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ならば!と悠希は他の二人に助けを求めた。
「なあ、亜海、椿己、お前らも寒いだろ?帰ろうぜー…」
「え?でも海に入らなければなんとも無いし、あたし見てるよ。あの三人、楽しそうだし」
「俺、あとで遠泳やろうかと思ってるから」
またしても玉砕。仕方なく悠希は座って海を眺める二人の脇に座ってともに海を眺めていたが、三十分とも立たないうちにギブアップした。
「悪ぃ俺帰ってるわ」
ダッシュで別荘に帰り、ロビーにあったストーブを真っ先につけた。じんわりと暖かくなり、情けない悠希の体を温めた。
「ふわ〜生き返る〜」
一人でずっとぬくぬくとうたた寝しそうになった時、別荘の扉が勢い良く開き、冷たい風が吹き込んだ。
「寒っ!?」
「あ、ごめーん」
亜海と椿己、そしてがちがちに震えている真っ青の寛也だった。
「こいつ、お前にナツがどうのと言ってたけど、最終的にくたばったようだ」
椿己が冷ややかに言い放ち、寛也をストーブの近くのソファに乱暴に座らせた。寛也は「火っ!!火っ!!」と言いながら毛布に包まり、ストーブに手を添えていた。
悠希は足りないメンバーのことを元気な二人に尋ねた。
「冬香と美香は?」
「あの二人は元気でね〜まだもう少し泳いでくるってさ。若いって良いね」
「お前も同年代だろうが。だけど、風邪ひきそうだな」
悠希は時計を見た。すでにはりは四時を指している。もう肌寒くなってくるころだ。
四人で待つこと三十分、別荘の扉が静かに開いた。
「ただいまー。うー寒っ」
「あれ?美香、冬香は?」
「え?帰ってきてないの??」
突然、冬香がいなくなった。