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わらべうた  作者: CM同盟
17/19

17p

美香は恐怖におびえている。

初恋の相手、美香。その美香を守れるなら…

と、冷や汗を吹き出しながら少しだけ微笑んだ。

悠希は少し、決心した。それでも…と、悠希は血を軽く吐いた。

「椿己、ちょっと…無理するかも。頼むわ」

「…悠希?」

悠希は息をつくと、扉に思いっきり手をかけた。

ぐぐっと手に力を入れ、入らないなりに、力をこめて、扉を押した。

扉はゆっくりと閉じていき、閉まっていく…

頭に、幻が浮かんでくる。その幻は、死んだときの姿へと変わっていく。

あぁ、そうだったのか。幻は、死に至ったときの、白に殺された時の姿へと変わっていくのか。

“うじうじしてたら…呪ってやるからな!”


そうだな、寛也 ――――


後、少し――後少しで、美香は、椿己は助かる。

そう思えば死ぬのは恐くなかった。悠希は最後の一押しを、決めた。

今、おれも逝く――

しかし、その瞬間、椿己が突然悠希の体を押しのけ、自分が扉に手をかけた。

「馬鹿…!?椿己!止めろ!!」

悠希は椿己の体が透けていくのが見えた。美香も、見えるのか、驚きの表情を浮かべている。きっと、おれも透けていたのだろうか。

「やめろ!閉めるな…俺がやるから!」

「うるせえ!!」

椿己は悠希に怒鳴りつけた。

だが、その顔は笑っているようにも見える。

椿己はぐぐっと力をいれていく。

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!悠希!お前が、お前が消えたら悲しむやつがいるだろうが!」

悠希はいきり立って言い返した。

「それは…お前にだって言えることじゃねえか!」

椿己の体が、どんどん透けていく。足なんかはもう、見えなくなっている。

悠希はあせった。

「手をはなせ!椿己!」

「この鈍チン野郎!」

椿己は苦しそうな表情を浮かべながら叫んだ。

「お前な…お前が惚れた女くらい、お前が幸せにしろ!」

「はぁ?!」

悠希ははっとして、美香のほうへ振り返った。

美香は真っ赤になって悠希を見つめている。だが、悠希には引っかかることがあって仕方が無かった。

「お前だろうが!美香の彼氏は!お前が…」


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