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伝統があるといえば、さっきのわらべうたも中々古いものらしい。ばあちゃんいわく百年前くらいにはなるらしい。
今日から悠希は友達の金持ちさん、蒼野 冬香の誘いで近くの別荘以外には何も無い島、『はじめ島』に行くことになった。
別にいつもなら「面倒くさい」「疲れた」などで断って行かない別荘行きだが、今回は何故か行かなければならない気がして、参加した。悠希はものっすごい気分屋なので、そんなこともおそらくあるのだろう。
はじめ島には本当に何も無い。
山がぽつんとあって、後は砂浜。その砂浜も特にきれいというわけでは無い。
むしろ、ごみが流れ着いていることがあって汚い。
だけど、今回は五人集めたようなことを冬香は電話で言っていた。
「またあのメンバー集めたからさ、ね、行こ?」
あのメンバーといえば、小学校の時のやんちゃっこチームのことだろう。
冬香に、岸崎 亜海 (きしざき あみ)、姫島 美香、
小金宮 椿己、未亜科 寛太、
それで、悠希。このメンバーとはいいことも悪いこともともにした良い仲間だった。顔合わせは、冬香を除いて久しぶりだ。
とりあえず悠希は一通りまとめた荷物を持って外へ出た。
「おっはよ、悠希」
玄関の前にいたのは美香だ。たぶん、待っていてくれたのだ。
「おお、久しぶりだな、美香」
「うん。悠希ったら、面倒くさいって島にこないんだもん」
悠希はへへ、と苦笑いしかでなかった。
悠希視点から見たら、美香はめちゃくちゃかわいい。
昔一目惚れした位だ。しかし、美香にはすでに超イケメン?の椿己が彼氏にいた。ふられるだけだった。
「あの島行くの、ちょっぴり久しぶりでしょ?」
「まあね、ずっと断ってたから」
少し談笑する。
「私、新しい水着買ったんだ〜」
「え゛、海入るの?もう九月だから寒くない?」
「平気平気♪」
すこし話をしているうちに、悠希と美香は冬香のクルーザーがある船着場についた。というか、冬香の海辺の豪邸。
「あ、遅いよ二人とも!もう皆来てるって!」
亜海だ。亜海は水色のTシャツに、紺色のGパンを着ている。
昔っから亜海は青系が大好きだったな…そう悠希は思った。