は踊れん」
「嘘、意外ですね」
どこが意外なのか匠にはわからなかった。
だが来夢はまだ何か言いたそうな顔をしていた。
「あ、あの、先生・・・・・・」
来夢は少し言い出しにくそうにしている。
「なんだ」
匠は催促した。
「い、一緒に踊りませんか?」
微笑みながらそう告げた。




