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――遠いどこかの海のこと
小さい青がおよいでる
およいだ後に沈んでいってそれきり青はみえなくなったとか
――遠いどこかの山のこと
小さい赤がのぼってる
のぼった後に転げ落ちてそれきり赤はみえなくなったとか
――遠いどこかの場所のこと
小さい金があるいてる
あるいた後につぶされてそれきり金はみえなくなったとか
――高い高い空のこと
みっつがひとつになって白がでた
白は小さく今にもきえそうだ
――遠いどこかの島のこと
白は怨念となって今もやぐらといっしょにみっつのことを待っていた
白はみっつをえたとき あばれてた
だけども だけども 白はシロによってみえなくなったとか――
「変なうた」
昔ばあちゃんに聞いた唄。
悠希はこのうたを初めて聞いたときからこのうたを好きになれなかった。
本名は杉城 悠希。結構伝統のある杉城家の現・長男だ。
悠希の首には、白く輝くペンダントがかかっている。これは代々受け継がれている、ぞくに家宝と呼ばれるもので、ついている小さい宝石はガラスなのかダイヤなのか、何の宝石は分かっていないものなのである。それでも悠希は伝統のある、大切なものだ、と父に聞かされてもらったものだし、父がくれた唯一のものなので、いつもつけていた。