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「それじゃあ、一週間たったら迎えに来てください」
冬香は運転手にそういって、悠希たちを別荘へ案内した。
道は前と違ってレンガで整えてあり、きれいになっていた。前は草が生え散らかっていた、野道だった。
別荘は、クリーム色の壁で、屋根は無く、真四角の建物だ。
中に入ると、ロビーのようで天井にはシャンデリア、一人掛けの大きいソファが二つ、三人ほどは余裕に座れそうなデカソファが二つ、ガラスのサイドテーブルが一つ、用意されていた。九月だというのにストーブまで用意されていた。もちろん、エアコンも完備。
「きれいでしょ?家政婦さんが週一で掃除してくれてるの」
なるほど。金持ちボンボンは違いますね、暮らしが。
「それじゃ、ちょうど6個寝室があるから好きなの使って良いから!亜海〜一緒にいこー♪」
「うん!美香も〜」
「行く行くー」
三人はきゃぴきゃぴ騒ぎながら馬鹿でかいロビーから二階の寝室に行ってしまった。
「…良いな、女たちは」
「こっち側、花無さ過ぎだぜ」
「マヌケ顔ならいるけどな〜」
寛也がふざけて悠希に言った。
「うっせーよ、顔面ぶつけマン」
「とりあえず、俺たちも二階にいこーぜ」
椿己が言った。
やはり、これくらいの別荘になると階段も豪勢で、赤いじゅうたんがひかれていた。二階につくと、真っ先に寛也は言った。
「俺、紅獅子の間借りっから!」
つまり、女子たちのとなり。話でも盗み聞きするつもりか。
「悠希は?黄金鹿と白金虎、どっちがいい?」
椿己は悠希に聞いた。悠希は少し悩んで椿己に言った。
「俺、白金虎もらうわ」
「それじゃ、俺は黄金鹿な」
椿己は自分の荷物をもって、黄色い扉の中に入っていった。