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朝六時。その時間に悠希たちはおきた。
未だ微妙に薄暗いが、冬香が心配なので五人は別荘を出た。
「二人と三人で探そう」
椿己の提案で分かれて探すことになった。
厳正なあみだくじによって、椿己・亜海・寛也と美香・悠希のチームに分かれた。
何気に悠希は不謹慎と分かっていながらもガッツポーズをとった。
「それじゃあ、俺たちは主に海辺を探す。悠希たちは山のほうを頼む」
「おう、暗くなり始めたら別荘集合な」
そうして冬香の捜索が始まった。
山の中は風が少なく、木や草などの障害物は多かったが捜索はスムーズに進んだ。
「冬香―!冬香―?」
「冬香―!どこだー!」
捜索を続けても、一向に何も出てこない。
「冬香―!ふゆ…なんじゃありゃ?」
悠希は遠くにコケが張り付いている何かを発見した。
「美香!何かある!」
「何?」
二人はその何かに向かって走った。それは冬香ではなかった。
「やぐら?」
コケがびっしりとついた、古そうなやぐらだ。小さい家のようで、戸がついている。戸は開けっ放しで中は空っぽだった。
「何かな?これ…」
「触らぬ神にたたりなし、いこうぜ、美香。冬香を探さなきゃ…」
「きゃぁあ――!!」
海のほうから悲鳴が聞こえた。声からして亜海の悲鳴だ。
「行こう!」
悠希と美香は悲鳴が聞こえたほうへ全力疾走した。草を掻き分け、海辺にいいたのは、呆然と立ち尽くす椿己と寛也、そしてしゃがんで冬香を抱えている亜海だった。
「見つかっ……たのか…」
亜海が抱えているのは全身が青く見えるほど白くなっている水着姿の冬香だった。
「冬香……冬香!」
美香は涙をぼろぼろとこぼして泣き、冬香の名前をしきりに叫んだ。
悠希はそっとしゃがんで冬香の頬に手を当てた。
冷たい。
冬香は、死んでいた。
そのとき、悠希の頭に、あのうたがながれた。
『――遠いどこかの海のこと
ちいさい青がおよいでる
およいだ後に沈んでいってそれきり青は見えなくなったとか――』
青――蒼野 冬香―
わらべうた…
白は怨念となって――
白の怨念……?
もしかして、冬香は――
うたはまだ、終わっていない。
あとがき
遅い修正すみません;
気がつかなかった方、申し訳ございませんヽ(;´Д`)ノ