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「うわあぁあぁぁああ!!!」
椿は、自分を見失ったかのように…獣のように叫んだ。美香はへなへなと地面にしゃがみこみ、震えながら泣いた。悠希は自分の唇を噛み切った。亜海や寛也よりもずっとわずかな血が流れる。
なぜだ?!ペースが速すぎる気がする…もう…三人も…
―トウゼンダ…ワレハハヤクチカラヲテニイレタカッタノダ…モウイロナドカンケイナイ、ダイカトナルイノチハササゲラレタ――モウダレモコノワタシヲトメルコトハデキナイ―――
どす黒い声が三人の頭の中に響いた。悠希はすぐに理解した。
冬香…寛也…亜海を殺した犯人…
白 の 怨 念 。
椿己はいきり立って叫んだ。
「この声…!携帯からながれた音声とまったく同じ?!」
「悠希ぃ…」
声が完全に消えてから、美香は悠希の腕をつかんだ。瞳はおびえきり、潤んでいる。
悠希は自分でも気がつかないうちに、首にかけてあった家宝のペンダントを握っていた。ペンダントは、悠希が気づかない程度に光っている。
その光のいたずらか、勇気の頭に、信じられない言葉ばかりがが次々と、浮かびあがってくる。
(白によって、この島は海に沈むこと逃れられず…そのペンダントを三つと一緒にシロがやぐらへと眠らせんとするとき、島は浮かばん、海に沈むこと、白を沈めらせん)
そして、決定的な言葉が、悠希の頭に響いた。
――白はシロによって…だ――
つまり、白の落とし前は…シロ――杉城が?
白はシロによって見えなくなったとか……
地獄の死に旅行の終わりが近づいてきたようだ。
「美香、椿己…俺と一緒に来てくれ」