プロローグ
「おおきくなったらせんせいになりたい!」
俺の小学校1年生の夢だ。
「将来は学校の先生になる!」
俺の中学校3年生の夢だ。
「将来は先生みたいな高校の教師になります!」
俺の高校3年生の夢だ。
誰もが1度は学校の先生に憧れたことがあるだろう。
別にそれがどうしたと言うこともない。
俺だってそうだった。
小・中・高と俺は教師になりたかった。
教師になりたいとなりたいと強く思ったのは高校の頃だ。
俺は数学を教えてくれた教師に憧れを抱いた。
常に生徒のことを考え、常に生徒に寄り添っていた。
普段の少しツンとした態度とのギャップに多くの生徒が虜になった。
俺はその教師に憧れた。
大学は理学部の化学科に行った。
教育学部でもよかったが生徒に深く教えられるようにと将来の生徒のことを思って理学部にした。
他にも教職志望の奴らもいたからそれなりに充実していた。
教育実習には母校の高校に行った。
あの教師はいなかったがいい経験が得られた。
大学のあとは周りにながされるまま大学院まで行った。
生徒に実験のことなどを話すことができるからこれはこれでいいと思った。
そして俺は教員試験、教員採用試験に合格し、晴れて高校の先生になった。
そう、昔からの夢を俺は実現した。
昔からの夢を実現した俺は忙しい仕事も苦にならなかった。
生徒からの質問、相談、日々色々なことに追われていたが楽しかった。
あの先生も楽しかったのかな。
そんなことを考えながら俺は仕事をしていた。
それが・・・・・・
いつからだろうか・・・・・・
確かあれは2年目だった気がする。
俺は担任を任された。
すごくうれしかったが、すごく不安だった。
探り探り他の先生方のアドバイスを受けながらやっていた。
なのに・・・・・・
最近の言葉を借りれば「モンスターペアレント」と言うのだろうか。
ただ校則に違反していたので注意しただけだ。
それを子供の自由を奪っている、高校の先生なのに個人の個性や性格を理解できないのかと強く罵られた。
そればかりかその保護者はどうやらボス的な存在だったらしく、他の生徒の保護者、さらにはその次の学年、他の学年の保護者からもひどい扱いを受けた。
公立の学校は異動がある。
異動先の学校には俺を罵る保護者はいなかった。
だが、今度は先輩の先生に俺は、いじめと言えば一言で終わってしまうが、その一言では終わらせることのできないほどの苦痛を味わわされた。
机のものがなくなる。
下駄箱におかしなものが入っている。
そんなものから始まった。
全く小学生のいたずらのようなことだが、それが毎日のように続き、助けを求めても誰にも振り向いてもらえず、どんどんエスカレートしていく。
俺は耐えきれなくなって教師をやめた。
だが俺は高校のあの先生との約束を破りたくはなかった。
だから私立の採用試験を受け、今はその学校の教師をしている。
俺の人生最大の不幸は教師になったこと・・・・・・