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冬香が死んで丸一日。
この島に迎えが来るのは今日をいれてあと五日。
「なあ、もう帰ろうぜ…冬香がこんなんなっちまってんのに、やってらんねーよ」
寛也は提案した。でも、亜海はさらにもっともなことを言った。
「でも、どうやって連絡するのよ」
冬香がいなければ、この屋敷の構造も見る限りしか分からない。しかも、見る限りでは電話など、見つからない。
「そうだ、携帯はどうだ?俺ので連絡を…」
そう言い。椿己は携帯電話を取り出した。そして自分の家の電話番号を入力し、携帯を耳に当てた。そして、何回かのコールで、プッと何かにつながった。
「お、もしもし…」
「無駄ナ抵抗ハヨセ…サモナクバ全員コノ島デ殺ス」
そんな言葉が携帯から流れ、ブツッといって通話は切れた。
椿己は怒りの感情を押さえ込み、ため息をついて携帯をポケットに入れた。
「…どうやら故障しているらしい」
それだけ言って、本当に言われたことを皆には言わなかった。
「…っはあっ!もうやってらんねーよ。おれ、ちょっくら散歩してくるわ」
寛也はそう言い、別荘から出ようとした。悠希は悪寒を覚え、とっさに叫んだ。
「おっおれもいく!」
「んあ?じゃあ、付き合ってくれ」
悠希は椿己に耳打ちした。
「美香と亜海を頼む」
椿己は静かにうなづいた。悠希は出て行った寛也を追いかけた。
寛也は昨日悠希と美香が捜索していたあたりに向かっていた。そして、昨日の悠希と同じようにやぐらを見つけた。
「なんだ?これ…きったねーやぐらだな」
悠希はとなりでまじまじとやぐらを見ていた。そしてすぐに違和感を覚えた。
やぐらの開けっ放しの戸の中に蒼いビー玉のようなものが置かれている。
昨日はこんなもの…無かった!
「寛也…!」