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悠希は、美香と椿己をつれて、山の中のやぐらへ向かっていた。
案の定、開けっ放しのやぐらの中には赤、青、金のビー玉のようなものが転がっていた。
やぐらに近づくにつれ、悠希の白いペンダントは輝きを増していたが、今、その輝きは最高頂に達していた。
悠希は自分の首から、ぶちっと乱暴にそのペンダントを引きちぎった。
―ホウ、ワタシヲフウインスルツモリカ…―
頭に直接響くような声。悠希はめまいを起こした。
「悠希っ!」
美香が悠希の体を支える。
吐き気、頭痛、関節痛…今の悠希は満身創痍だった。
しかし悠希はそのペンダントをやぐらの中へ押し込めた。
そのとき、足元の地面が揺れた。
「な、何だ!?」
―オマエラハコノシマモロトモウミにシズムノダ…フウインサセハシナイ…マチワビタフッカツナノダ―ジャマヲスルナ!!――
悠希は耐え切れなくなって、近くの草陰に胃液を吐いた。ひどく気持ちが悪い。
「大丈夫か、悠希」
「あぁ…」
椿己に助けられながら、よろよろと立ち上がる。地鳴りはやんでいない。
海に沈む…悠希はいったん森の外へ出た。
潮が、満ち始めている。
いや、潮が満ちるどころではない。波が、迫ってきている。
すでに初日に座っていたところは水浸しになっている。島が沈んでいっているのだ。
「早く行こう!」
悠希は森の中へ駆け込み、やぐらの扉に手をかけた。
そして思いっきり力をこめて、扉を閉めようとした。
しかし、悠希は扉を閉めることができなかった。






