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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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行政府を出たアレクサンドリーネ達だったが、もう他にできることもなさそうなのでカース邸に帰ることにした。一瞬、治療院に寄ってみようかとも思ったが、意味がなさそうなのでやめた。やはりカース邸に帰るのが正解だろう。




帰ってみると玄関前で数人の騎士とラグナ達が揉めていた。


「ただいま。どうしたの?」

「ガウガウ」


「あ、お嬢おかえり。助けてくれよぉ、こいつらおかしいんだ。ダミアンが死んだなんて言いやがってよぉ。犯人を探すとか言ってさぁ。」


「お帰りなさいませ。お出かけに気付かず申し訳ありませんでした。当家を改めたいようですが、辺境伯閣下の令状がない限り認められないと固持していたところです。」


妙な事態になっているらしい。


「ここを魔王カースの家だと知った上で来ているのよね? 私はアレクサンドル家のアレクサンドリーネ。カースの伴侶よ。ついさっき辺境伯閣下にお会いしてきたばかりだけど、そんな指示を出したなんて聞いてないわよ? 説明してごらんなさい。きっちりとね?」


「我が名はフランティア騎士団第二部隊所属、シェルタール・ド・ナイブス。先程通報があり、この屋敷にダミアン様が連れ去られたとのことだった。確かめさせていただきたい。」


「なるほどね。どこからの情報かは知らないけど変な話ねぇ? ダミアン様の身柄が心配なの? それとも生死を確認したいのかしら? どちらにしてもここにはいないわよ。そうよねカムイ?」


「ガウガウ」


首を縦に振っている。

そもそもアレクサンドリーネにしてもカース達が現在どこにいるのか分かっていないのだ。


「だからそれを確かめさせろと言っている。騎士団に逆らうつもりならば容赦はせぬぞ?」


「あなた達がどのような命令系統で動いているのか知らないけれど、辺境伯閣下の令状もなしにこの屋敷に入れるわけにはいかないわね。力尽くで来ると言うならお相手するしかないわね。」


そう言って身構えるアレクサンドリーネ。ラグナも魔力庫から剣を二本、取り出した。リリスも杖を構えている。


「抜剣!」


シェルタールの合図で騎士は全員剣を抜いた。しかし、次の瞬間……根元から折れていた。


「ガウガウ」


カムイの仕業なのだろう。誰の目にも止まらぬ早業である。


「あら、剣がなくなってしまったわね。どうするの? 次は首がなくなるかも知れないわよ?」


「くっ、この場は引いておく……だが、このままで済むとは思わんことだ……」


「ええ、私からも今夜の出来事は辺境伯閣下によぉくお話ししておくわ。」


悔しそうな表情のまま騎士達は帰っていった。この領都で、一体何が起こっているのだろうか……


もうすぐ夜が明ける。





その頃クタナツでは。




「さあ、こんなものかしら。二人とも助かるわよ。」


「ありがとう母上! 助かったよ。それより父上はどうしたの? そっちの方が心配なんだけど。」


「私も知らないわ。道場の稽古として城壁の外に出るとしか聞いてなかったし。でも、アランが助かって本当に良かった……」


あんなに取り乱した母上を見たのは初めてだもんな。それでもその魔力、手技に乱れなしか……さすがすぎる。ちなみに私の魔力が七割ぐらい抜かれてしまった。


少し眠いが私だけでも領都に帰って状況を知らせておかないとな……父上も心配だが命に別状がない以上、私にできることなどない。


「じゃあ母上、悪いけどこの二人を頼めるかな。ちょっと領都に戻ってくるから。」


「ええ、いいわよ。捕まらないようにしなさいよ。」


「うん、大丈夫だよ。たぶん、夕方には戻ると思うから。コーちゃんも頼むね。」


「ピュイピュイ」


母上だけでなくコーちゃんもいることだし、きっと大丈夫。心置きなく領都へ行こう。




霞の外套があるからな。クタナツでも関所破りをしてしまったから、これを着てバレないように出発しなければ。


ミスリルボードに乗らず身一つで空を飛ぶ。スーパーマンのような体勢だ。理論的にはこの方が速いのだろうが、ミスリルボードに座ってないといまいち落ち着かないんだよな。




体感で一時間、領都の我が家へ到着。庭に直接着陸してやった。霞の外套は便利すぎるな。アレクはまだ寝てるかな。私も眠いぞ。


「おかえりなさいませ。」


「ただいま。リリス、もう起きてたのか。その後のことを聞きたいところだけど、眠いから後で頼む。」


「かしこまりました。おやすみなさいませ。」


「ボスぁ! ダミアンは! ダミアンはどうなったんだよぉ!」


こいつがいたな。まったく……


「無事だぞ。問題ない。詳しくは後でな。眠いんだよ。」


「ボ、ボスぅ! ありがとう! アタシが守るなんて言っておきながら……」


「そんなの後だ後。寝かせてくれよ……あぁリリス、すまんがマイコレイジ商会に伝言を頼む。リゼットは無傷だと。居場所は言えないがな。辺境伯邸には知らせなくていい。」


「かしこまりました。」


リゼットの護衛、ジャンヌは何やってんだろうねぇ。さあて寝るぞ、アレクの隣で。魔力もだいぶ減ってしまったからな。あー疲れた……

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