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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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男爵との酒宴

特性無臭ポーションへと変質した酒樽を魔力庫に収納し……収納……できない!?

くっそ、マジかよ! やっぱ世の中そうそう便利なことばかりじゃないのか。単純計算で現在の私の全魔力が込められているわけだし。私も今は三割ぐらいしか魔力が回復してないもんな。仕方ない……普通に浮かせて持ち歩こう。領都の屋敷にでも保管しようかな。小分けにすれば収納できるか……特製の魔蔵庫も作らないといけないかな……




屋敷に戻ると、ちょうど玄関で男爵と鉢合わせた。


「いやぁお恥ずかしいところをお見せしてしまいました。ついムキになってしまって、全魔力を込めてしまいましたよ。」


「いや……ものすごい魔力を感じました。魔王と渾名されるのもご尤もかと。ところで、そちらは……」


「飲んでみられましたか? いい感じの魔力ポーションになってますよ。」


「いい感じ……? ですか?」


「ええ、センクウ親方のアレは匂いからして不味かったですが、これは無味無臭。市販のポーションに比べても飲みやすいことこの上ないですね。」


「無味無臭……? 失礼、少しだけいただけないですか?」


「いいですよ。どうぞどうぞ。」


おっ、ガラスのスポイトか。さすがに珍しい物を持ってるねぇ。


男爵はスポイトで吸った私の酒を、これってやはり魔王ポーションと呼ぶべきか……いや、ここは思い切って大げさな名前にしよう。よし、ネクタールだ。ネクタールと名付けよう。汲めども尽きぬ神の酒だ。それを手の平に一滴だけ落とし、ゆっくりと舐めた。


「グゥボおおおオゥグァアーーー」


あれ? なぜ?


「ちょ、男爵!? 大丈夫なんですか!? どうしたんですか!」


「はぁ、はぁ……やはり魔力ポーションですね……」


「ええ、そうですよね。」


「内包されている魔力が強すぎます……もし、これを魔力の少ない平民なんかが飲んだら、即死ですね……」


魔力が強い? 多いではなく、強い?


「私が飲んだ時には無味無臭でしたが……」


「ええ、確かに無味無臭でした……しかし、たった一滴で私の魔力は全て回復し、どこか重く感じていた内臓も軽く感じます。ただの魔力ポーションではありませんね……」


「それはよかったです。」


「しかし問題は……飲んだ瞬間の拒絶反応とでも言うべきアレです。正直、かなり苦しかったです……内臓が全て口から出るかと思いました。たった一滴で……」


「なるほど。効き目が強すぎる薬は毒にもなるようなものですかね。まあこれは私達専用ってことにしておきましょう。」


コーちゃんもカムイも気に入ってくれたしね。


「センクウ親方のお酒『ヘルムート』がこのように変質した理由は分かりました。残り二つについてもお教えいただけますか!?」


あれだけ悪かった顔色がもうすっかり元気になっている。魔王ポーションのせいか、それとも酒への情熱のせいか。そして初めて知ったぞ。私が王都で魔力を込めた酒はヘルムートって言うのか。


「これは内密の話ですが、私は遥か北に住むエルフと交流があります。この酒はどちらもそのエルフの村でいただいたものです。」


「なんと!? エルフですって!? あの伝説の!」


そして説明をする。一方はフェアウェル村で村長から貰った酒『ブッシュミルトン』。もう一方はその酒に私が魔力を込めたものだ。便宜上『魔力ミルトン』と呼ぼうかな。




「なるほど……ブッシュミルトン、ですか……私の酒とどちらが旨いかと言われたら、私の方が旨い自信はあります。しかし、この繊細な味わい……強さの中に消えない芯があるかのようなコク……見習うべき所がたくさんあります。」


さすがに一流の職人は飲んでも違うんだな。私からすると、ただ旨いとしか言えないもんな。


「もちろん差し上げますので、参考にするなり飲まれるなり、お好きにされてください。」


「おおっ! ありがとうございます! やはり靴を舐めましょう! 今日はいい日だ!」


「いやいやいや! それには及びませんので! さあさ、それより乾杯しましょうよ! ね? 私達の出会いに!」


「おお! そうですな! ならばこれを開けますよ!」


男爵がそそくさと持ち寄って来たのは、ガラスのボトル! 樽に入ってない酒は初めて見た!


「これはですね、私が男爵の地位を授かった時に国王陛下から下賜されたものです。センクウ親方の師であるリュボーン師の作で『サルファレイク』の三十年物だそうです。いや、もう五十年物になってますね。」


「それは凄いですね! 喜んでいただけますとも!」


「ピュイーピュイー!」


コーちゃんも大喜びだ。


「いつか納得のいく酒が作れた時に飲もうと思っていましたが、今日こそ飲む日なのでしょう。」


そしてボトルの口をスパっと切る男爵。コルクの栓なんかないんだもんな。ガラスを溶かして蓋がしてある。それでも熟成は進むのか?


ぬおおー! 結構広い部屋なのに香りが立ちこめる! よく分からないがいい香りだ!


「ピュイピュイ!」


え? 大地の香りがする? そうなのか。さすがコーちゃん。


そしてグラスを用意する男爵。これはいいグラスだ。近いうちに王都に行ったら私も買おう。


三つ並んだグラスに酒を注ぐ。えんじ色って言うのかな。深く暗い赤だ。


「では、今日の良き日に。乾杯。」


「乾杯!」


「ピューピュイ!」


これはワインか! 初めて飲んだ……

前世では安いワインしか飲んだことがなかったが、何だこの味は!?

アルコール度数は高くない、しかしガツンと来るな。熟成年数が長いのにこんなことってあるのか? しかもガラスで密閉してあるのに? 分からんが旨い……


「陛下がおっしゃるには、このお酒はゆっくり時間をかけて飲むと良いらしいです。そうすると酒はいろんな表情を見せてくれると。」


「なるほど……ではゆっくりと飲みましょう。肴を用意して……」


取り出すのはみんな大好きワイバーン肉。これを焼きながらサルファレイクを楽しむとしようじゃないか。


「ピュイピュイ!」

「ガウガウ!」

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